中央線「立川まで複々線」はなぜできないのか

グリーン車はできるが線路は増えないまま?

JR東日本・中央線の複々線区間は御茶ノ水―三鷹間で、首都圏のほかの主要路線と比べると短めだ(写真:tarousite / PIXTA)

東京都心から放射状に伸びるJRの路線網は、多くの区間で複々線化されている。東海道線方面では京浜東北線・東海道本線・横須賀線と3つの路線が大船までそれぞれ役割を分担する「3複線」となっており、東北方面も同様に宇都宮線(東北本線)・京浜東北線の複々線に加え、埼京線も合わせれば3路線が大宮まで多くの人を運んでいる。常磐線も取手まで複々線であり、総武線も千葉までが複々線だ。

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複々線は、優等列車と各駅停車の走る線路を分けることで長距離利用者を速く都心へと運ぶとともに、短距離利用者向けの緩行線も頻繁に運転することができる。そのために、通勤ラッシュの時間帯であっても、遠方からの乗客と近距離の乗客を同時に都心に送り込むことができ、多くの通勤需要をまかなっている。

三鷹から先は複線のまま

しかし、利用者が多いにもかかわらず複々線区間が短い路線がある。中央線だ。中央線で複々線化されているのは、御茶ノ水―三鷹間の21.5km。特に混み合う郊外から新宿までの区間で考えれば13.8kmで、前記のJR各線と比べて複々線区間が特に短い。なぜ中央線の複々線は短いのだろうか。

高度成長期、国鉄各線の通勤ラッシュは年々激化し、列車ダイヤの過密化も深刻化していた。そこで、抜本的な輸送力の改善を迫られた国鉄が行ったのが「通勤五方面作戦」と呼ばれるプロジェクトである。東京都心から放射状に伸びる東海道、中央、東北、常磐、総武の5路線の通勤輸送力増強を図ることからこの名で呼ばれるプロジェクトは、1964年にその実施が国鉄常務会で承認され、以降各線で線路の増設などが実施されることとなった。

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  • NO NAMEf11baa0118f6
    通勤時間帯のノロノロ運転は電車の本数の多さに対して線路の容量が不足し、電車詰まりを起こしていることが原因。
    電車を複線に3分おきに走らせるより、複々線に5分おきに走らせる方が輸送力が大きいのは明らか。
    混雑だけでなく、ノロノロ運転も乗客のストレスの原因になるのだから。
    大都市圏の通勤路線は複々線化を積極的に進めてほしい。
    東海道線は鶴見~羽沢~東戸塚~藤沢~茅ヶ崎~小田原の東海道貨物線に通勤ライナー以外の通勤電車もたくさん走らせてほしい(必要に応じて都心~鶴見間に線路を確保して)。
    現状の東海道貨物線は朝通勤時も東海道線の過密ダイヤを横目に閑散ダイヤだし、1990年代に藤沢と茅ヶ崎に作ったライナーホームは平日に上下計十数本の通勤ライナーが停まるのみ、土休日に停まる電車はゼロ、という非常に勿体ない使われ方をしている。
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    2018/4/5 05:54
  • NO NAMEad242df7b414
    そんな複々線よりも簡単に解決できそうな杉並クソ三駅どうにかしてください。
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    down0
    2018/4/5 06:30
  • NO NAME7afacf9728b5
    人口減少に伴い、持続できる郊外住宅地のあり方を考えることが極めて重要な局面に差し掛かっている。インフラ維持のため、郊外から都心市街地への移転に賛同し、コンパクトシティ化を推し進めていくことが何よりも重要である。首都圏西部には他に京王線や西武線も走ってるおり、人口減少の時代に今以上に鉄道の利便性向上を図るメリットはない。
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    down4
    2018/4/5 06:12
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