人に誇れる収入ではあるまいが、ワーキングプアの定義「年収200万円以下」は辛うじて上回る。下を見ればきりがない昨今、地方都市の女性派遣社員としては恵まれた待遇かも知れない。
https://anond.hatelabo.jp/20170315161240
前の記事には「5月くらいには再就職するはず」とあるのだが、一年以上経った今も、私は無職のままブラブラしている。情けないと思う一方で、当然だという気もする。
何しろ就職希望の面接に、ノーメイクで行くような非常識な女なのだ。その理由が「道々涙が止まらなくなり崩れたメイクを落とさざるを得なかった」という、年齢不相応の情緒不安定である。面接の途中で気分が悪くなって退出し、トイレまで我慢出来ずに廊下で嘔吐したこともあった。私が人事担当者なら、こんな人間は採用しないし、それを採用するような企業で働くのは私も不安だ。
どうやら私の精神は、重度の労働アレルギーになってしまったらしい。病院の先生は「軽いアルバイトから始めてみたら」と仰るのだが、やはり面接中に泣き出してしまった。
一年前の私は「自分で思っていたよりダメージを受けていた」という記事を書きながら、心のどこかで「すぐ回復する」と、やはり事態を軽く見ていた。バカは死ななきゃ治らない、というのは本当かも知れない。
このアレルギーの原因は、前の職場環境だけではなく、退職後の傷病手当と失業保険で生活していた期間にもあると思う。
傷病手当にせよ失業保険にせよ、支給額は「働いていた時の給与の何割か」という式で算出されるため、収入は激減する。
その期間中に、私の貯金は随分増えた。おかしな話だが、収入が減って、貯金は増えた。
理由は簡単。働かなくなったことで、収入以上に出費が減ったのだ。
仕事着のスーツを買わなくていい。当然クリーニング代も不要である。オフィスサンダルもパンプスも、ストッキングも要らない。通勤電車でもみくちゃにされないので、服も鞄も傷まない。
疲れて帰ってきて惣菜で夕食を済ませたり、寝坊してしまって昼はコンビニ弁当、ということもなくなった。冷凍食品も買わなくなった。残業帰りの夜道が不安でバスやタクシーを使うこともないし、楽しくもない忘年会や歓迎会の会費とも無縁だ。
娯楽にしても、平日の昼間はほとんどの施設が安価で、映画もレディースデー料金で観られる(働いていても夜の部を観れば良いのだが、私にはその余裕がなかった)。友達とたまにしていた夜の外食は、相手の職場付近でのランチに置き換えてもらった。1回あたりの話せる時間は半分になったが、2回会っても出費は夕食の半分以下だ。
通勤時間に読むための本を、無闇に買うこともなくなった。代わりに図書館に通ったり、書店で読む時間がたっぷりあるので、通読して気に入ったものだけを買う。読み終わっている本を買うの?と怪訝に思われるかも知れないが、本好きとしては極限レベルの妥協点である。
そうした出費の減少が積もり積もって、私の総支出額は激減した。
働いて得た収入の大部分を、働くために使っていた。仕事をやめる前と後の家計簿を見比べると、そういう結論に辿り着く。職を失って節約を心掛けていたにせよ、それだけで出費が半減するはずはない。
私は確かに、月の半分は自分が生きるために働いていたが、残りの半分はそうではなかった。
最近、人に食われる夢をよく見るようになった。私の内臓を食べている人は、前の派遣先の上司であったり、PCの操作を覚えようともせずに丸投げしてきた社員であったり、派遣会社の担当者であったりする。
私が自由に使えるはずの時間と体力、心の健康。それらを犠牲にした対価であるはずの雀の涙ほどの給与までもを、仕事が、彼らが貪り食ってしまった。夢の内容をそう解釈してしまうのは、私の心が病んでいるせいだろうか。
夢に出てくる人たちのことを、悪い人だとは思っていない。だからといって、私自身も生きながら内臓を食われなきゃいけないほど邪悪な人間ではないと思う。他に呪うべき相手は思い付かないけれど。
子供の頃、仕事とは誰かの役に立つことだと思っていた。その時生じる「ありがとう、助かりました」を、お金に変換したものがお給料である。「えほんがすきだから、しょうらいはさっかさんになるの!」と同じくらい、子供らしくて純粋で、現実を度外視した世界観だった。
でも、人の役に立つって、本当はこういうことなのかも知れない。
はらわたを食われる夢の中の私は、大抵そんなことを考えている。腸が滑らかに引きずり出されていく様、それが相手との間でぶらんと垂れ下がる様を、冷静に観察している。がらんどうになった胴の軽さ、残された骨の軋みを感じている。
傷病手当も、失業保険も切れた。貯金が尽きる前に、また彼らに食わせるための肉をつけなければ、と思うのだが、それを出来る自信がない。
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