技術同人のススメ / 技術書典4のサークルチェックをしよう

今月04/22に開催される技術書典4の公式ページが更新され、サークルリストが公開されました。皆さんが気になる本はありますでしょうか?

技術進化著しいいま、Google検索がアテにならない問題や、商業の技術書が衰退している問題は技術者諸氏にとってはかなりの問題ですが、技術同人誌はそれを打破する素晴らしいものです。そこで、今回は技術同人は読むのも書くのもオススメであるという話と、サークルチェックをしよう!という話をします。

商業出版の衰退

一般的な商業での技術書が売れなくなり、出にくくなるという悪循環に陥っていて商業出版が衰退していると言われています。商業では本を出すハードルが高いうえに、ぶっちゃけ印税で儲かるわけでもないし、色々制約も多く面倒です。

著者にとっては名刺代わりになる、一般人へのインパクトが強いなどのメリットもありますが、そういうのは一度本を出せばもうそれで構わないので、次の本を書くモチベーションがダダ下がるという話を聞きます。

売れる見込みがなければ編集会議に通りませんし、編集会議に通ってからも出版までにはそれなりに時間がかかります。半年から一年以上かかるケースも聞きます。要するに足が重い業界です。

例外はインプレスR&Dネクストパブリッシングです。編集者の方がとても技術者に深い理解を持っているため、技術者にとって書きやすく、かつあまり負担のかからない方法で出版できるのです。またオンデマンド印刷により圧倒的に素早く出版ができるのです。マストドンつまみ食い日記 | 電子書籍とプリントオンデマンド(POD) | NextPublishing(ネクストパブリッシング)を見ればわかる通り、日本で流行りだしてからすぐに本にできるフットワークの軽さがありますし、最低部数に関しても一般的な商業誌よりは大分ラインが低く出しやすいのです。

現代において技術はどんどん進化の早い物になっています。今後もその流れは決して止まりません。技術の進歩はさらなる技術の進歩を生み出し続けるからです。そうなってくると、足が重い一般的な商業の技術書ではとても対応できるものではありません。思いっきりメジャーなジャンルなら本が出るかも知れませんが、それでも素早く対応するのは大変です。

検索が使い物にならないと最近思いませんか?

Google検索が技術系ジャンルで使い物にならないと感じていませんか?世界を統べる偉大なるGoogle様は、我々の検索クエリーを「ほーれ、そんなワードじゃ検索結果少ないからより一般的な言葉に変換してやったぞ」といわんばかりに検索ワードをいじったり無効化した検索結果を返しやがってくれるようになりました。技術情報の検索をしているのに、かすりもしない無関係なものがヒットすることも少なくありません。頑張って検索ワードを変えまくって検索結果を見ても、そもそも日本語のサイトだと情報が古いだの間違ってるだのも多くありませんか?

そこで技術同人誌です

技術同人誌のメリットは書く側にとっては一般商業誌よりはハードルが低いこと、どんなにマニアックなものでも自分が書きたい好きなものを書けるというモチベーションの高さなどがあります。今までなら商業出版で出したひとなんかも技術同人誌に参戦していたりします。読む側にとっても技術ブログやGithubで見かける人が信念のもと本気で調査した本を手軽に入手できるのです。エッジな技術でも技術同人誌ならそれなりに見つかります。

技術同人誌はブログよりも分量が多く、お金を取るということもあって、ブログよりはしっかり書かないとという気持ちになるため、ブログよりはきっちり技術調査がなされていることが多いのです。中には大学教授が作ったガチ系の同人誌もあるとかないとか。

技術同人誌は年に4回(春の技術書典、夏コミ、秋の技術書典、冬コミ)の頒布タイミングがあります。気力と体力さえあれば約3ヶ月ごとに本を出せるのです。技術書典に絞ったとしても年に二回、半年ごとです。書きたいと思ってから書いて頒布するまでの時間は著者のやる気さえあればいくらでも縮められます。10日で80Pの原稿を書いて頒布するなんてことも可能です!(ぐるぐる目)

昔であれば商業の技術書を読むのが一番手っ取り早かったし、2010年前後くらいまではウェブ検索でも十分に技術調査ができる時代でした。ですが現代ではエッジな技術の主戦場は、技術同人誌に移りつつあるのです。

技術書典のススメ

技術同人誌が近年、めちゃくちゃ盛り上がっている要因のひとつは技術書典です。これは今回で通算5回目となる大人気の技術同人オンリーイベントです。何故かいつも天候に苛まれているわりには来場者数も多く大盛況です。秋葉原のUDXでの開催となった、2・3の時は雨天だったり台風だったりしましたが、それでも大量の参加者がいました。

参加者が多いと大変そうと思う人もいるかもしれません。コミケみたいなものを想像する人もいるかもしれませんが、他の同人イベントよりは遙かに参加しやすく、体力を消費しないイベントなのです。特に3では入場整理券アプリにより、あまり並ばなくても時間をつぶせるという状況だったようで大分楽になったみたいです (僕自身はサークル参加で手一杯なので参加者としての状況は詳しくは知らないのですが…)。

また、Comic ZINの同人担当の偉いひとの記事でも技術書典が取り上げられるくらい注目されているイベントである理由は、一般参加者(本を買いに来る・交流しに来るひとたち)もサークル主(同人誌や同人ハードを頒布するひとたち)も、技術という明確なテーマに絞られているという連帯感があります。そして運営の人達が技術及び同人の猛者なのでイベント運営が素晴らしいというのも大きいでしょう。

まずは、サークルリストで気になる本やサークルを「サークルチェック」しましょう。サークル主はチェックされた数を確認できます。同人サークルは何部刷るかという問題にいつも悩まされています。歴戦の猛者ならある程度までは経験を元にある程度は読めるのですが、そうじゃない人にとっては部数を決めるのはとても悩ましい問題です。サークルチェック機能は、そういった部数を決める1つの目安になります。大体印刷所の都合で4/9, 4/11, 4/18あたりに部数を確定するサークルも多いでしょう。余裕を見て4/7くらいまでにサークルチェックをしてあげると、サークル側としては部数予測精度が上がります。また、読者としても入手できる可能性が増えます。

サークルの人向け

erukiti/techbookfest-circle-bot: 技術書典4向けに被サークルチェック数をSlackにアナウンスするbotというのを公開中です。JavaScriptで動くbotですが、6時間ごとに被サークルチェック数をSlackに通知してくれます。ツイートやブログなどの宣伝効果の確認などにも役立つと思います。

4/6に新刊の告知・宣伝・交流会を行います

新刊宣伝・告知・交流会 for 技術書典4 〜新刊をプレゼンしてモチベーションアップ〜 — connpassというイベントを4/6 19時から開催します。名前の通り、技術書典4に向けて新刊を出すサークルが宣伝・告知のプレゼンを行ったり、サークル主や一般参加者が交流するための会です。サークルチェック数の早めの上昇に少しでも貢献できればと思ってこの企画を立ち上げました。

まだ発表者や一般参加の方が少ないので、4/6にお手すきの方は是非参加してみてください。

技術同人誌を書くのも多大なメリットがあります

以前技術書同人誌を書きましょう! — Qiitaという記事を書いたり、アウトプットのメリット 僕が技術同人誌執筆をお勧めする理由 / techbook meetup let’s writing tech book Doujinshi // Speaker Deckという発表をしましたとおり、技術同人誌を書くのはメリットばっかりあってお得すぎるのです。

でも技術同人誌の書き方が分からない?そんなあなたにオススメの一冊が今度インプレスR&Dから出ますし技術書典4でも販売されます。それは「技術同人誌を書こう![アウトプットのススメ]」です。

この本は様々な罠を踏み抜いたサークル主たちが技術同人誌を書くためのノウハウを余すところなく載せた本です。当日ではインプレスR&Dおよび、執筆者たちのサークルでそれぞれ置く予定です。

執筆陣によるスタンプラリーも企画中です。

4/22に打ち上げやります (非公式ですが)

インプレスR&Dさま協賛で技術同人イベント打ち上げ(4/22) — connpass を開催します。前回の技術書典3 (10/22)では台風という過酷な状況にもかかわらず40名の参加者がいるという大盛況の打ち上げになりました。しかもその中の30名近くが実際に同人誌を一冊以上書き上げた猛者たちです。これだけの書籍著者が集まるイベントは類を見ません。

今回は編集者の方も何人か参加をします。本を書いてない人でも全然構いません。是非交流しにきてください。色々な秘話を聞けるかもしれません。

またサークル主は当日買い物にはいけない、あるいは大人気サークルだと買いに行けても売り切れという可能性が普通にあるでしょう。サークル主同士で取り置きみたいなことも可能です (トラブルにならないようにだけご注意ください)。

現時点で53人の参加者がいますが、70名クラスになるとお店貸し切りとかもできます。早めにお店を予約したいので、できる限り早めに参加申し込みをお願いします。と言っても、当日でのドタ参加も全然ありなのでよろしくお願いします (ドタキャンはご勘弁を)。

最後に新刊の宣伝

うちのサークル(東京ラビットハウス)では「Bitcoin完全に理解した。JavaScriptで暗号通貨入門」という新刊を出します。Bitcoinの仕組み、データ構造、通信プロトコルなどをひととおりJavaScriptのサンプルコードを交えて解説する本です。他にも錬金術MeetUp合同誌や、間に合えば商業版AST本など出ます。

良かったらサークルチェックしてください。