先日、4Gamer.netで「スマートフォンゲームの依存問題がWHOでの疾病分類入りし、ルートボックス(ガチャ)が依存を深める危険性が指摘されている」という趣旨の記事を書きました。
【山本一郎】「ゲーム依存症」問題から見るガチャ商法規制の今後 http://www.4gamer.net/games/999/G999905/20180402094/
これは、従来の「ゲーム脳」など荒唐無稽な疑似科学やニセ医療とは異なるものです。一時的にゲームにはまっても日本人であれば8割近いゲーマーは途中で飽きたり冷めたりして離脱するので本来は問題ないのだけれど、日常生活に支障をきたすほどゲームが頭の中を支配してしまったまま長時間プレイし続けたり、経済的に破たんしかねないぐらいの資金をガチャにぶち込んで回してしまう精神状態のままになってしまう、いわゆる「依存状態」になることに対する警鐘なんですよね。
アメリカでもESAほかゲーム産業の業界団体はWHOの方針を否定したりしていますが、実際に依存は依存であることは間違いないので、業界団体の言い分も分かったうえで、ゲーム人口全体の数%ぐらいのゲーム依存の状況についても、これから世界的に吟味、検証されて、法的な枠組みができることでしょう。ただこれも、いまゲームをプレイしている大多数の普通の人にとっては問題にならないような内容では無いかと思います。
スマホゲーム依存症 [ 樋口進 ] 楽天ブックスはこちら
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依存状態が脳に与える影響の一部も含めて、すでに本件の第一人者でもある久里浜医療センターの院長・医師である樋口進さんが書籍を発行されているので、こちらをご一読ください。
さて、もちろんルートボックス(ガチャ)に収益を依存しているソーシャルゲームの開発会社からすれば、これらのスマホゲーム依存症の疑いが出ていて、そういう一部の廃課金者・重課金者がゲーム収益の過半を占めるゲーム業界の環境からすると「非常に不都合な現実」である一方、適切に依存状態を管理すればゲーム業界の安定性・永続性が担保され、無理のない課金で遊ぶプレイヤーと長く事業ができるという関係を築くことができるはずです。
ただ、そういう業界の不都合が受け入れられず、ゲーム依存などないのだ的な反応をされる業界人も少なくないなか、どうもドワンゴCTO、カドカワ株式会社代表取締役の川上量生さんとみられるアカウントが一部の中傷ツイートをRTしておられました。その川上さんらしきアカウントをみたところ、私への侮辱とともに不思議なツイートをしていたので反応したところ、川上さんが思うところをブログにされていたので見物しに行ってきました。
https://twitter.com/nkawa2525/status/981227066694619136
情報公開で国が滅ぶ理由
http://kawango.hatenablog.com/entry/2018/04/04/143826
川上さんの主張通り、確かに情報公開請求が乱発されることで、それに対応する官僚が大変な業務量に見舞われて疲弊し、結果として本来行うべき行政手続きが遅延するなどの悪弊が起き得ることはありえるでしょう。
しかしながら、川上さんの整理によるデメリットの内容は「情報公開請求が野党やメディアによる粗探しにすぎない」と断じたうえで、「つまり現行の情報公開制度は、請求する側がすごく気軽に国の最も優秀な人材にすごくくだらない無駄な仕事をさせることができるという仕組みになっている」「いまの情報公開制度では国民の監視により、今後もよりくだらない”事件”が見付かるようになるだけだ」と結論付けております。
[引用]
情報公開制度を利用する側はどんなひとか?ひとつは野党であり、メディアでありジャーナリストだ。彼らが情報公開をおこなう動機は、まったく問題ないですと褒めることではあるわけがなく、当然、なにか騒ぎ立てられるような粗探しをすることだ。
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もちろん、それらは筆者である川上量生さんらしき人にとって「くだらない無駄な仕事」で「くだらない事件」が見つかるという意味であって、いまの政権や行政が不適切なことをしているのではないかと気にしている人たちにとっては重大な事案かもしれず、実際にそのような情報公開請求によって問題が露顕した事件は森友学園が初めてではないわけです。
国民の知る権利の拡充や、権力のチェック機能として国民に対し政府の説明責任を全うする観点から導入されている制度である以上、確かに手書き文書の整理や黒塗りなどの手間がかかるのは問題としても、その制度が運用されているので「国が滅ぶ」というのは既存の政権に寄り添い過ぎな発言を川上さんと思しき人がしすぎているのではないかと感じます。
ブログでも指摘されている通り、文書の電子化を進めたうえで、各省庁の業務の合理化を徹底していくことで生産性を上げ、行政をガラス張りにして適切な情報開示が速やかに行える体制にしようというのは、まさに求められていることでしょう。一方で、2001年に施行された根拠である「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」からすでに17年経過し、川上さんのような人の指摘する「国が滅ぶ」状況から随分経過しているのにいまだにこういうやり方であるというのは、開示請求を受ける行政さんサイドにも問題があるように感じられます。
この川上さんじゃないかと思われる人がブログの文章の結びにしている「情報公開=絶対的な善という思考停止に陥らず、冷静な議論が必要」という言葉こそ、ちゃんと鏡を見たほうがいいのではないかと思いますし、読みようによってはあからさまな政権擁護にも感じられる文章を掲載することの度胸というか立場や影響を考えていなさそうな部分には冷静な対処が必要なのではないかと感じました。
もちろん、情報開示請求に毎回対応してくださるお役所には、請求する人間としていつも感謝しております。
【山本一郎】「ゲーム依存症」問題から見るガチャ商法規制の今後 http://www.4gamer.net/games/999/G999905/20180402094/
これは、従来の「ゲーム脳」など荒唐無稽な疑似科学やニセ医療とは異なるものです。一時的にゲームにはまっても日本人であれば8割近いゲーマーは途中で飽きたり冷めたりして離脱するので本来は問題ないのだけれど、日常生活に支障をきたすほどゲームが頭の中を支配してしまったまま長時間プレイし続けたり、経済的に破たんしかねないぐらいの資金をガチャにぶち込んで回してしまう精神状態のままになってしまう、いわゆる「依存状態」になることに対する警鐘なんですよね。
アメリカでもESAほかゲーム産業の業界団体はWHOの方針を否定したりしていますが、実際に依存は依存であることは間違いないので、業界団体の言い分も分かったうえで、ゲーム人口全体の数%ぐらいのゲーム依存の状況についても、これから世界的に吟味、検証されて、法的な枠組みができることでしょう。ただこれも、いまゲームをプレイしている大多数の普通の人にとっては問題にならないような内容では無いかと思います。
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さて、もちろんルートボックス(ガチャ)に収益を依存しているソーシャルゲームの開発会社からすれば、これらのスマホゲーム依存症の疑いが出ていて、そういう一部の廃課金者・重課金者がゲーム収益の過半を占めるゲーム業界の環境からすると「非常に不都合な現実」である一方、適切に依存状態を管理すればゲーム業界の安定性・永続性が担保され、無理のない課金で遊ぶプレイヤーと長く事業ができるという関係を築くことができるはずです。
ただ、そういう業界の不都合が受け入れられず、ゲーム依存などないのだ的な反応をされる業界人も少なくないなか、どうもドワンゴCTO、カドカワ株式会社代表取締役の川上量生さんとみられるアカウントが一部の中傷ツイートをRTしておられました。その川上さんらしきアカウントをみたところ、私への侮辱とともに不思議なツイートをしていたので反応したところ、川上さんが思うところをブログにされていたので見物しに行ってきました。
https://twitter.com/nkawa2525/status/981227066694619136
情報公開で国が滅ぶ理由
http://kawango.hatenablog.com/entry/2018/04/04/143826
川上さんの主張通り、確かに情報公開請求が乱発されることで、それに対応する官僚が大変な業務量に見舞われて疲弊し、結果として本来行うべき行政手続きが遅延するなどの悪弊が起き得ることはありえるでしょう。
しかしながら、川上さんの整理によるデメリットの内容は「情報公開請求が野党やメディアによる粗探しにすぎない」と断じたうえで、「つまり現行の情報公開制度は、請求する側がすごく気軽に国の最も優秀な人材にすごくくだらない無駄な仕事をさせることができるという仕組みになっている」「いまの情報公開制度では国民の監視により、今後もよりくだらない”事件”が見付かるようになるだけだ」と結論付けております。
[引用]
情報公開制度を利用する側はどんなひとか?ひとつは野党であり、メディアでありジャーナリストだ。彼らが情報公開をおこなう動機は、まったく問題ないですと褒めることではあるわけがなく、当然、なにか騒ぎ立てられるような粗探しをすることだ。
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もちろん、それらは筆者である川上量生さんらしき人にとって「くだらない無駄な仕事」で「くだらない事件」が見つかるという意味であって、いまの政権や行政が不適切なことをしているのではないかと気にしている人たちにとっては重大な事案かもしれず、実際にそのような情報公開請求によって問題が露顕した事件は森友学園が初めてではないわけです。
国民の知る権利の拡充や、権力のチェック機能として国民に対し政府の説明責任を全うする観点から導入されている制度である以上、確かに手書き文書の整理や黒塗りなどの手間がかかるのは問題としても、その制度が運用されているので「国が滅ぶ」というのは既存の政権に寄り添い過ぎな発言を川上さんと思しき人がしすぎているのではないかと感じます。
ブログでも指摘されている通り、文書の電子化を進めたうえで、各省庁の業務の合理化を徹底していくことで生産性を上げ、行政をガラス張りにして適切な情報開示が速やかに行える体制にしようというのは、まさに求められていることでしょう。一方で、2001年に施行された根拠である「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」からすでに17年経過し、川上さんのような人の指摘する「国が滅ぶ」状況から随分経過しているのにいまだにこういうやり方であるというのは、開示請求を受ける行政さんサイドにも問題があるように感じられます。
この川上さんじゃないかと思われる人がブログの文章の結びにしている「情報公開=絶対的な善という思考停止に陥らず、冷静な議論が必要」という言葉こそ、ちゃんと鏡を見たほうがいいのではないかと思いますし、読みようによってはあからさまな政権擁護にも感じられる文章を掲載することの度胸というか立場や影響を考えていなさそうな部分には冷静な対処が必要なのではないかと感じました。
もちろん、情報開示請求に毎回対応してくださるお役所には、請求する人間としていつも感謝しております。
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