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新橋や新宿、上野などの東京都心部でおなじみの商業施設が、大規模地震の揺れに耐えられないかもしれない――。
東京都は3月29日、1981年以前の旧耐震基準で建てられた大規模建築物などの耐震診断結果と建築物名を公表した。対象となったのは2013年に施行された改正耐震改修促進法に基づき、都が所管する耐震診断が義務付けられた建築物。23区内では延べ面積1万m2を超える建築物、多摩部では所管行政庁10市を除く20市町村の建築物が該当する。
耐震診断を実施した847棟のうち18%に当たる156棟で、「震度6強から7に達する大規模地震で倒壊する危険性が高い」と診断された。「危険性がある」の建物を含めると約3割の251棟に当たる。
建築物の耐震安全性の評価は、危険性の高さに応じてⅠ~Ⅲに分類する。Ⅰは「倒壊の危険性が高い」、Ⅱは「危険性がある」、Ⅲは「危険性が低い」。ただ、評価がⅠやⅡであっても違反建築物というわけではない。
今回Ⅰに分類された著名な建築物として、港区ではJR新橋駅前の「ニュー新橋ビル」や六本木の「六本木共同ビル(ロアビル)」、新宿区では書店大手の紀伊國屋書店が入居する「紀伊國屋ビルディング」、台東区では「アブアブ赤札堂 上野店」がある。
紀伊國屋ビルディングは、東京都選定歴史的建造物にも選ばれている。紀伊國屋書店総務部は「紀伊國屋ビルディングは都から外観の維持を求められているため、外壁を覆うような耐震改修は難しい」と説明する。売り場面積は犠牲になるが、安全を優先するため、建物内側からの耐震補強工事を検討しているという。