4/1で社会人生活1年目なので、そのまとめとしてなんか書こうと思いました。
とあるそこそこ大手の常駐先でSEをしています。最初に配属された時はJavaの研修を受ける程のド素人でした。
大手あるあるですが、その常駐先では殆どの人がホストコンピュータを日々アセンブラやPL/I、COBOLでプログラミングして運用保守しています。
対して僕は分散と呼ばれる世界に居ます。業務用Webアプリやデスクトップアプリを作り客先に納品したり既存の資産をメンテナンスする事でお賃金を頂いておるわけですが、当然そこにあるのはむかーしむかしにVBや生のJavaで書かれた、錆びついたシステムです。酷い所は未だにWindows2000サーバーが動いてます。一番新しくてStrutsかな。
しかし人間関係に関しては神だったのでなんとか1年働けました。本当にいい人しかいない、素晴らしい職場だと思います。なのでブラックとは思いませんし、この手の話はうちだけじゃないはず。(友人に聞いたら似たような状況でした)
ここでは自分が1年働いて感じた大手企業あるあるの闇をご紹介します。1年で感じ取れるほどなんです、マジで。
Excelは世界共通言語、故にすべてのドキュメントはExcelで書かれなければならない
正直一番辛いです。何のためにWordが同じパッケージの中にあると思ってるんだ。。。Excelは表計算ソフトであってドキュメント制作ソフトではありません。という主張も「うちのルールだから」の一言でブロックされてしまいます。あまりにも辛くて一度「Sphinxっていう便利なやつがあるんですけど…へへっ…」と進言してみましたが1分で記憶から消えたようです。
今は怒りに任せてマークダウンで書いたドキュメントを送り付けたりしています。勿論案件内ではExcelでやってますが、よく「それ表とか作れるの?」と言われます。お前表はExcelでしか作れないと思ってるのか???
後の話に出てきますが便利なものを知っていても勝手に導入出来ないのも割とつらいですね。これはしょうがない部分もあるかもしれませんが。
あと就職して真っ先に嫌いになったワードは「しょうがない」と「慣れる」です。
導入されているものが大体5年以上古い
作業用PCは当然のようにWindows 7、Officeは2008です。バージョン管理にSVNを用います。僕が来て初めてのミーティングで「Gitは使わないんですか?」と質問した所解答は以下のようになりました。
- Yes 0%
- No 0%
- なにそれ 100%
このご時世そんなことある?どうやったらGitとエンカウントせずにSE続けられるんだ。
よくよく聞くとSVNの導入もつい最近だったようです。それにGitHubの存在も知らないようだったのでそりゃそうか、アハハ!と笑うことが出来ました。怪談話じゃないですよ?
CIがない、どころかテストコードを書いた人間が一人もいない
そんなことある?(2回目)どうやったらテストコードとエンカウントせずにSE続けられるんだ!(2回目)
流石にぶったまげました。テストケースをExcelにばんばん手で書いていきます。
完成したら厳重なレビューを受けた後手作業で実行します。当然漏れがあったりバグがあったりすると手戻りでケース作成からやりなおしです。人月商売してる癖にこういう所のコストは気にも留めないのがより一層腹立ちます。あと品質管理どうなってんだ!
今ではすっかりExcel操作に慣れ、ケース漏れがあってもしょうがないなと思えるようになりました。成長したなぁ。
エビデンスを審査出席者分刷り上げ全員でレビューする黒魔術が毎日数十件行われている
環境破壊は気持ちイイZOY!
これでもかというくらい紙を刷ります。こりゃインクで飯食ってる会社は儲かるわけですわ。ここでもExcel文化からは逃れられません。テスト結果はスクショしてExcelに貼り付け印刷します。今、書いてるだけでも情けなくてムカついてきました。何やってんだ俺は…。
レビューは色んな偉い人に向かってします。説明を受けた偉い人が更に偉い人に内容を説明するためしっかり伝えなければなりません。またエビデンスは説明用の資料となるため写真に吹き出し付けて「表示されているためOK」のように分かりやすくします。編集していいんか?それ
レビューを無事終えたら責任者にハンコを頂きます。各部署の責任者からもハンコを頂くためスタンプラリーをします。そして客先へ説明後ハンコを頂きます。最後に資料に穴をあけキングファイルに閉じて終わり!閉廷!Excelファイルの残骸は共有フォルダに残します。じゃあなんで印刷したん?
高機能エディタ「サクラエディタ」の前に震えて眠れ
サクラエディタは凄いです。自分で好きに文字色変えられますし、文字コードも変換できる。辞書を登録すればシンタックスハイライトも意のままです。Grep機能があるのも優れものです。そして何より軽量でメモ帳感覚で使えます。
ホストで仕事されている方々はもっぱらこのサクラエディタにソースコードを貼り付けてdiffったりmargeったりしてるようです。当然のように全文真っ黒ですが、そこに疑問を感じる人は一人もいないのがプロフェッショナルを感じさせます。
ところで皆さんサクラエディタはWindows専用って知ってましたか?知りませんよね、vimやvscode使いの方にとってこんな些細な事はどうでもいいでしょう。しかし標準化された世界では貴方は理から逸脱した異邦人なのです。
余談ですが隠れて秀丸使ってる人が居ました。センスいいね。
自分よりフロントエンドに詳しい人間が周りに居ない
新しい技術の導入がない以上、新しい技術を学ぶ人間もいないというのは当然の結果です。特にフロントエンドに関しては顕著でES6やSaasといった現在では一般的な技術も存在が知られていなかったりします。npmによるライブラリ利用なんて夢のまた夢。なので自然と自分が「最も知識のある人」になるわけですが、これがとても厄介で仕事で使おうと思っても何らかの理由で却下されることがおおいです。
例えば、
「運用、保守できる人物がいないのでその技術は採用できない」とか
「その技術は誰も検証していないので採用できない」とか
「自社で作ったフレームワークがあるからこれを使いなさい」とか
まあ他にもいろいろありますが大概はこれらに行きつきます。特に3番目がやばくて今や殆ど保守されていない旧世代の遺物の塊だったりします。こんなんつこうたら逆に生産性落ちるがな!と言いたくなるような悲しい出来ですが、自社ブランドという肩書はよっぽど強いようです。それと流石に耳を疑いましたがHTML5じゃないwebアプリケーションが未だに新規案件で立ち上がっているとか。無法地帯か、ここは。
こんな有様なので自分のレベルアップも望めず、世の中から置いて行かれる恐怖と日々戦いながら勉強によって何とか補っています。家に帰ると疲れて自己開発なんてやってられないので通勤中に専門書読んだりしてます。通勤片道2時間だから暇なんです。本読むの大好きで良かったですが、実際に手を動かして体感している同期達とはやはり差は開いてしまいますね。
出来る人が沢山埋もれている
すげー頭いい人や知見の深い人がわんさかいます。まさにフルスタックエンジニアと言えるような何でも屋さんまでいらっしゃいますが、勤続20年や30年のベテランの方ばかりです。一緒に仕事していて勉強になりますが、その実力でなんでこんな事やってるの?という気持ちで悲しくなってきます。転職したら年収倍になるよ、きっと。
継続は力とはよく言ったものですけど、新たな学びのない環境に置かれてしまうとどんどん腐って一部でしか機能しない不良品になりかねません。プログラマーには35歳定年説があります、まさにこういう事だろうと思いました。こうならないようにしたいものです。
学びもたくさんあった
さて、結構悪口書きまくりましたが学びも多かったので箇条書きですがまとめます。大手ならではの体験も多くて楽しかった。
- 大規模トラブルの発生とその対応を高みの見物できた
- このままじゃやばいという絶望感から始めた勉強を共有したらチームのレベルアップに繋がり共有の大切さを感じた
- 色々アウトプットしてたら新人の割に結構できる奴みたいな勘違いをされて信頼度アップ
- 単純に頭の良い人の仕事っぷりを間近で観られた
- どこは悪くてどこは良いのかちょっとだけ分かるようになった
- 現場に合った技術展開の大切さを知った
それとただの端末検証に100万とか使ったり、1台7億のホストコンピューターを飼っていたり大手の力をそばで感じられたのはとても良かったと思います。
おわり
ここに書いてある事の殆どが今では一般に普及した技術で改善できるものです。それなのにやらないのはやっぱりコストの高さという一点に集約されます。続けていく方がコストが高いと頭で分かっていても、巨大な組織程動けないものですね。
これ4月1日書いてるので嘘かと思われそうですが、実体験です。本年度もここでお世話になりますが、絶賛新天地を探索中です。ベンチャーの方が向いてそうだなって気づけたのも良い収穫だったと思います。失った1年を取り戻さなきゃそれで死んじゃうかもしれないので頑張ります。そしてこれから就活する未来のプログラマーへエールです。
絶対に派遣/請負はやめとけ
以上です。
読んでいて気になったのですが、
冒頭に
とありますが、その後ではSphinxやマークダウン、Git、CIなどの言葉が出てきますが、これは1年間で存在を知ったということでしょうか?
それともJava以外でのプログラミング経験は何年かあったということでしょうか。
@tetsufe 専門卒なのである程度の知識はありましたが、お恥ずかしながらグダグダした時間を過ごしていたため1人で開発出来る状態ではありませんでした。Git以外当時は知らず勉強を始めてから触れたものです。
概ね同じような感じですが、サクラエディタの下りはエディタそのものではなくシンタックスハイライトを利用しないのをディスってる?感じなのでしょうか。
個人的には改行を含めた正規表現がうまく使えない以外は特に不満はないですね
(個人でvimやemacsをカスタマイズして使ってる人は尊敬しますが。)
ひどいところはメモ帳しか使えないとかもあるそうですね。
私は踏ん切りがつきませんが
転職活動頑張ってください😊
@gooddoog サクラエディタをディスってる訳ではなく、サクラエディタしか知らずに他に目を向けない人の多さに辟易していると言った感じです。現状を変える事に億劫な人で溢れかえってるので。。。僕自身サクラにはかなりお世話になっていますが適材適所だと思ってます。
転職はかなり体力が必要ですので踏ん切りつかないのも痛いほど分かります。お互い健全に働けると良いですね。
私も同じような職場にいたので、その辛さがよくわかります。
おそらく、インターネットが普及する前に成長した企業は、どこもこんな感じだと思います。
私の場合、案件ごとにチェックシートという書類(当然エクセル)を作ってテストをしていました。1つのエクセルファイルを同時に複数の人が編集できない(とメンバーが思い込んでいる)ので、チェックシート毎に編集担当者を設け、その人以外編集してはいけないというデタラメな運用もありました。
このままではまずいと思い、2年くらいかけて色々とアウトプットしました。
その結果、「npm?なにそれ?」みたいな人も未だにいますが、CIを使った運用はできるチームに成長しました。(古いやり方にこだわる頑固な社員が異動したというのも大きかったです。)
辛いですが、お互い頑張りましょう!
社会人1年目で、闇…早く見えて良かったですね…
早めにスタートアップ系の会社へ転職するのが吉ですよ!
@segur 5年続けば御の字な昨今、黎明期に成長して今も続いてる企業はそれだけで凄い事だとは分かるんですが、後追い族としてはどうしても不満に思うことが出てきてしまいますよね。当たり前を当て嵌められないもどかしさというか。
アウトプットをして受け入れられる環境に幸いにも?身をおくことが出来たので、頑張ってみようと思います。