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【社会】

公文書めぐる不祥事 相次ぐ 「第三者の監視必要」

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 学校法人「森友学園」との土地取引を巡る財務省の決裁文書改ざん問題では、民主主義の根幹を支えると位置付けられる公文書が行政によって都合よく変更されていた。二日には、防衛省による新たな日報のずさんな管理が発覚し、行政全体への信頼を失墜させる行為が相次いでいる。識者からは、公文書の取り扱いを第三者の監視の下に置くなど抜本的な改革を求める声も出ている。 (岡本太)

■裏切り

 「改ざんでないのかと言われれば、当然改ざんという指摘を受けてもやむを得ない」。決裁文書問題を一貫して「書き換え」と表現してきた安倍晋三首相は三月二十六日の参院予算委員会で、初めて「改ざん」と認めた。

 問題は改ざんだけではない。財務省の佐川宣寿(のぶひさ)前理財局長は昨年二月、一連の交渉記録を「廃棄した」と国会で答弁。実際には同時期の改ざんによって、決裁文書から交渉記録の大部分が削除されていた。

 内閣府公文書管理委員会委員長代理の三宅弘弁護士は「廃棄したとの答弁も改ざんも、公文書管理や情報公開の趣旨を完全にないがしろにしている。国民への裏切りだ。公文書管理法に罰則規定を設けることなども検討すべきだ」と話した。

■法整備

 日本の公文書管理の歴史は日が浅い。一九七〇年代のロッキード事件や公害問題を契機に、情報公開を求める動きが本格化。九六年の薬害エイズ事件では、旧厚生省が「ない」としていた資料が後に発見。二〇〇一年、情報公開法がようやく施行された。

 公文書の作成、保存の統一ルールを定めた公文書管理法の成立は、それからさらに遅れて〇九年。公文書は「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と位置付けられた。

 前国立公文書館長の高山正也氏は、法整備は一定の前進だったと評価する一方で、「日本の公文書管理の体制は、欧米の先進国と比べて大きく遅れている。米国立公文書記録管理庁(NARA)の職員は約三千人、英国、フランスも数百人規模。日本の国立公文書館は約五十人しかいない」と嘆く。

■電子管理

 「昭恵氏の名前なんて書かなければよかったのに。せめて個人メモにしておけば…」。改ざん文書を巡って、ある国土交通官僚もこう本音を語った。

 公文書は、省庁の職員が職務上作成し、組織的に用いる文書などと定義される。ところが、その範囲に含まれない「個人メモ」とすることで、公文書管理や情報公開の対象から外れる。個人メモか、公文書か。認定には各省や課ごとに裁量の余地があり、乱用が懸念される。

 加計(かけ)学園の問題でも「総理のご意向」などと書かれた文書について菅義偉(すがよしひで)官房長官が当初「怪文書」と発言。その後の調査で存在が確認されると、通常公表することはない個人メモとされた。行政の意思決定過程が個人メモとして廃棄されているケースが横行している可能性がある。

 高山氏は「文書を作成した官庁が、どの文書を保存し、廃棄するのか決めるのは本来おかしい」と指摘。文書を電子管理して恣意(しい)的な廃棄、隠蔽(いんぺい)を防ぎ、「どの文書を保存すべきかの判断を、国立公文書館など第三者の機関に委ねる仕組みが必要だ」と話す。

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