「天宮1号」が南太平洋上で大気圏に突入=米中報道

天宮1号 Image copyright CMSE
Image caption 天宮1号

制御不能に陥っている中国の宇宙実験施設「天宮1号」は2日、南太平洋上で大気圏に再突入した。中国当局などが伝えた。

中国の有人宇宙飛行を指揮する載人航天工程は、天宮1号は世界標準時の2日午前0時15分(日本時間午前9時15分)ごろに大気圏に再突入したと述べた。

全長約10メートルの天宮1号はドッキングや軌道実験を行うため、2011年に打ち上げられた。中国が2022年までに有人の宇宙ステーションの完成を目指すなかで打ち上げられたが、2016年3月に突然制御不能となった。

破片はどこに落下したのか

宇宙計画の当局者らは、「南太平洋上」という多少ぼんやりとした表現をしている。

ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのジョナサン・マクダウェル氏はツイッターで、タヒチの北西に落ちたとみられると述べた。

専門家らは大気圏再突入の正確な位置を予測することができずにいた。天宮1号が実際に再突入する直前にも、中国の宇宙当局は、ブラジル・サンパウロの付近に落ちる可能性があるとの予測を示していた。

欧州宇宙機関(ESA)は先に、天宮1号の残骸が海上に落ちる可能性が高いと述べていたが、海は地球の表面の大部分を占めている。

破片が誰かに当たる可能性についてESAは、「1年間に雷に打たれる可能性の1000万分の1」だと強調していた。

天宮1号の残骸のどの程度が地表に到達したのかは、現時点で明らかになっていない。

なぜはこのような形になったのか

全長約10メートルの天宮1号の大気圏再突入は、制御された形で行うのが理想的だったが、2016年3月に制御不能となったため、このよう形をとらざるを得なかった。

宇宙から設備を大気圏に再突入させる際には通常、スラスター(推進装置)を噴射させて南極海の上空に誘導する。

ESAが主導するなか、13の宇宙機関が協力し、レーダーや望遠鏡を使って天宮1号の動きを追跡していた。

Presentational grey line

中国の宇宙計画

  • ランデブー(同一軌道での接近操作)やドッキングの練習のため、天宮1号が2011年に打ち上げられた
  • 有人宇宙船「神舟」が2012年と2013年に天宮1号とドッキングし、宇宙飛行士が滞在した
  • 中国初の女性飛行士の劉洋氏と王亜平氏も天宮1号を訪れた
  • 中国は今後10年間でより恒久的な宇宙ステーションの完成を目指しており、重い設備を軌道に乗せるために必要な性能を持つ最新打ち上げロケット「長征5号」が発表されている
天宮1号から子供たちに話しかける王亜平宇宙飛行士 Image copyright Getty Images
Image caption 天宮1号から子供たちに話しかける王亜平宇宙飛行士

(英語記事 Tiangong-1: Defunct China space lab comes down over South Pacific

この話題についてさらに読む