3月27日の証人喚問に現れた佐川前国税庁長官は、長官在任中、公の場に姿を見せなかった。
恒例の就任会見も開かず、動向も伝わってこない理由は森友学園問題であることは明らかだ。
しかし、国税庁長官という立場にありながら、その長官としての動向が不明というのは異常事態だ。
そこで、せめて何をしているかくらいは明らかにしようと筆者が行ったことが、佐川国税庁長官の就任以来の日程表の情報公開請求だった。
1月16日付で情報公開請求書を国税庁に郵送し、原則30日で決定が出るはずが、30日の決定期間延長となり、60日かけて届いた決定通知は全部公開決定。しかし、特定されていた文書は「平成30年1月17日(水)の予定(日程表)」のみ。
情報公開請求のときには「就任以来」としたので、請求書を受け付けた1月17日分の日程表しか保有していないという意味の決定だ。要は、日程表は1日保存で廃棄しているのだ。
スケジュールは通常、先の予定まで管理されているはずなので、1月17日より先の日程を記録したものも請求書を受け付けた時点であったはずだが、国税庁はそれを「日程表」とは言わないらしい。
公開された日程表を見ると、長官だけでなく次長の日程も入っており、この元データがどのように作成され、保存されているのかも不明だ。
どこからこの日程が1日しか保存されない日程表に書き入れられるのか、まったくもって謎だ。
日程表が1日保存だと、常識的な感覚からすると、いつ誰と会ったのか、どこに行ったのかがわからなくなるので、普通は困ると思うのだが、国税庁はまったく困らないようだ。
日程表が1日保存であったことについて、国税庁広報室は「日程表は当日の業務が終了することで役割を終える文書で、保存期間を1日としている」と毎日新聞に答えている(佐川前長官の日程表 1日たったら「廃棄」https://mainichi.jp/articles/20180327/k00/00m/040/158000c)。
結局、佐川前国税庁長官の就任以来の行動は、日程表でも確認できず、会見にも応じず、公の場に姿を見せることなく、長官として何をしていたかの説明責任を果たすことなく辞任をしていくという、とても普通とは言えない経過になった。
ただ、佐川前国税庁長官だから1日で日程表を廃棄した、とするのは早計だ。国税庁長官の日程表は1日保存だ、という判断でもあるからだ。
また、2017年12月に改正された行政文書管理ガイドラインでも1年未満保存文書に該当するものとして、日程表をあげている。
日程表には政務三役や首相のものも含まれており、1年未満とは1日~364日の間のいずれの期間でも可、という意味だ。佐川前長官の日程表が1日で廃棄されても、公文書管理法では「適切」となる。
ちなみに、麻生財務大臣の2016年分の日程表を佐川前長官の日程表と同時期に情報公開請求したところ、不存在となった。
すでに廃棄されているようで、「財務省において文書の保有が確認できなかった」とその理由が示されていた。財務大臣の日程表も、1年以上は残らないようだ。