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ベテランと新人の見事な融合、そこから生まれる無限大のエネルギー 映画『サイモン&タダタカシ』阪本一樹×須賀健太×小田学監督インタビュー

2018年3月26日(月) 23:14配信

小田学監督、阪本一樹、須賀健太

小田学監督、阪本一樹、須賀健太

日本最大のインディペンデント映画の祭典「PFF(ぴあフィルムフェスティバル)」。園子温、橋口亮輔、矢口史靖、熊切和嘉、李相日、荻上直子、内田けんじ、石井裕也など日本映画界の第一線で活躍する監督たちを輩出してきたこのPFFから、また新たな才能が世に飛び出す。「PFFアワード2014」に入選、革新的でチャレンジングな作品に贈られるジェムストーン賞を受賞した小田学が長編映画デビューを飾る意欲作『サイモン&タダタカシ』が劇場公開される。本作は、工業高校に通う二人の男子サイモンとタダタカシの2人が繰り広げるロードムービーだ。

劇団「兄貴の子供」の主宰など劇作家としての顔も持つ小田と、主演に抜擢された新星・阪本一樹、そして阪本とは事務所の先輩という関係でもある須賀健太。とにかくエネルギッシュな本作についていろいろと語ってくれた。

※多少のネタバレを含みます。

ドラマあり、ファンタジーあり、特撮あり…監督のすべてを集約

――まず監督にお伺いします。正直、この作品を観て衝撃を受けました。見受けるビジュアルイメージからは全く予想を裏切る内容・展開ですが、どういう話を描きたかったんでしょう?

小田監督:基本的には、こういう企画(PFF)だったので、自分の中にあるものをとにかく詰め込もうと考えていました。男って描いていて面白いんですよ。実際僕にもタダタカシみたいなやつがいたので、「(そいつと)実はこういう事があった」みたいなことを妄想した感じですかね。実際は特に何もなかったんですが(笑)。

(C)2017PFFパートナーズ

(C)2017PFFパートナーズ

――本作では実写あり、特撮あり、アニメありと…これだけの要素を詰め込んで、全体のバランス構成はどう考えていきましたか?

小田監督:最初書いた時は何もつながらなかったんですね。でもとにかく「ケンタウロスは出したい」とか、僕の地元ではヤンキーが最近やたら減っていて「それはきっと宇宙人にさらわれているからだろう」とか「映画の中でモザイクが出てきたら面白いな…」とかやりたいことはたくさんあって。そういった超細かいディテールから出来ていって、繋げていった感じですね。

――その繋がった結果がとても緩急の激しいものになっていると思いましたし、いろんな楽しみ方が出来ますよね。

小田監督:“何か大きいことをやりたい”というのは僕の中に常にあるんです。僕は舞台も短編映画もやっていますが、「映画は静かな感じ、舞台はハチャメチャ」でやってきたところに違和感があって、本当はやりたいことが出来るのは舞台で、映像でそれをやると嘘っぽくなっちゃうんですよね。この作品ではUFOが出てたりしますけど、それを違和感なく「こういう世界なんだ」と受け止めてもらえるような仕組みにしようと思って。だから最初にケンタウロスを出せば、「この映画はこういう世界観なんだろうな」と思って観てもらえると思ったんです。

(C)2017PFFパートナーズ

(C)2017PFFパートナーズ

――監督が思う舞台と映画の一番の違いはなんでしょう?

小田監督:舞台は結構嘘つけますよね。「〇〇が来たぞ!」っていったら、想像力で何でも出来ますよね。でも映画の場合だったら映像次第でそれはちゃちく見えてしまう。僕はそれを混ぜてみたくて…チープな感じだけど、リアリティもあるという…そこをなんとか出来ないかなと模索したつもりで、上手くいったかどうかは分かりませんが、『サイモン&タダタカシ』で出来たんじゃないかなと思っています。

――この作品の中で、監督が一番こだわったところは?

小田監督:一番は、サイモンとタダタカシを見ていて「楽しそうだな」とか「この2人良いな」と思ってもらえることですね。実際、映画の中では何も起こらなくて何も解決していませんけど。僕のやりたいことは無茶苦茶詰め込むけど、「とにかくこの2人がよく見えるように」ということは気を遣ったところですかね。

デビュー20周年の須賀健太と新人・阪本一樹はまさにサイモン&タダタカシそのもの?

――お二人は脚本を読まれて、完成図が想像できましたか?

須賀:いや…もうハリウッド映画かなと思いましたね。

小田監督:(笑)

須賀:台本を読んだ時にこの映画を観たらどう思うんだろうと興味がわきました。すごく真っ直ぐな映画にはなるだろうなと思っていたし、僕らはどんな事が起きても「誰かを好き」とか「誰かと居たい」という気持ちだけで演じればよかったので、ある種観客的な楽しみ方をしましたよね。

(C)2017PFFパートナーズ

(C)2017PFFパートナーズ

阪本:初めての映画出演だったので、まず台詞を覚えきれるか不安でした。前半は予想できたんですけど、後半にいくに連れて本当に監督にしか思いつかないような展開になっていくので。ラストはどういう映像になるのか気になっていました。いざ映画観たらアニメーションやジオラマなどがいい感じでマッチしていて、面白かったですね。

――阪本さんは今回はじめてのお芝居で映画主演でした。演技指導も受けたと思うんですが、やってみていかがでしたか?

阪本:監督と撮影前に1ヵ月ほどマンツーマンでやらせていただいて、その中で監督のイメージしているサイモンに近付こうと頑張りました。練習したものを出すことに集中していたので、撮影現場では特に緊張することはなかったですね。

――監督と阪本さんがサイモン像を作り上げて、須賀さんが合流したと

小田監督:サイモン像というよりは、阪本くんがお芝居はじめてだったので、例えば僕が考える「面白いこと」の塩梅といった共通言語がなるべく出来るようにしましたね。撮影期間が短かったこともあって、それがなければどうにもならないなとは思っていたので。

――監督から観た阪本さんと須賀さんのケミストリーはいかがでした?

小田監督:僕は、彼らがサイモン&タダタカシだと思って見ていたので、最初からしっくり来ていましたね。むしろ阪本くんと撮影前に稽古しているときのほうがいろいろあったかな。須賀くんは合流したときはすでに仕上がっていて「こんなに早く覚えるんだ」と驚きましたし、2人が揃って始まったときにはもう出来上がっていたので、ただそれを見ていっただけでした。

(C)2017PFFパートナーズ

(C)2017PFFパートナーズ

――ちなみに阪本さん自身とサイモンは近いですか? 遠いですか?

阪本:近いです。感情を表にワーって出すタイプじゃないので、内気な感じのサイモンと似ているかなと思います。キャラは似ていたので後はセリフのトーンなどを監督と作り上げていきました。

――阪本さんは今回高校生役でしたが、そうじゃなかったらどうだったかなって考えたことはありましたか?

阪本:高校卒業してすぐの撮影だったのと、かつサイモンが似たような人物像だったから演じれた部分はあったと思いますね。これが高校生じゃなかったら、ちょっとここまで自然な感じにはならなかったかなと。

――では、自分の演技に手応えはありましたか?

阪本:映画を観たらちゃんとサイモンに近づけたとは思うので、手応えというより、お客さんにそういう気持ちになってもらえるような演技はできたかと思います。

――須賀さんとのやりとりのなかで圧倒されることはありませんでしたか?

阪本:2人のバランスというか、須賀さん演じるタダタカシに対してサイモンが静かになりすぎないように、一定のテンションを保っていました。サイモンは内気な性格ですが、2人の仲の良さを出すというのは難しい部分でもありました。

――須賀さんが引っ張っていくキャラクターなので重要だと思ったんですが、凄く良かったです。

須賀:ありがとうございます。

――タダタカシの牽引力がないと、サイモンが活きてこないですよね

小田監督:そうなんですよ。

(C)2017PFFパートナーズ

(C)2017PFFパートナーズ

――共演された須賀さんから阪本さんへ何かアドバイスなどされましたか?

須賀:カメラの前に立ったり、一つのシーンを撮るのに何回も繰り返したりすることはもちろん初めてだったと思いますが、僕が特にお芝居のことをなにか言うこともなかったですね。どちらかと言うと阪本くんの成長を一番近くで、ドキュメンタリーで見ているような、そんな感覚でしたね。

――須賀さんから見て、役者としての阪本さんはどうでしたか?

須賀:意外と物怖じしないんですよね。疑問に思っていないだけなのかもしれないですが(笑)

阪本:(笑)

須賀:割とどんなシーンでもちゃんとやっていたので。それは僕が知らない間に監督と2人で作っていたこともあったと思いますけどね。肝が座っているなと。それは感じましたね。

阪本:僕はそういう感覚はなかったですね(笑)

須賀:緊張してた?

阪本:いや…緊張…やっぱり監督と事前にやっていたので多少の自信は付いていたと思うので、撮影中の緊張はあまりなかったですね。

――ご自身は客観的に観れましたか?

阪本:はじめは見られませんでした。ただ、サイモンのタダタカシに対する気持ちは大切にしていたので、映画を観てくださったお客さんから「片想いのサイモンを応援したくなった」って言われた時にサイモンになれたんだと実感しました。

(C)2017PFFパートナーズ

(C)2017PFFパートナーズ

名言・名曲…小田節が随所に炸裂

――この映画は名言のような印象的なセリフが何度も出てきますし、そういう言葉をキャラクターに何気なく言わせていますよね。これは監督の体験なり経験が生かされているんでしょうか?

小田監督:そんな事ないですよ。キザっぽい言葉は言いたいなと思っていたので、サラッとではなくちゃんと立てるようにして。舞台でも割とそういうような台詞は言ってたりするんですよ。例えばラーメン屋の未亡人に告白する時に「あなたのラーメンにしてください」みたいなことを言ったりとか…

須賀:(笑)

――あと、タダタカシが作っている劇中歌ですが…

須賀:名曲ですよね!

――なんと監督が作詞で

小田監督:いろいろ考えてみたんですよ。でも上手く行かなくて、本当に素直に好きだということをやるときのことを書いてみたら「意外とこれで良いんじゃないかな」と思って。で歌を作ってくれる小田切くんとカラオケに行ってオッサン2人で「ちょっと書いてきたからさ、歌ってみてよ」って。それを聞いて「あ、いいじゃんいいじゃん!」ってなって。ちょっとうるうるしながら聴いていました。それで出来ました。

(C)2017PFFパートナーズ

(C)2017PFFパートナーズ

――ウルウルした…?

小田監督:“なんか良いな”と思ったんですよね。こうなるんだと全然思っていなかったので。

――タダタカシにぴったりな歌ですよね。

小田監督:そう。真っ直ぐな感じ。実際本番見ても須賀くんに何回も歌ってもらっていて、普通に気持ちよかったですもんね。「いいなぁー」って。

須賀:最初歌詞もらって聴いて「なんなんだこの歌(笑)」って思ったんですけど。

小田監督・阪本:(笑)

須賀:実はこれを本当に歌うのかと思ったんですが、やっぱりね…歌っていてすごく感情が入ると言ったらあれですけど、気持ちがこもりましたし、演じている時は本当にいい曲だなと思えました。

(C)2017PFFパートナーズ

(C)2017PFFパートナーズ

――まさかのサイモンも…

須賀:(サイモン)がハーモニカ(笑)だし

小田監督:面白かったなー、あれ(笑)。稽古ではじめて吹いたときも面白かったんですよ。

須賀:それもリハーサルしたんですけど、ヘタクソだったんですよ(笑)。個別で練習してきて、いざ合わせる時、ぜんぜん俺に合わせてくれない(笑)。自分のテンポでやりだすので…

小田監督:面白かった、あれ。

『スタンド・バイ・ミー』に負けないロードムービー感が出たなと(須賀)

――須賀さんはデビュー20周年にこういう作品が公開されるわけですが

須賀:最高ですね。映画のいろんな可能性も感じましたし、実は僕は仕事で試写に行けず、家族と家で観ていて、その時母親が「この映画ヒットして欲しいな」と言っていたので…ヒットさせたいです

――役どころに対しての反応はいかがでした? あんな歌も歌ってますけど

須賀:喜んでくれたんじゃないでしょうか。僕はロードムービーが好きだし、『スタンド・バイ・ミー』に負けないロードムービー感が出たなと思っています。

――監督にとっては、いよいよこの映画が公開されるわけですが、結果、やりたいことはどれくらい出来ましたか?

監督:台本を削ったりとかありましたけど、結構できたんじゃないかなと思いますね。爆破も出来たし…

阪本・須賀:(笑)

(C)2017PFFパートナーズ

(C)2017PFFパートナーズ

小田監督:もうちょっと撮影日数があれば時間をかけてみたかったところもありましたけどね。それに今回は天候も…風が奇跡的に吹いたり…

須賀:あれ凄かったですね

小田監督:準備してなかったんですけど、風のおかげで結果的にUFO感がすごく出ました。

――吹かせていないんですか?

小田監督:たまたまです。

須賀:ただの突風なんです(笑)。

小田監督:信じられないくらい吹いたよね。

須賀:とてつもなく寒かった…(笑)

小田監督:そういうのがあったから良かったです。ほとんどできたんじゃないかなと思いますね。自分的な反省はたくさんありますけど。


映画『サイモン&タダタカシ』
公開中

監督・脚本・編集:小田学
出演:阪本一樹 須賀健太 間宮夕貴 井之脇海 田中日奈子 山本圭祐 大島蓉子 菅原大吉
主題歌/どついたるねん「静かなるドン」(SPACE SHOWER MUSIC)
製作/PFFパートナーズ(ぴあ ホリプロ 日活)
制作プロダクション/日活 ジャンゴフィルム
配給/日活
2017年/日本/カラー/84分


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須賀健太

生年月日 1994年10月19日(23歳)
星座 てんびん座
出生地 東京都

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