アート&カルチャー
2018年04月03日 18時20分 JST | 更新 8時間前

「ドザえもん」被災者への配慮を理由に、タイトル隠される

福岡城まるごとミュージアムの展示方法に来場者から不満も

ちゅるさん提供
「ドザえもん」と、白い布がかぶせられたライトボックス(3月30日撮影)

京都市の美術家、岡本光博さんのアート作品「ドザえもん」が、九州北部豪雨などの被災者への配慮して展示の一部を隠されていたことが分かった。

 

■ドザえもんとは?

ドザえもん」は、人気アニメのキャラクターによく似た物体が水面に沈んでいる様子を示した人形。社会問題や著作権問題を積極的に扱う岡本さんの代表作の一つだ。3月30日から4月8日まで福岡城跡で開催されている美術展「福岡城まるごとミュージアム」で展示されている。

今回、キャラクターの人形はそのまま展示されたが、「ドザえもん」のロゴを表示するライトボックスには白い布がかけられて、来場者には見えなくされた。また、「ドザえもん」の解説パネルには「ドザえもん」の文字が黒塗りで消されていた。

 

■元々のライトボックス

岡本光博さん提供
「ドザえもん」ライトボックス(アクリル板、LED)

■今回の展示でのライトボックス

ちゅるさん提供
白い布がかぶせられた「ドザえもん」のライトボックス(3月30日撮影)

■タイトルが黒塗りで消された「ドザえもん」の解説パネル

ちゅるさん提供

「福岡城まるごとミュージアム」の事務局を務める福岡市文化振興課の担当者は、ハフポスト日本版の取材に対し「水害の被災者に配慮した結果、作家の合意を得てタイトルを隠すことにした」と説明した。

2017年7月の九州北部豪雨では同年12月時点までに、福岡県などで39人が亡くなっている

一方、岡本さんは「3カ月前には作品を福岡に送っていたが、開催1週間前になって『このままでは展示できない』と言われた。被災者に配慮するのは自由だが、なぜ搬入直前にそれを強要するのか」と福岡市側の対応に疑問を呈した。

岡本さんによると、市側からタイトル変更を求められたが拒否。「ドザえもん」の展示をやめるという選択肢もあったが、それだと憶測を呼ぶ可能性もあったので、あえて「タイトルを消された」状態の展示を受け入れたという。

その上で、岡本さんは「今回の対応は残念だけれど、とても面白く冒険的な展示は実現でき、福岡市には感謝している」と話している。

 

■「どこにも説明がないのです」来場者から不満も...

福岡市在住の現代アート愛好家の「ちゅる」さんは、イベント初日の3月30日に「ドザえもん」を見に福岡城を訪れた。桜の花びらと共にお堀に浮かんでいるのを期待していたが、「ドザえもん」は一室に閉じ込められ、作品のタイトル名が隠されていた。そのことに驚いて、Twitterに写真を投稿したという。

ちゅるさんは、ハフポスト日本版の取材に以下のように答えた。

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主催者のチラシやSNSでの情報発信では「ドザえもん」に関しては一切ノータッチ、露出なしだったので、「ドザえもん」は展示されていないのかもと思っていました。一体どんな展示をするのかとワクワクしながら、初日に出掛けました。

「都合により作品の一部に布を掛けています」等の説明がないかと、キャプションを見遣って、作品名が黒塗りされているのを見た時は愕然としました。

感想としては、「なぜ?」です。 岡本さん自身の意図で布かけ・黒塗りが行われた可能性もありますし・・。どこにも説明がないのです。野外展示ですから、事情を聞けるスタッフもおらず、作品を知らない観覧者は特に疑問を持たなかったかもしれません。

岡本さんや一部関係者が本ツイートをFacebook等で静かに紹介している様子からも、何かあったんだろうと推測しています。 どこかの国のように、役人が忖度して、美術家の表現を封じたのであれば、福岡市が「クリエイティブシティ」を名乗っているのに重大な問題だと思い、ツイートしました。

 
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