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【国際】

「自由、正義、平等」父の夢 道半ば キング牧師暗殺50年 長男に聞く

1963年8月、米ワシントンで「わたしには夢がある」と演説したキング牧師=AP・共同

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 【ニューヨーク=赤川肇】米国の公民権運動指導者マーチン・ルーサー・キング牧師の暗殺から四日で五十年になる。トランプ米政権下で人種や宗教、性などを巡る差別が助長される中、長男で人権活動家のマーチン・ルーサー・キング三世(60)は本紙の電話取材に「トランプ大統領は人権問題に関心があるようには見えない」と懸念。「人類の自由、正義、平等という父の『夢』は道半ば。もし生きていたら気掛かりだろう」と語った。

 キング氏は二〇一七年一月、就任直前のトランプ氏と面会した。多くの州で、マイノリティーや高齢者、貧困層が運転免許証など顔写真付きの公的身分証を持たないため、投票できない現状を打破する改革案を提案。トランプ氏は「いい考えだ」と賛同し、米ホワイトハウスで再びキング氏と話し合う考えを示したが、そのまま立ち消えになったという。

 キング氏は、人種や性差による不寛容さが今も残っていると指摘し、「不運にも時として大統領の言葉が差別をあおっている」とトランプ氏を批判。キング牧師の「私たちは兄弟姉妹として、共に生きるすべを学ばなければならない。さもなくば、共に愚か者として滅びるだろう」との名言を引用し、非暴力による問題解決を呼び掛けた。

 米フロリダ州で起きた二月の銃乱射事件後のデモでは、キング氏の長女ヨランダさん(9つ)が「私には夢がある。銃のない世界だ」と演説した。米国では五十年の節目に合わせ、キング牧師の功績をしのぶ行事が各地で開かれている。

<キング牧師> 1929年、米ジョージア州アトランタで牧師の長男として生まれる。黒人差別に対する非暴力主義の抵抗を提唱し、人種差別や性差別を禁じた公民権法や投票権法の制定に貢献。64年、ノーベル平和賞を史上最年少(当時)で受賞。68年、清掃作業員らのストライキ支援でテネシー州メンフィスの宿泊施設に滞在中、バルコニーで白人脱獄囚に射殺された。

 

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