小中学生7万人調査で分かった「スマホ」の影響 アプリ数と成績は反比例、LINEは特に?
ライフ週刊新潮 2017年5月18日菖蒲月増大号掲載
「脳トレ」教授が語る「スマホ」は脳の麻薬(2)
“脳トレ教授”として知られる川島隆太氏が、小中学生7万人を追跡して明らかになった「スマートフォン」の影響を解説。スマホを長時間使うことで、子供たちの脳の発達が悪くなっているのでは、と川島教授は推測する。
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次に、スマホのアプリについて一昨年度に調べた内容をお話ししましょう。(図A参照)
スマホを持っている子のなかで、家で勉強中にスマホをいじっている子は8割。持っていたらほとんどが使っている。ではスマホで何をしているのか。
音楽を聴くという子が6割強、ゲームするという子が3割強、いずれも勉強中にですよ。そして動画を見る、LINE等をするという子がそれぞれ4割強いる。そして、勉強中にスマホを使っている子のうち約6割は、複数のアプリをいじっているということが明らかになりました。それぞれのアプリ単体で学力にどう影響しているかを調べると、やっぱりLINE等を使う子は成績が低い。でも、動画を見ている、ゲームをしている、音楽を聴いている子もまた押しなべて成績が良くありません。
アプリのスイッチ数
その中で、何よりも成績低下に影響していたのが、何種類のアプリを勉強中にいじっていたかというアプリのスイッチの数です。(図B参照)スマホを使っていない子の場合、仙台市のテストで数学・国語・理科・社会の平均点が68点ぐらいだったのに対し、勉強中に1つだけしかアプリをいじっていない子は65点ほどに留まっていた。でも、2つ、3つ、4つ……使うほどに下がる。それは、2時間以上勉強する、家で勉強しない、ほぼしない子、どんなタイプであっても、使うアプリの数が増えると成績ががくんと落ちるのです。「2時間以上勉強していて、勉強中に3つ以上のアプリを使う子」の成績というのは、「ほぼ勉強しないでアプリ、スマホを使わない子」よりもかなり低くなっているということもわかっています。
つまり、スマホの弊害としてもう1つ把握できたのが、何にも集中できていないということです。ここから見えてくる子供の像というのは本当にかわいそうで、ゲームにすら集中できていないんじゃないかと。だから、いろんなアプリを使っちゃう傾向にあるというわけです。何かやっていてもすぐに違う動画を見たりとか、LINEだ音楽だゲームだと、あっちゃこっちゃ気が散った状態になっている。何も集中できない時間帯が長くあるということが非常に悪さをしているのかなという気がしています。
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