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これまで基幹系のような社内システムは安定稼働を重視し、システム修整や機能追加は最小限に留めるのが常識だった。ところがモバイル活用やAI(人工知能)、IoT(インターネット・オブ・シングス)などのデジタル時代の技術の登場により、社内システムでも攻めの保守が求められるようになってきた。
モバイルやIoTなど経営のデジタル化を支援するシステムや技術は日々、成長している。一方で基幹系などの従来型のシステムは、稼働時から成長することは滅多にない。ところが今、成長しない社内システムと日々成長するデジタル化を支援するシステムの融合が進み始めている。
「取引先に提供するモバイルアプリで、業務システムで管理している在庫データをリアルタイムに近い形で表示したい」といった要望があったとしよう。この要望に応えるために業務システム側の担当者は、どのような作業が必要になるだろうか。
開発を外部に委託しているユーザー企業では、在庫データを表示するための追加開発に向けてITベンダーの選定のコンペを実施するかもしれない。初めてモバイルアプリと社内システムを連携する企業の場合は、様々な連携方法について調査し、メリットデメリットの一覧表を作って最適な方法を選ぶための検討会議を開催するケースもあるだろう。
一方でモバイルアプリを開発するデジタル側は、すぐに在庫データの表示機能を追加したいと思っているため、業務システム側の検討を待っている時間はない。デジタル側から見れば、業務システム側に成長を阻害されていると見えるのだ。
こうした状況が起こらないようにまず業務システム側が考えるべきは、デジタル側の成長を阻害しない仕組みを作ることだ。
アプリケーション改修の時間はない
「デジタル側が新機能を追加する際などに、業務システムのデータを活用したい」。こんな案件があった場合に、どのような手法を採用するのが現実的なのだろうか。システム間連携には今、様々な方法が登場している。
デジタル側のスピード感を踏まえた場合、「古いアプリケーションの変更を前提にすると、時間がかかり過ぎる」とNTTデータの本橋賢二システム技術本部 方式技術部 第二統括部 統合開発クラウド担当 部長は指摘する。そこでまず従来型の業務システムはそのままに、デジタル側と融合する手法を採ることを考えよう。
既存の業務システムに大きな変更を加えないでデジタル側と連携する場合、業務システムで利用する機能をAPI化して、デジタル側とAPI連携をすることが基本になる。