マダガスカル向け無償資金贈与契約の締結:アロチャ湖南西地域の灌漑施設の改修によりコメの生産量拡大に貢献

2017年7月25日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、7月24日、アンタナナリボにて、マダガスカル共和国政府との間で、「アロチャ湖南西地域灌漑施設改修計画」を対象として30億4,800万円を限度とする無償資金協力の贈与契約(Grant Agreement: G/A)を締結しました。

本事業は、マダガスカルの中央部に位置するアロチャ湖の南西地域における灌漑地区及びその上流域において、灌漑施設等を改修することにより、対象地域に安定的な灌漑用水の供給を図り、もって同地域のコメの生産量拡大に寄与するものです。

マダガスカルの農業セクターは、同国総労働人口の63%(2015年)、GDPの26%(2015年)を占める重要産業です。特にコメは同国民の主食であり、農民の7割以上が稲作に従事しています。しかし、同国の主要なコメの産地であるアロチャ湖南西の灌漑地区では、上流域の森林で焼畑や森林伐採が行われ土地が荒廃しているために、多くの土砂が下流に流入し、その結果、河川や灌漑水路に土砂が堆積し、灌漑用水の供給に支障をきたす要因となっています。他にも放流設備の構造が不十分なため冠水被害が発生する等の施設上の課題があります。

本事業により、安定的な灌漑用水の供給が可能となり、冠水被害も減少することで灌漑面積が拡大し、コメ生産量の拡大にも貢献することが期待されます。

JICAは、本事業に加え、灌漑施設周辺の植林や土壌崩落対策など流域管理に関する能力強化を支援する技術協力「ムララノクロム総合環境保全・農村開発促進手法開発プロジェクト」、改良稲作技術の開発・普及や水利組合連合の強化を支援する技術協力「コメ生産性向上・流域管理プロジェクトフェーズ2」も実施中であり、今後も同国の稲作農業を包括的に支援していきます。

【案件基礎情報】
国名 マダガスカル共和国
案件名 アロチャ湖南西地域灌漑施設改修計画(The Project for Rehabilitation of Irrigation System in South-West of Alaotra Lake)
実施予定期間 工期43ヵ月(入札期間含む)
実施機関 大統領府付農業・畜産担当省
対象地域・施設 アロチャ湖南西部地域のPC23灌漑地区およびその上流域
具体的事業内容(予定) (1)施設整備/機材調達
洪水放流工1ヶ所、頭首工5ヶ所、用水路(幹線2系統、2次8系統、分水工、水位調整施設等)、農道(幹線3路線、支線4路線、管理道路2路線)の改修
(2)コンサルティング・サービス
入札補助、施工監理
ソフトコンポーネントとして、本事業対象の灌漑施設の維持管理マニュアルの作成および維持管理研修の実施