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携帯つなげ1500基地局リレー 東京-新大阪、東海道新幹線

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名古屋駅ホームに向けられたバズーカ型基地局=名古屋市中村区で(KDDI提供)

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 千人以上の客を乗せ、猛スピードで走る東海道新幹線で携帯電話がつながるのはなぜ? 日本の「輸送の大動脈」でインターネットや通話が楽しめる裏側には、特殊な基地局や通信会社による日々の改善活動がある。通信速度が遅くなるだけで不満がすぐさまツイッターに載る時世に、知られざる電波技術者の苦闘をKDDIが明かした。

 携帯電話は常に、街中の基地局と電波のやりとりをする。携帯の位置が変わると、電波を受信する基地局はリレーのバトンのように自動的に切り替わる。東京-新大阪の二時間半、KDDIの場合は約千五百もの基地局と順につながる仕組み。停車時間を含めても一分間に十回、基地局のバトンタッチがある計算だ。

 「でも、それだけで快適な通信環境になるわけではない」と話すのはKDDIの電波技術者山川裕隆さん(40)。基地局がカバーするエリアが重なる場合、電波が干渉し合って通話が切れたり、ネットが遮断されたりするため対策が必要となる。

 技術者は、ときに十台近くの携帯を新幹線に持ち込み、通話が途切れないかイヤホンでチェック。通信が不安定な地点を把握すると、周辺の基地局のアンテナの向きを調整して電波の相互干渉を防ぐ。水田地帯や大河川周辺は、携帯が十キロも離れた基地局の影響を受ける場合もあり、技術者泣かせといえる。

 名古屋駅もくせものだ。私鉄を含めて一日百万人が利用し、乗り降りの前後に電話やネットが使われるため、それぞれの携帯の通信速度が遅くなる傾向も。KDDIは約五年前、長さ六十センチのバズーカ型基地局を近くのビルからホームに向けて設置し、よりつながりやすくした。ただ、名駅の通信需要はさらに伸びており、近く新タイプの基地局を設ける計画という。

 携帯を大量に新幹線に持ち込み、駅では携帯とにらめっこする技術者は周囲から不審に見られがち。「何の作業?」と聞かれたり「歩きスマホは危ない」ととがめられたりするとか。

名古屋駅の電波の状況を調べるKDDI社員=名古屋市中村区で

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 それでも一日四十万人余が利用する東海道新幹線で最良の通信環境を提供することは、通信会社の評判につながる。「通信品質の追求は終わりなき作業。つながらない事態を一件でも減らしたい」と、KDDI名古屋エンジニアリングセンターの桑山直樹さん(46)は力を込める。

 (小柳悠志)

 

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