AIが選んだ想像上の音景が聞こえます。
人工知能(AI)などのテクノロジーを用いた作品制作を行なうQosmo(コズモ)が、AIを使った面白い試みをウェブで展開しています。
それは、何でも良いので画像を一枚アップロードすると……? AIがそれになんとなく見合った環境音を流してくれる「Imaginary Soundscape」というもの。
たとえば赤ちゃんが映る写真だと、幼児の話し声が流れてきたり、自動車の写真だとレース場のモーター音、生牡蠣の写真を上げたら水のせせらぎが聞こえてくるなど、イメージに近い音源が人工的に選出されるのです。
上記はシンプルな例ですが、Qosmo代表の徳井直生さんが自身のツイートにて、いくつかの作例を公開しています。どんな音が聞こえるのか? 映像でご覧ください。
ほかにも、映画『ブレードランナー2049』の一場面では、見事にブレードランナーのような幻想的な音源が流れたりも。とにかく一度、AIの実力を試していただきたいなと思います。
こうした音が流れる背景には、5万2704種類もの膨大な音源が使われています。これはImaginary Soundscapeのサイトにあるcreditsのリンクへ飛ぶとリストが掲載されているのですが、これらすべてをAIが把握しているんだなぁと驚かされます。
この作品は、元は2月に行なわれたメディアアートの祭典Media Ambition Tokyo(通称MAT)にて展示されていたもの。このときの記事では文字と写真でしかお伝えできませんでしたが、今回は誰でも体験できるようWebに公開されました。
またMediumでは、徳井さんがこのImaginary Soundscapeを作るきっかけや過程などを詳細に記されています。
掻い摘んでみますと、若かりし頃に訪れた空港や、子供の頃に妹が生まれたときの分娩室など、録音された過去の音が当時の記憶を蘇らせるという体験をしてきた経験がまずひとつ。次に2015年から自作で360度マイクを作っていたこと。さらに翌年にはブライアン・イーノのMV制作で、写真を通してAIが人間の歴史を振り返るという仕組みを構築し、AIが出した予想もしない結果にドキっとした体験。それらの延長線上に、このImaginary Soundscapeが誕生したと語っています。
海辺や交差点など、人間なら写真からそこで聞こえる環境音をカンタンに妄想できますよね。でもそれをAIにやらせたら?というチャレンジが制作の動機となったのだそうです。技術的なことは、徳井さんの手記をご覧いただくとして……自分がアップロードした画像にどんな音景が流れるのか? ぜひとも遊んでみてください。
Image: Imaginary Soundscape, mGerhana/Shutterstock.com
Source: Imaginary Soundscape, Twitter, Medium
(岡本玄介)