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フリマアプリ大手メルカリが規約違反の売買を防ごうと、対策の強化を急いでいる。本人の年齢確認をはじめとする利用手続きの改善、人工知能(AI)などによる不正出品の自動検知、監視や顧客サポートの体制強化が柱だ。成長重視だった時代を越え、社会が求める「大人」の会社へと脱皮する道を模索する。
「社会の期待値と我々の対応のズレについて、多いに反省すべきだった」。2018年3月22日、メルカリの小泉文明社長は不正対策の強化を発表した際にこれまでの対応について反省の弁を述べた。
同社が現在最も力を注ぐのが、不正な取引を未然に防ぐための対策だ。この3月には未成年の利用者を対象に、法律で禁じられていたり同社が有害と判断したりする商品を購入できないようにする対策を導入した。該当する商品を購入しようとすると年齢の入力画面を表示し、20歳未満は購入できない旨を通知する。
酒類やエアガンのほか、電子たばこなどの喫煙関連商品も含む。従来は未成年者がメルカリを利用する場合、親権者の同意を得る必要があることを画面で通知するのみだった。
2017年12月には初回の出品時に出品者の住所や氏名、生年月日を登録させると義務付けた。登録した氏名と売上金の振込口座(メルカリに登録した口座)の氏名が一致しないと、メルカリの振込口座から売上金を引き出せないようにして、盗品など不正な商品の出品を未然に防ぐ。
ITを使った不正出品を防ぐ取り組みも強化する。同社は2017年からAIによる不正出品の自動検知を始めた。AIに学習させるのは出品数や過去の違反状況といった利用者の行動データ、過去に違反と判断した商品の写真や説明文章などの商品データ、規約違反と判断した取引に関わった出品者と購入者のデータなどだ。規約違反の可能性が高い出品を自動検知している。
サポート人員やパートナー企業との協業といった体制面も強化する。カスタマーサポート拠点の人員については、現在の400人体制を3カ月に60人ほどのペースで増やす。外部の協力企業の人員にも100人規模でカスタマーサポートを委託しており、さらに増強する。
偽ブランド品など、他者の権利を侵害している出品を見つけたり削除したりする活動については、権利者との連携を強化する。「本物か偽物かは製造元でなければ判断しにくいので、当社だけでは限界がある」(山田和弘執行役員)。偽ブランド品と疑わしい出品の情報をメルカリから提供して真贋を判断してもらう協定を結んだ企業・団体の数は1000を超えた。