記事一覧

本気で『ガンダムVSシリーズ』をスマホに落とし込んだ2vs2ゲーム『ドールズオーダー』レビュー。課金と育成が面白い土台を阻害する苦しさ

dolls-4
「『ガンダムエクストリームバーサス』をスマホ向けにした感じのゲームが出たんですよ!」
そんな言葉で紹介されたゲームが2vs2のハイスピード対戦アクション、『ドールズオーダー』である。
実際プレイしてみるとダッシュから様々な行動につなぎまくれる本格的なアクション操作、小気味よい攻撃演出に、下手なプレイヤーは手も足も出ない
よくもまぁ、スマホでこれだけのモノを作ったものだと感心してしまった。それと同時に、今の基本無料ゲームの限界もまた感じてしまった。

本作は2vs2の対戦をメインとしたアクションゲームで、ドールと呼ばれる戦闘メカ3体でチームを組んで任意の順番で出撃させ、出撃した機体を操作して戦う仕組みになっている。
ドールにはそれぞれ属性や武器、レアリティなどが存在し、それらの役割を考えての投入が重要となる。
dolls-3
▲同じ名前のドールでも★3~★5まで存在し、すべて能力は異なる。★を上げることはできない。

特徴的なのはチームLPという概念で、普通の対戦格闘ゲームで相手の体力を0にした側が勝つのに対して、『ドールズオーダー』では各チームには12,000LPのエネルギーが与えられており、ドールが撃破されるとドールの強さに応じてこれが消費される。
撃破時のLP消費は★5ドールは2,500LP、★4ドールは2,000LP、ドールには★3は1,500LPとなっており、先にチームLPがなくなった方が敗北になるため、闇雲に高コストドールを使えば良いわけではない……はずなのだが、★5は★3より強く、コストを越える能力差がある。つまり、★4以下のドールは戦えなくもないが、最終的に戦力にならないように見える。
dolls-9
▲試合時は、チームの3体の中から1体を選んで入れ替わりで出撃させる。

この仕組みにちょっとやる気を失ったわけだが、ゲームを触ってみるとその失望を越える良さもまたあった。
本作の操作はバーチャルスティック移動、ボタンで基本攻撃、様々なアクションアビリティを利用するスティック+ボタン制。
基本攻撃は使用している武器の種類に応じて各ドールで動きは共通で、何度でも利用できる。
近接武器なら敵が射程距離(かなり長い)内にいると高速で近づいて連続攻撃を行い、射撃なら敵に向けて単発で弾を撃つようになっている。
dolls-13

アクションアビリティはドールによって異なり、強力な突撃やダメージをカットするバリア、ビットを飛ばして一定時間攻撃、果ては光学迷彩で透明になるなど様々なバリエーションがある。
各ドールアクションアビリティは最大3つまで覚える。
dolls-14
▲光学迷彩使用中。敵からは見えないが、ロックオンはできるので普通に攻撃は受ける。

そして最も重要なテクニックブーストとステップだろう。
どちらもブーストゲージを消費する行動で、前者はブーストボタンを押すことで高速移動を行い、後者は画面左スワイプでスワイプした方向に素早く移動するというもの。
なぜ最も重要かと言えば、ほとんどの行動をブーストやステップでキャンセルし、隙なく素早く行動することができるからだ。
dolls-12
▲撃たれた後にステップすると追尾を切ることもできる。

例えば、通常攻撃中にステップを行うと通常攻撃の1段目から攻撃を行い、敵が倒れるまでコンボを決められる。
敵に近づくときもブーストでダッシュしつつ、攻撃がきたら横ステップで避けてはまたブースト移動に戻る。回避も攻撃もステップとブースト移動で間合いを計って行うため、敵と対峙しながら牽制攻撃キャンセルで揺さぶりをかけ、隙を見つけて切り込むゲームになっている。
完全に『ガンダムVSシリーズ』っぽい立ち回りだが、ジャンプボタンがなく近接攻撃が基本になっているために展開はかなり異なる。
dolls-2
▲敵の近くでステップを行うと、敵を中心に回り込める。

最後にもう1つ、ゲージが100%まで貯まるとオーバードライブを任意に発動して一定時間パワーアップできる。オーバードライブを発動した瞬間は無敵になるので緊急回避にも使用可能だ。
さらに、オーバードライブ中は各ドールによって異なる超必殺技“ドライブバースト”を出すこともでき、これがオリジナリティにつながっている。
dolls-8

操作性はタブレットなら快適(スマホだと画面が大きくないと辛い)で、演出も良く、攻撃を決めたときは爽快だし、キャンセルを駆使して移動しているときは気持ちいい。
ゲームスピードはかなり早めで、スマホの対戦ゲームと思えないほどアクションしている。
また、2vs2を意識して建物の影から敵を攻撃したり、攻撃を受けている仲間を助けるために割り込んだり、ロックオンを切り替えて状況を確認したりと、2vs2の対戦で起こりうる基本的な作業はこのゲームでも必須。プレイヤーの腕が悪ければ、★5ドールとはいえ活かせない。
dolls-1

よくもまあ、日本のスマホアクションゲームという前提でここまで作ったものだ。
しかし、感動的なほどガチにアクションを作っている反面、複雑なゲームなのにわかりづらい点や、Pay to Winの基本無料要素がゲームの足を引っ張りまくっている。
まず、基本編。キャンセルが必須だったり、起き上がり時に方向キーを入れて移動起き上がりするのが重要だったりと、細かいテクニックが必要なのにゲーム中で説明はない。
チュートリアルを短縮できるのは良いことだが、必須の情報がないのは困る。
完全に『バーチャロン4th』や『ガンダムVSシリーズ』をプレイしている人が推測してやっていくしかない。
dolls-7
▲攻撃が2ヒットしたらステップでキャンセルし、追い打ちしたらアビリティで追撃が基本。

また、ゲームプレイ時に「なぜ、自分が負けたのか」わかりづらいのもつらい。
★3~★5まで多様なキャラクターが登場するが、あまりにも種類が多くて特殊能力を覚えておけないし、調べようにもガチャで当てなければ利用できない。
強力な敵の対策をしようにも、ガチャで当てなければ対策を見つけることが難しいのだ。

また、プレイを通じて情報を得るのも難しい。
1つは演出面の問題。
ドライブバーストを出すとカットインが出るが、時間が止まっているようで実は時間が止まって折らず、プレイヤーが周囲の戦況を見られないでドライブバーストだけが失敗したりもする。
リプレイ機能があれば後から学習もできるだろうが、現状ではゲーム中に学習することは難しい。
dollsr-1
▲ドライブバースト発動!どう見ても時間停止して無敵……ではなく、このカット中に攻撃を食らっていたりもする。

また、ほとんどのドールが1回攻撃を受けるとのけぞるなか、スーパーアーマー(1回の攻撃ではのけぞらない)を持っているドールがいるのだが、スーパーアーマー演出がわかりづらく、ラグで攻撃が当たっていないのか判別できずに困るなど、プレイ画面から情報を判別するのが厳しい。
こういった情報はゲームが流行ればそれで攻略の需要が増えて誰かが解決するが、完全新規ゲームだとそこまで盛り上がらないこともあって情報が足りなくなる。
公式サイトに各キャラの能力と基本的な武器性能と対策、上級テクニックまで網羅し、ゲーム内にリプレイ機能がある状態まで持っていくことが最初の課題になるだろう。

で、そこが解決すると次に育成要素の問題が出てくる。
このゲームでは対戦を通じて得たお金とチップでレベルを上げていくが、レベルが高くなるほど能力の上がり幅がでかい。アリーナで育成しきっていないキャラクターと当たると瞬殺できるし、逆に自分よりもレベルが高い相手には1コンボで倒れたりする。
dolls-10

特に厳しいのは、近接攻撃主体のこのゲームにおいて育成差が強烈に反映される場面が多いことだ。
仲間を攻撃している敵を攻撃してカットに入るのが定石になるわけだが、近接攻撃中は(近接攻撃の追尾が強力なこともあり)他の近接攻撃を避ける手段があまりない。
つまり、近接キャラクターが集うとカット合戦になり、お互いに削り合いが始まる。お互いに攻撃を当て合うわけだから、レベルとレア度の差がもろに出る。
dolls-6
▲性能差がもろに出るカット合戦。アリーナランキング200位まで上ったときは、自分が敵の3倍攻撃を当てているのに負けたりした。

情報不足と育成要素の差など複合し、キャラ差・レベル差で負けたのか腕の差で負けたのか、はたまたキャラ相性の差で負けたのか。対戦ゲームなのに敗因の判別がとてもつきづらい状況を生んでいる。
そして、その判別が付いたとしてもキャラクター差なら課金しか対策はないし、相性差はテストしづらく、テクニックを身につけようにも解説はない(企業系攻略サイトが役に立たず、有志攻略サイトもない)。

つらい。つらすぎる。
「★4ドールが混ざっていて、敵のコンボ1回で沈んで申し訳ない!」
と心に思いながらランダム組み合わせの対人戦に臨み、スーパーアーマーを持った敵の対策を見つけられずにプレイしていた。
下手にアクション要素が強いだけに育ちきるまで「明らかに自分が上手いのに負ける」のが非常にストレスなのだ。最初から課金ゲーだとわかっているギルドバトル系RPGなら諦めも付くのだが……。

そんな感じで引退を考えていた頃、★5キャラクターをついに引き当てた。そして、能力とアビリティ性能の差に驚いた……。★4なんて頑張れる程度のドールでしかなかった(多分)んや!
dolls-11
▲唯一引き当てた★5。強キャラではないが、それでも強かった……。

そうなってくると、ゲームの本体は面白いだけに結構続けられる。
ガチャが引きまくれて、★3キャラクターですら被ると★5キャラクターを1段階限界突破できる(25段階まで限界突破ありだが、★3が突破素材になるので他ゲーより最強にするのは簡単)ので、課金ゲー感は薄れる。他のソーシャルゲームと比べても「頑張ればなんとかなる度」があり、まともに対戦できる希望も出てきた。
なので、今もゲームは続けている。

ゲームの土台部分はとても気合いが入っているのに、ゲームをより楽しもうとするとアプリの説明不足、リプレイ機能がない上に課金の壁もある。この状態をどう評価すべきか悩んだが、結局このサイトの評価は「私のお気に入り度」なので、今回は面白いとしておきたい。
Android版がやたらに重いのでお勧めしないが、iOSで2vs2のアクション対戦ゲームを遊びたいならこれ以上に凝った基本システムのゲームはなかなかない。
『ガンダムVSシリーズ』が好きなら、試す価値はある。

評価:6(面白い)

おすすめポイント

ガンダムVSシリーズっぽい(オリジナル要素もある)2vs2対戦アクション
グラフィックはかなり凝っている

気になるポイント
ジャンプがないためスーパーアーマーが超強い
情報不足(攻略サイトのリセマラランキングがやっていない人の攻略で当てにならないレベル)
育成が面倒
ガチャで機体と強い装備を当てる必要がある(リセマラ推奨)

アプリリンク:
ドールズオーダー  (itunes 基本無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)

開発:gumi(日本)
レビュー時バージョン:1.0
課金:ガチャ(本気でそろえようとすると結構必死だが、リセマラで★5を2体とっておけばほどほどで行ける)

ライター:ゲームキャスト トシ
  • コメント(0)

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
凄い!!iPhoneゲームアプリコレクション
記事検索
最新記事