この記事は日経 xTECH登録会員限定ですが、2018年4月3日16時まではどなたでもご覧いただけます。

 2018年度最初の営業日となった4月2日、IT大手各社が入社式を開き、各社社長が新入社員を前に訓示を行った。

 NECの新野隆社長は「地球との共生、安全・安心な都市・行政基盤など、NECが取り組む領域として設定している7つのテーマは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)と多くの共通点があり親和性が高い」と指摘。デジタルトランスフォーメーションに取り組むユーザー企業が増えていることを踏まえ「NECが強みを持つAI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)などの先進技術を駆使し、ユーザー企業やパートナーとの共創の取り組みで新たな社会価値を提供し続け、持続可能な社会を実現していこう」と呼びかけた。

 富士通の田中達也社長は「産業のみならず社会そのものの構造変革が世界中で起こっており、富士通にとっても今まで経験のない激動の時代に入った。その変化をもたらしているのがデジタルトランスフォーメーションだ」とデジタルトランスフォーメーションに言及。そのうえで、「デジタル時代はデータを基軸に様々なサービスの『つながり』が新たな価値を生み出す。そのため1社だけで頑張るのでなく、業種・業界の垣根を越え大学・研究機関・ユーザー企業などとつながるパートナーシップが重要だ」と強調。新入社員にもそうした「つながり」作りの最前線で活躍してほしいと期待を示した。

 日立製作所の東原敏昭社長は「会社として変えてはならないもの、変えるべきもの」について説明。前者については、仲間と自由に議論し、結論が出たら全員が団結して協力する「和」、他者に責任を転嫁せず誠実にことに当たる「誠」、失敗を恐れず困難にも進んで挑戦する「開拓者精神」の3つを挙げ「1910年から受け継いできた創業の精神を新入社員も受け継いでほしい」とした。後者については、日立が創業製品のモーターから社会インフラの運用・制御技術、IT、それらを組み合わせた「社会イノベーション事業」へと事業領域を広げていることを挙げ「めまぐるしく変化する世界で新たな価値を創出し社会に貢献し続けるために、日立自身が常に変化・進化することが大事。皆さんにも進化の一翼を担ってもらいたい」と期待を込めた。

 NTTデータの岩本敏男社長は「これまでの常識や価値観では考えられない動きが世界中で起こり、社会や環境の変化が多くの不確実性をもたらす時代となった。その中でITは指数関数的な速さで進化しており、人々の生活を劇的に進化させる可能性を持っている」としたうえで、「皆さんはそうした可能性を秘めたITを扱う仕事をしていくという認識を強く持ってほしい」と呼びかけた。2018年はNTTデータが創業30周年を迎えることにも触れ「当社が提供するシステムはビジネスや社会を幅広く支える存在となったが、今後も私たちが顧客や社会から必要とされる企業であり続けるには、期待通りのニーズを満たすだけでなく、顧客や社会の思いを形にするような新たな価値の創造が求められる」として新入社員に奮起を促した。

KDDIやヤフー、新社長も決意表明

 4月1日付で社長交代のあったKDDI(au)やヤフーは、新社長が最初の業務として入社式の訓示に臨み、それぞれの思いを表明した。

 KDDIの高橋誠社長は「携帯でインターネットができるようになった19年前から、激しい競争と技術の進化によって様々なイノベーションが起こり続けている。通信分野は変化が激しく可能性も拡がるからこそ、仮想移動体通信事業者(MVNO)や新たな事業者が参入してくる。時代は業種を超えた大競争時代に突入している」と語り、楽天による自営のLTEサービス参入など近年の競争激化について触れた。そのうえで「変化の激しい時代だからこそ、KDDIは顧客にとって一番身近に感じてもらえる会社であること、そして世の中を少しでも楽しくするサービスを提案し続ける会社であることを追求し続けたい」と表明した。

 ヤフーでは4月1日付で最高経営責任者(CEO)となり、6月に社長へ就任予定の川辺健太郎氏が登壇。「インターネットの普及や情報のデジタル化により、個人が力を持ち、主体性を持つ社会へ変化した。ヤフーの新経営体制は『未来は予測するものではなく、創るもの』を信じた集団であり、それを実行していく会社にしたい」と決意表明した。また、「私は大学生時代にインターネットに驚きと感動を覚え、以来インターネットのサービスを作ってきた。人々の課題を解決し、世の中が変わっていくことが楽しくて夢中になっている。新入社員の皆さんもインターネットを心底好きになり、全社員と一緒に未来を共に創ろう」と呼びかけた。