エンタウオッチング
Huluは映像の「高級百貨店」を目指す(於保社長)
日経エンタテインメント!
2011年に米国から上陸し、日本で初めて定額制のオンライン動画配信サービスを開始したHulu。14年に、日本テレビが米Huluから事業継承し、15年に会員数100万人を突破。17年には164万人を超えた。Huluを運営するHJホールディングスの於保浩之社長に動画配信を取り巻く環境やHuluが目指すポジションを聞いた。
1985年、日本テレビ入社。14年より現職。「僕もほぼ毎日、Huluを見ています。ハマったのは『ウォーキング・デッド』や『ウェントワース女子刑務所』。スマホで続きが見られるので、移動時間や待ち時間が苦にならなくなりました」(写真:中村嘉昭) 「我々の一番の強みは、日本テレビという放送局が運営しているところだと思います。日本テレビの連続ドラマとのコラボレーションは他社さんにはなかなかできないものですし、グループ内に番組制作会社や、中継などの技術を支える会社もある。放送局のリソースを使えるのは、大きな強みです。
視聴されているジャンルで一番多いのは、国内外のドラマですね。『ウォーキング・デッド』などの海外ドラマや、地上波ドラマの見逃し配信も強い。見逃し配信は日本テレビを中心に、他局さんにも門戸を開いています。ドラマだけではなく、『今夜くらべてみました』などのバラエティーや『名探偵コナン』などのアニメも人気で、いろんなジャンルが、バランス良く見られている印象です。
オリジナルドラマはまだ数は多くないのですが、例えば、17年9月から毎週配信した『雨が降ると君は優しい』は、期間中ずっと視聴者数ランキングのトップでした」
同社がオリジナルコンテンツの制作を始めたのは、日本テレビが事業継承した14年から。小栗旬主演『代償』(16年)、玉山鉄二と佐々木希が主演した『雨が降ると君は優しい』など、豪華キャストによる話題作で注目を集めてきた。唐沢寿明主演の『THE LAST COP/ラストコップ』(15年)は、地上波での放送、Huluでの配信に続き、最後は映画化へと発展させている。4月27日からは、世界有数のケーブルテレビ「HBOアジア」と共同制作した、竹内結子主演の『ミス・シャーロック/Miss Sherlock』を配信する。
2011年に米国から上陸し、日本で初めて定額制のオンライン動画配信サービスを開始したHulu。14年に、日本テレビが米Huluから事業継承し、15年に会員数100万人を突破。17年には164万人を超えた。Huluを運営するHJホールディングスの於保浩之社長に動画配信を取り巻く環境やHuluが目指すポジションを聞いた。
1985年、日本テレビ入社。14年より現職。「僕もほぼ毎日、Huluを見ています。ハマったのは『ウォーキング・デッド』や『ウェントワース女子刑務所』。スマホで続きが見られるので、移動時間や待ち時間が苦にならなくなりました」(写真:中村嘉昭) 「我々の一番の強みは、日本テレビという放送局が運営しているところだと思います。日本テレビの連続ドラマとのコラボレーションは他社さんにはなかなかできないものですし、グループ内に番組制作会社や、中継などの技術を支える会社もある。放送局のリソースを使えるのは、大きな強みです。
視聴されているジャンルで一番多いのは、国内外のドラマですね。『ウォーキング・デッド』などの海外ドラマや、地上波ドラマの見逃し配信も強い。見逃し配信は日本テレビを中心に、他局さんにも門戸を開いています。ドラマだけではなく、『今夜くらべてみました』などのバラエティーや『名探偵コナン』などのアニメも人気で、いろんなジャンルが、バランス良く見られている印象です。
オリジナルドラマはまだ数は多くないのですが、例えば、17年9月から毎週配信した『雨が降ると君は優しい』は、期間中ずっと視聴者数ランキングのトップでした」
同社がオリジナルコンテンツの制作を始めたのは、日本テレビが事業継承した14年から。小栗旬主演『代償』(16年)、玉山鉄二と佐々木希が主演した『雨が降ると君は優しい』など、豪華キャストによる話題作で注目を集めてきた。唐沢寿明主演の『THE LAST COP/ラストコップ』(15年)は、地上波での放送、Huluでの配信に続き、最後は映画化へと発展させている。4月27日からは、世界有数のケーブルテレビ「HBOアジア」と共同制作した、竹内結子主演の『ミス・シャーロック/Miss Sherlock』を配信する。
『ミス・シャーロック/Miss Sherlock』 もしも東京に女性のホームズがいたら、という設定のドラマ。竹内結子主演、貫地谷しほりが共演 (C)2018 HJ HOLDINGS, INC & HBO PACIFIC PARTNERS, V.O.F 「人気の高い海外ドラマは今やどこの事業者さんも配信していて、なかなか独占できない。オリジナル作品は、他社との差別化の意味で、極めて大きい存在だと思っています。とはいえ、海外ドラマのように莫大な制作宣伝費があるわけじゃない(笑)。ただ単に企画力だけではヒットさせられないので、脚本や出演者、監督などの『掛け算』に注力しています。例えば『雨が降ると君は優しい』の場合は、まず『佐々木希さん』が『セックス依存症の女性を演じる』という掛け算が成立し、さらに脚本を『野島伸司さん』が書く、ということで話題になりました。その上であえて女性にターゲットを絞り、かなりピンポイントなプロモーションを行った結果、過去のオリジナルドラマの中でも一番のヒット作になりました。
そんなふうに実績を作ってきたことで、少しずつHuluオリジナルドラマのステイタスが上がっているとは思います。最初は『Huluとは何か』からご説明しないといけないので大変でしたが、最近ではオファーをしても『ああ、Huluね』と言っていただけるようになってきましたね」
■今は「市場」を広げる時期
17年7月には、東宝やヤフーなどと資本提携。今後は邦画との連動プロジェクトや、「Yahoo!Japan」との連携による会員増にも期待がかかる。また米Huluを傘下に持つFOXをディズニーが買収したことも、コンテンツ強化などの面で影響を与えそうだ。
『愛媛マラソン』 リアルタイム配信にも取り組む。2月4日には愛媛マラソンを配信した(C)HJホールディングス
「今は若い世代を中心に『テレビ離れ』が叫ばれていて、このまま放っておくと、みんなSNSやゲームに流れてしまいます。『映像を見る』という文化がなくならないよう、今は映像産業に従事しているみなさんが手を組んで、市場を広げることが大事です。ただ、現在の業界を俯瞰すると、プレーヤーの数が多いですよね? 創生期は乱立するものでしょうけど、今後、どこかで統廃合していくことはあるんじゃないかとは思いますね。
そこで生き残るためHuluが目指すのは、多様なジャンルのプレミアムな作品が並んでいる『高級百貨店』。以前、『HuluでHappy』というフレーズをCMで使っていましたが、目指すのはまさにそこです。寝る前に布団に入ってゆったりと映像を見て、『明日も頑張ろう』と思う。そんなふうに、みなさんの生活になくてはならない百貨店になりたいです」
(ライター 泊貴洋)
[日経エンタテインメント! 2018年3月号の記事を再構成]
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