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「時間の奪い合い激化の末、マンガは最強のメディアに...
2018年3月1日、ホリエモンこと堀江貴文氏が、NewsPickscomic編集長に就任し「忙しいビジネスパーソンほど、マンガを読め」という、強いメッセージを発しました。
これを受けて、マンガ新聞が運営するオンラインサロン「ネットマンガラボ」は、その活動内容をリニューアルして、芽生えつつあるネットマンガのアイディアを形にしていきます。
サロンのフェローをつとめ、一流作家のエージェントとして知られる佐渡島庸平氏と堀江氏に、このオンラインサロンで何をしていきたいのか、インタビューしました。
マンガはブルーオーシャン
---堀江さん、NewsPicksComicの編集長就任おめでとうございます。インタビューでマンガはブルーオーシャンと語っていましたが、そこをもう少し教えてください。
(注:上記リンク先はNewsPicks有料記事になります。全てを読むには登録が必要です。トップの閲覧は無料です)
堀江:人類70億人のうち、マンガを読み慣れている日本人は1億人とすると。70億分の69億は、まだマンガを読み慣れていないです。もしかしたら中国で1億人位プラスが出るかもだけど、その残りの69億人にマンガを届けることが出来れば、今の何十倍も売ることができます。マンガアプリの普及でマンガを読むことが便利になり、誰でも恥ずかしがらず、気軽に読めるようになったとも思います。
---なるほど、今は市場としてない所を、新たな市場に出来るチャンスがまだあるということですね。
堀江:もうひとつ。理論的に言うと、マンガは時間密度が高いメディアで、一定時間で摂取できる情報量が一番詰め込まれているフォーマットなんです。今はみんな、ダラダラ生きているから、スマートスピーカーとかをありがたがっているけど、ぼくが音声コンテンツをあまり推奨してないのは、時間対情報密度がスカスカなので、情報を能動的に吸収する媒体としてはすごく不利だからです。音楽や、軽いトークなど、BGMとして流すものはそれでも良いですが、それなりの課金をしにくいのが弱点です。
音楽や映像のように受け身のメディアに比べて、マンガは、能動的に情報を取るには最強のメディアです。これから、より時間の奪い合いが激化していく中で、時間対情報摂取量が最強のマンガは強いメディアになります。そのフォーマットや文法を理解した人からすると、時間効率が凄く良い。その読者というのは、収入も多い時間単価の高い人たちになっていくと思います。
つまり、合理的に考えると、マンガは時間単価の高い人に読まれるメディアになるはずです。
---それは、今までマンガの読み手に対する印象と、かなり変わっていきますね。
佐渡島:情報処理の量が堀江さんと世間で時差があるんです。4年くらい前に、堀江さんがなんでも短文で処理することを見て、ぼくはあまりピンと来ていなかった。今になって、自分の情報処理量が上がってくると、全部短文で処理するようになって、やっと堀江さんに追いついた感じ。堀江さんと自分でも3-4年差がある。世間はさらに数年遅れてくると思う。
---堀江さんに佐渡島さんが最近追いついて、そこに世間が後から追いつくということですか。
佐渡島:その時、マンガが表現する物語の良さだけではなくて、短時間での情報処理量が多いということが、実感としてすごく来ると思います。
堀江:逆に言うと、ドラマとかが冗長すぎて、早送りしている人も増えてる。動画でも『君の名は』などは本当に情報を圧縮している。そういうものは支持されているし。
---そうなっていくと、読まれるマンガも変わっていき、作り手側も変わっていきそうですね。
佐渡島:過去の名作をイーストプレス社が漫画化している(*まんがで読破シリーズ)が、それがずっと売れ続ける良い資産になっていると思う。普通のマンガ編集部は、オリジナル創作マンガを立ち上げてこそ一流という感覚を持っている。
堀江:それは、芥川龍之介の時からそう。芥川も古典を現代風に翻訳するのが上手いだけと批判されたが、彼が羅生門をかみ砕いたから、羅生門が世に知られたということもある。
佐渡島:今のところ、マンガの世界では一流の漫画家はオリジナル創作の世界にしかいない。これが、古典やビジネス本を漫画化するというところに、一流の作家が参加し始めたら面白いことになる。
[1937年に発売された『君たちはどう生きるか』がマンガ化され、大ヒットしたことは記憶に新しい]
堀江:ビジネス本を漫画化するようなときは、マンガを映画化するくらい、大胆に変えてしまって良いと思う。多動力を漫画化した時は、原作と全然違う無人島の話になっていたが、一切監修してないんだよね。いきなり、ほとんど出来上がった原稿が送られてきて、そこで初めて画像を見たんだよね(笑)
佐渡島:二次創作的な感じですよね。
堀江:そう。二次創作的に出来てきているのだけども、印税は映画の原作料よりも全然もらえているし、どんどんやって欲しいと思います。映画とかドラマって、マンガとだいぶ違うじゃないですか。『カバチタレ!』みたいに、主役が男から女に変わるみたいな。映像映えを狙うようなアレンジは良いと思う。
ハリウッド映画のプロットも、AIで作れるようになる方法論はあるはず。マンガの工業化も出来ると思うんです。
----NewsPicksComic 編集長になって、このネットマンガラボ(*)の中で、堀江さんは特に何がしたいですか。
堀江:まずは藤野英人さんと進めている経済歴史マンガを進めたいです。あの「旗振り山の話」が面白くて、あれは『JIN-仁』なみに面白くなるはずです。
[旗振り山の話とは?サロンメンバーにより描かれたイベントレポート]
昔から多く読まれている経済本などを、しっかり面白いマンガにするなどしたいですね。江副浩正さんの本や、最近だとナイキ創業者の『SHOE DOG』、マクドナルド創業者の映画『The Founder』とか、マンガにすると面白いと思います。
あとは、宇宙の話などを漫画化したい。NASAの小野雅裕さんの本とか。小野さんは監修にこだわりそうだけども(笑)
佐渡島:堀江さんの話を聞いて思ったことがあります。例えば宇宙業界の場合、既存の宇宙業界にいる人たちは、既に十分自分たちのいる業界が十分に大きいと考えていたと思うが、堀江さんは宇宙業界を今あるものよりもっと大きくなるものだと思って夢を語り、そこに投資をしています。
マンガ産業も、関わっている人たちは、今の形こそ日本の文化で、既に成熟していると考えている人が多くて、世界に展開しても市場が多くて2倍になるくらいに考えていると思う。でも、堀江さんの考え方だと、マンガの市場規模は世界に展開して、百倍とかもっと大きくなるというビジョンです。
映像業界でも、原作と映画というもともと大きい市場の間に、連続ドラマみたいな隙間があって、それだけで大きな市場になっているし。
---その取り組みのきっかけづくりを、このサロンでしたいということですね。ありがとうございました。
現在、ネットマンガラボでは、漫画家、原作者、マーケターやプランナーなどのメンバーと、藤野英人さん&ホリエモン原案の「経済歴史マンガ」や、過去のホリエモン本漫画化などの企画が漫画家たちの手で形にしていっています。ネットでの発表や、News Picks Comicでの書籍化などに向けて試行錯誤が、今年に入って本格的に開始しました。
漫画家として新しいことにチャレンジされたい方は勿論、この新しい取り組みに、編集者、プロデューサー、プランナー、マーケター、コミュニティマネージャーなどとなり参加したい方、時には一緒に企画を考えることにチャレンジしたり、面白そうな企画が出来上がっていく様子を眺めたりと、サロンに関わりたい人を募集中です。
サロンは誰かが何かを教えてくれる学校ではありません。参加した人が自ら行動して、経験を積みにいく場です。そうしたチャレンジがされたい方、漫画家コース(審査あり)でも、一般コース(審査なし、漫画家をサポート)などに、ぜひ参加をご検討ください。
リニューアルも行われ、注目のイベント2018/4/8開催。
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