明日に残るものをつくる
初めまして。アートディレクター・デザイナーのわりえもんこと割石と申します。本日、4月2日から OH という屋号で、フリーランスのアートディレクター・デザイナーとして独立しました。
2年半在籍した 株式会社 Fablic に関しましては、楽天への吸収合併の発表・ラクマへの統合を見届け、3月末を最終出社として退職することを選びました。
この記事では、そこに至るまでの心境の変化、これから何をしていくのかについてお話させていただければと思います。
ブランドのために自分ができること
この2年半を通じて、CI(コーポレート・アイデンティティ)・VI(ビジュアル・アイデンティティ)の分野からUI(ユーザー・インターフェース)に至るまでのトータルでブランドのデザインをできるという点が一番価値を提供できる部分なのでは、と思い至りました。
Fablic では、RIDE・LOLLの立ち上げ、フリル・ラクマのリブランディング、コーポレートブランディング、デザイナーチームのマネジメントと、Fablic 全体のクリエイティブに関わる部分全体、CI ・VIから UI までを広く担当させていただきました。
ブランドの体験において、UIが持つ役割はとても大きいものです。どんなに美しいお店を建てても、お店に入ってからの体験が悪ければ、最終的な評価は悪いものとなります。私がUIを勉強していたのはこの最終的な体験をよくする手法を学ぶためでした。
その上で、入り口のデザイン… ロゴ・ビジュアルデザインが疎かになっていいわけではありません。お客さまに魅力的かつ納得感のある見た目でないと、そもそも素晴らしい店内の体験をしていただけません。
UI においてももちろんお力添えできるのですが、フリルのリブランディングをはじめとする、ストーリー・バックグラウンドをもったデザインをすること、こちらに軸足を置くことがブランドに貢献する一番の方法だと考えました。
立ち上げから改善、そしてフリルのような大きなサービスのリブランディングなど、数々の経験と実績を積ませていただいた Fablic には心から感謝しつつ、プロダクト・会社の吸収合併を受け、これまでと同じ仲間・同じ環境で新しいものをつくることは難しくなり、退職・独立という形を選びました。
デザインに救われた日
素直に振り返ると2017年は、ものをつくる人間として停滞の一年でした。会社の状況からやるべきことも変わり、数値計測からチームマネジメントなど今までにない経験をさせていただきつつも、新しいもの・面白いものをつくることから離れ、つくるひととしての自信・方向性を失いかけていました。
そんな中、 LandSkip の代表 下村さん から、クリエイティブの監修のご相談をいただき、とある北海道の農場のブランディングプロジェクトに参加させていただきました。
名前は CAMEL FARM。日本全国にお店を構える KALDI(カルディ)の初のプライベートブランドとなるワインをつくる農場です。
当初は、Web、映像のディレクションがメインだったのですが、ヒアリングの結果、仕事の比重を変え、ブランドとしてのあり方、ロゴの提案をさせていただきました。
KALDI の掲げる「地球にいいことしてる?」という言葉から始まる価値観を受け、「余市の土地と共に」というコンセプトを立て、農場のある北海道余市の土地と共に生き、共につくり、そこから生まれるワインを世界に発信するという思いをロゴに込めました。
サプライズのようなロゴのプレゼンでありながら、「今日からこれでいこう」という快諾もいただき、その思いの多くを汲み取り、理解してくださりました。
プレゼン資料中の一提案でしかなかった樽へのロゴのプリントや、サプライズで刺繍入りのジャケットをプレゼントして下さるなど、社長・農場のみなさんのロゴへの愛あるコミュニケーションが、とても新鮮であり、農場のお話をお伺いするたびに「デザイナーでいてよかった」と思える仕事でした。
期間はとても短い案件ではあったものの、「ひとが大事にしているもの」「ブランドとして伝えたいこと」は変わらぬものであり、そこから関わることで、より深く芯に根ざしたデザインをすることができると、自分がものをつくる上での「なぜつくるのか」という問いへの答えが見つかり、これからの仕事の方向性が見つかり、デザイナーとしての再生につながる仕事でした。
※ CAMEL FARM のロゴについては、改めて後日プロセスなどを公開予定です。
明日に残るものをつくる
冒頭でも書いた通り、4月からは OH として独立し、フリーランスのアートディレクター・デザイナーとしていろんな方のブランドデザイン・CIからUIまでのデザイン・ディレクションという形で、Web業界に限らずお力添えできればと考えています。
CIやVI の領域をメインに考えており、UIや、Webデザインに関しては、その延長線上にある方が、よりよいアウトプットをご提供できます。
というのも、ブランドというのはひとがつくり、ひとが触れるもの。状況や、前提が変われば、そのアプローチは変わっていきます。その上で、そもそも「なぜつくるのか」「なにが大事なのか」というところからご一緒できれば、一時的ではない長い目線でのブランドづくりができ、明日にも残り続けるものがつくれると考えているからです。
OH のコンセプト “「わ!」より「お!」となる体験を。” という思いは変わらず、みなさんがみた時に「お!」となるような納得感をもった発見のあるデザインを提供し続けられるよう、日々努力していきます。
わたしがお手伝いできることがあれば、ぜひお声がけいただけますと幸いです。Facebook ・Twitter・メール( ohmake.it @ gmail.com )など、どのような形でも気軽にご相談ください。