たとえ短い命だったとしても、その存在がたくさんの者に影響を及ぼすこともある。子ヤギのジェリーは、幼くして母親に育児放棄されたという不幸な生い立ちを持つヤギだ。
カナダ、オンタリオ州にある『Black Goat Farm and Sanctuary』の創立者、メーガンさんはジェリーの生い立ちを聞き、ジェリーを引き取ることを決意した。
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育児放棄された子ヤギを受け入れた犬
動物界でも生んだ我が子を育てようとしない母親のケースは割と報告されている。ジェリーもそうだった。母ヤギに育てることを拒否された持つジェリーは愛とぬくもりを求めていた。
そんなジェリーに寄り添ったのは、同じ施設に住む犬のドレイクだった。
多くの子ヤギは母ヤギの上に乗って眠る。ジェリーはまるで母ヤギの上で眠るかのように、犬のドレイクの上で眠るようになった。
ドレイクはジェリーを受け入れた。いつしかドレイクはジェリーの毛並みを整えたり、一緒に眠るようになり、時間を共にすることが増えたという。
小さな体に果てしない孤独を抱えていたジェリーだが、ドレイクの愛情に包まれ、幸せが訪れようとしていたその矢先、悲劇は起きる。
imege credit:Black Goat Farm and Sanctuary
ジェリーが病に倒れ帰らぬヤギに
ある日突然体調を崩したジェリー。急いで獣医に運んだところ、胃の中にガスがたまってしまう鼓腸症であることが発覚した。獣医の尽力もむなしく、ジェリーは息を引き取った。
imege credit:Black Goat Farm and Sanctuary
相棒の死が受け入れられないドレイク。失意のどん底に
ジェリーの突然の死に施設の人々はみな悲しんだ。ドレイクはどんな時もそばにいた相棒が突然消えてしまった事実を受け止めきれない様子だったという。
四六時中、あちこちジェリーのいそうな場所を探し回るドレイク。ドレイクのやりきれない寂しさは施設全体に伝わっていった。
その寂しさをいち早く感知し、共鳴した者がいた。ヤギのドッティだ。
imege credit:Black Goat Farm and Sanctuary
親友のヤギを失った犬を救った別のヤギ
ドッティもジェリー同様に悲惨な過去を持ち、施設にやってきた当初、ドレイクに慰めてもらった過去がある。
今じゃ元気に成長し、楽しくやっていたドッティだが、かつてやさしくしてくれたドレイクの悲しんでいる様子を見て放っておけなかったのかもしれない。
ドッティはつとめてドレイクに寄り添うようになった。ドッティの存在がドレイクにどれほどの慰めになったことかわからない。
「ドッティは毎朝やってきてドレイクとともに添い寝するようになりました。ひょっとしてドレイクの悲しみをわかっていたのでしょうか。」とメーガンさんは語った。
imege credit:Black Goat Farm and Sanctuary
ヤギは他者の感情を感知する能力に長けており、友情を大切にする動物だ。親友との別離が辛すぎて何も食べられなくなってしまう個体も存在する。
・「会えないよ、悲しいよう。」 何も食べられなくなってしまったヤギにロバと再会させたところ元気を取り戻した!(アメリカ) : カラパイア
ヤギとの別れの寂しさを埋めてくれたのは、やはりヤギだった。
imege credit:Black Goat Farm and Sanctuary
今ではすっかり心の傷も言えたドレイク。妹と一緒に引き取られてきたというドッティを毎日そばに置き、世話してやるんだそうだ。
imege credit:Black Goat Farm and Sanctuary
施設内では人間も動物もみんなが支えあい、ジェリーの死という悲しい出来事を何とか乗り越えつつあるという。
imege credit:Black Goat Farm and Sanctuary
命は儚い。特に動物の命は短く突然この世から去ってしまうこともある。だが彼らと過ごした時間はかけがえのないものだ。
彼らは愛することの尊さ、全てを受け入れありのままに生きること、いつかは必ず終わりがくるということを、その身をもって教えてくれる。
愛する者を失ったときの寂しさは計り知れないものがある。だが愛は愛へと紡がれていく。愛することをやめなければ、出会いのサインを見失わなければ、愛は永遠に連鎖していくのだ。
References: The Dodo/Black Goat Farm and Sanctuary/など / written by kokarimushi / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
優しい子達
2. 匿名処理班
最後の3行で涙がどばっと出た。
とても良い言葉だね。はっとさせられた。
パルモさんの愛を感じた。美しい愛の言葉だ。
私も愛をつなげていきたい。
どうもありがとう。
3. 匿名処理班
群れになれると群れから離れられないって本能的なものかもしれないけど、どうしてもそれだけじゃない風に感じてしまう
4. 匿名処理班
目から水が出てブワッなったけど、
>ジェリーが病に倒れ帰らぬヤギに
↑
ここだけは吹き出したわ。
5. 匿名処理班
みんな目が優しいな。
6. 匿名係
カラパイアさんは最近私の昼休みを涙であふれさせようとしているな。
7. 匿名処理班
花粉がいっぱい飛んでる…
山羊といえば高いところに登りたがるヒャッハーな奴らだと思ってた
仲間思いなヒャッハーなんだな