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APIで連携する際に重要になるのが、「中間レイヤーを設けたうえで、両者のシステムをつなぐという発想を取り入れることだ」とアビームコンサルティングの山本俊一郎プロセス&テクノロジービジネスユニット ITMSセクター シニアエキスパートは話す。
中間レイヤーを導入するのは、デジタル側の成長を、業務システム側の制約で妨げるのを防ぐためだ。
デジタル側と業務システム側では成長のスピードが異なる。デジタル側のエンハンスに、業務システム側のAPIの更新が追い付かないケースが想定される。
加えて、デジタル側は今、スマートフォン、タブレットなど「接続先が増えている。その都度、業務システムにAPIを開発するのは現実的ではない」(新日鉄住金ソリューションズの伊藤宏樹ソリューション企画・コンサルティングセンター グループリーダー)。
APIゲートウエイを活用する
こうしたデジタル側と業務システムの違いを吸収するための中間レイヤーを構築する際にカギになるのが、「APIゲートウエイ」だ。クラウド間連携などで頻繁に用いられるAPIゲートウエイだが、デジタル側と業務システムとの連携にも利用可能だ。
APIゲートウエイは複数のAPIの連携を支援する機能を持ったミドルウエアだ。APIの管理機能を持つほか、プロトコルの変換、アクセス権限の設定といったセキュリティ機能などを提供する。
APIゲートウエイを介することで、業務システム側のAPIをデジタル側で再利用しやすくなる。デジタル側の複数のアプリで「顧客の購買履歴」というデータが必要な場合を考えてみよう。デジタル側はRESTを使ってJSON形式での購買履歴を要求している。一方で業務システム側はSOAPなどの従来から利用しているプロトコルで通信するうえ、JSON形式ではデータを保有していない。
つまり、デジタル側と業務システム側で同じデータを使うとしても、接続プロトコルやデータ形式が異なることがある。その場合、業務システム側で各アプリ向けにAPIを用意したり、APIの制御や管理の仕組みを開発したりする必要がある。
APIゲートウエイには、こうしたプロトコルやデータ形式の変換機能が備わっているため、「デジタル側と業務システムの違いを吸収する役割を果たす」とアビームコンサルティングの山本シニアエキスパートは説明する。