北朝鮮が「全方位外交」に舵を切った真の理由

米国の先制攻撃リスクに屈したわけではない

北朝鮮が対話路線に転じた理由とは?(写真:ロイター)

北朝鮮が今年に入り、韓国や米国、中国、ロシアなどとの「全方位外交」に舵を切り、対話攻勢に大きく出ている。北朝鮮は昨年、国連決議に反して多くの弾道ミサイルを発射し、水爆とみられる核実験も強行した。しかし、今やこれまで何も問題を起こさなかったかのごとく対外的に「普通の国」として振る舞い始めている。

北朝鮮が積極的な外交攻勢にシフトした背景には何があるのか。4月末の南北首脳会談と5月の米朝首脳会談のポイントは何か。北の非核化ははたしてあり得るか。今後の展開はどうなるのか。本稿では、そうした点を考察していきたい。

この春は「サミット」が次々と開かれる

東アジアを舞台にした国際政治では今春、3月25~28日の中朝首脳会談を皮切りに、「サミットシリーズ」が開幕したところだ。4月17~20日の日米首脳会談、4月27日の南北首脳会談、5月上旬の日中韓首脳会談、そして同月中に行われる見込みの史上初の米朝首脳会談、さらには同月下旬には日ロ首脳会談も予定されている。それぞれの会談で北朝鮮問題が主要テーマになるとみられる。

北朝鮮情勢の分析で定評のある共同通信客員論説委員の平井久志氏は、3月31日に早稲田大学で行われた北朝鮮問題をテーマにした国際シンポジウムで、現在の情勢が北朝鮮の予想をも超えたドラスティックな展開に至っているとの見方を示した。

平井氏は「おそらく北朝鮮も平昌オリンピック参加と南北首脳会談までは計画していたと思う。しかし、米朝間での『早く会いたい』とのメッセージに対し、(ドナルド・)トランプ大統領がその場ですぐにオッケーするとは、北も予測していなかったのではないか」と述べた。

次ページトランプによる米朝会談提案受諾が引き金
関連記事
トピックボードAD
人気連載
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

  • NO NAMEff6d8891fe7a
    今回も高橋さんは武貞さんと同じスタンスですか。
    ニュース女子は、ネットでしか見られなくなったけれど、あなたの坊ちゃんキャラは鮮明に覚えていますよ。
    こういう記事を書いておけば、また北行きの航空券を貰えるでしょうが、北の問題は、複雑な方程式なんです。
    トランプが恐らく板門店で正恩と会うからには、非核化を強く迫るだろうし、北が拒否すれば、トランプは直ちに席を立って、「鼻血作戦」に出ます。要するに正恩の意思に関係なく非核化を行う訳です。確かに中国の出方が悩ましい要素だし、日本としては、欧米から村八分のロシアに微笑み掛けて、北と中国をけん制したい所ですが、誰か知恵者はいませんかね。日本としては、韓国に昔払った3兆円を用意しないといけないでしょう。非核化の場合は。
    up10
    down9
    2018/4/4 11:37
  • NO NAME5cac94f5659c
    ホリエモンにイーロンマスク、ロケット打上に情熱を注ぐ人達に共通点。単純に金正恩がミサイル開発ごっこに飽きたのかも。
    up3
    down8
    2018/4/4 11:59
  • 痴漢冤罪は男性へのセクハラec7ac09f1291
    日本は北の核保有を前提に非核三原則の見直しを早急に進めるべき。今すぐはできなくとも、長期的には核武装するチャンスを伺うべきである。また、独自の核武装ができなくとも、米国とのニュークリアシェアリングを進めるなどして、核抑止力を高めてゆくべきだ。
    up12
    down17
    2018/4/4 11:09
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
米中貿易戦争の悪夢

トランプ大統領は「中国が米国の知的財産権を侵害している」として、中国からの輸入品目に高い関税を課すと発表。当初、中国は受けて立つ構えを見せたが、本気で報復するのか?