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DedMityay / Shutterstock.com

音楽業界ではストリーミングの利用者が急増するなかで、ジャンルとして急成長を遂げたのがヒップ・ホップだ。ヒップ・ホップのアーティストたちはテクノロジーを理解し、アルバムではなくプレイリストを押し出すことで、ストリーミングでの人気を拡大させた。

米国ではヒップ・ホップのアーティストが仮想通貨ビジネスに参入するケースも増加中だ。その一例にあげられるのが、伝説のラッパーとして知られるオール・ダーティー・バスタード(2004年没)の息子のヤング・ダーティー・バスタードだ。

2018年3月に彼は、ICOで自身の仮想通貨を発行する計画を明らかにした。バスタードの仮想通貨はダーティー・コイン(ODB)との名称で、ICOで調達した資金をアルバム制作費などに充てたい考えだ。ファンたちはODBでコンサートのチケットや、グッズの購入も行えるようになるという。

ベテランラッパーのNas(ナズ)も仮想通貨に造詣が深いことで知られている。彼は2014年に、仮想通貨取引所の「コインベース(Coinbase)」の初期出資者に参加したと伝えられている。コインベースの利用者数は現在1300万人規模に達している。

キャリア25年を超えるヒップ・ホップグループ「ウータン・クラン(Wu-Tang Clan)」のゴーストフェイス・キラも昨年、仮想通貨関連企業の「Cream Capital」を共同設立した。

さらに、“ゲーム”のステージネームで知られるカリフォルニア州コンプトン出身のJayceon Terrell Taylorもブロックチェーンを基盤とした大麻の流通プラットフォーム「PARAGON」のアドバイザーに就任した。PARAGONは大麻の流通をブロックチェーンで管理することで、違法な流通を防止し、大麻の合法化を推進することを目標に掲げている。

PARAGONにはフォーブスの「30アンダー30」に選ばれたベンチャーキャピタリストのParis Rouzatiも参加している。昨年11月に同社は独自コインのPRGを取引所に上場させた。

一方で、仮想通貨関連のビジネスを買収する動きに出たのが、ラッパーで起業家のニップジー・ハスルだ。12月にデビューアルバム「Victory Lap」をリリースしたハスルは、アムステルダム本拠の仮想通貨企業「Follow Coin」を買収した。

ラッパーが参加した仮想通貨ビジネスには成功事例も生まれつつあるが、知名度を利用しようと企んだ企業が閉鎖に追い込まれる事例も起きた。世界的ラッパーのカ二エ・ウエストの名前を連想させる「コイニエ(Coinye)」というコインは、知的財産侵害行為でウエストから訴えられ、2014年に市場から撤退した。

編集=上田裕資

 

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