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サラリーマンの一大決心! “副業起業”ネタの探しかた(後編)

(画像=Getty Images/Thinkstock)

パラレルワーク(副業・兼業)を政府が推進、そのような記事を読んで興味を持っている人も多いのではないでしょうか? 会社員を続けながら、自分の特技や知識を生かしてビジネスを立ち上げる――そのような副業起業を選ぶ人が増大中。リスクを抑えた副業起業だからといって、できるならば失敗はしたくない。これからどんどん増えていくと考えられる副業起業を成功させるためのポイントを、起業コンサルタントの中野裕哲さんが教えてくれます。

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事業計画書で、事業の現状をチェック

漠然とした起業のアイデアはあるのだけれど、何から手をつけたらいいのかわからない――と、具体的な行動に移さないできた人も多いのではないでしょうか。産業界に副業解禁の気運が高まっている今こそ、最初の一歩を踏み出すときなのかもしれません。

「起業アイデアを形にするためには、ビジネスプランに落とし込む必要があります。どんな人たちに向けて、どんな商品・サービスを、どのような方法で提供するのか。これを具体的にイメージして紙に書き出しましょう」と、起業コンサルタントの中野裕哲さんはアドバイスします。

例えば、コンサルタントとして起業するなら、BtoCなのかBtoBなのか。提供するコンサルティングによって、どんな成果が期待できるのか、どんな集客方法で、どのくらいの価格帯で提供するのか……。「具体化できたら、次に、事業計画書を作成しましょう。本格的な起業の場合はもちろんですが、副業起業であってもぜひともおすすめしたいと思います」と中野さんは続けます。
 
事業計画書は、融資を受ける際に必ず必要になります。でも、副業起業の場合、融資を受けるケースは多くありません。借入予定がなくても事業計画書を作っておく必要性を中野さんは説きます。「作成すること自体が、計画全体を自分自身で展望し、細部を検証するための重要なプロセスになるからです。起業後、ターゲットが変わったり、価格を変更したりということがあると思います。事業の状態は刻々と変わっていく。その時点の事業を自分で納得するためにも必要です」

イメージ画像 事業計画書


副業起業を成功させるポイントは?

副業起業の場合、会社員でありながら起業家でもあるという特殊な立場に置かれることになります。どんな点に注意をする必要があるでしょうか。

「まず行わなくてはいけないのは、在籍している会社が、副業を禁止していないかどうか、就業規定を確認すること」と、中野さんは力を込めます。副業を解禁する会社が増えているとはいえ、全体としては禁止している会社の方がずっと多い。そして、当然ながら、副業禁止規定がある場合、副業起業は難しくなります。「副業を成功させるためにも、会社のルールを守り、会社といい関係を保ちましょう」

 

次に、事業資金の問題。起業にあたっては、日本政策金融公庫や自治体の創業融資等を利用するのが一般的ですが、副業起業の場合、要件を満たせず融資を受けられないことも多いとのこと。「副業起業は、自己資金の範囲内で行うことが原則。初期投資を抑え、月々の固定費の支出もできる限り抑えた、身の丈に合った起業をしましょう」。オフィスを借りずに自宅で開業する、協同出資の形は避け、一人で起業する……等を選ぶことも必要です。

 

もう一つ、副業ならではの大問題なのが、時間の管理です。「例えば、会社員として勤務中は、副業の顧客への対応はできません。電話の受け答えをアウトソーシングする等、顧客に迷惑をかけない仕組みを作る必要があります」

また、限られた24時間の中に、2つの仕事とプライベートをどう配分するのかという問題もあります。自宅で開業している場合は、朝から晩まで仕事をし続けるということにもなりかねません。中野さんのおすすめは、「始業時間と終業時間、昼休み等の時間を自分で決め、ルール化して自分がそれを守ること」。効率的な時間の利用や細切れ時間の活用等も大事になります。

 

最後に、家族の理解と協力を得ること。「とくに自宅で開業する場合は、家族が気を使い、それが家族にとってのストレスになってしまうことも。起業前に家族とじっくり話し合っておくことが大切です」

社内の規則や法律等、制度面がまだ現実に追いついていないとはいえ、副業、複業、パラレルワークは、私たちにとってどんどん身近なものになっています。人々が、複数の仕事の間を軽やかに行き来するのも、そんなに遠い未来ではないのかもしれません。

中野裕哲(なかの・ひろあき)
起業コンサルタント®、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、ファイナンシャルプランナー(CFP®、一級ファイナンシャルプランニング技能士)、宅地建物取引主任者。起業コンサルV-Spiritsグループ代表。
起業家支援をライフワークとし、「まるごと起業支援ドットコム」を主催。年間約300件の起業相談を無料で受け、多くの起業家を世に送り出している。日本最大級の起業支援ポータルサイト経済産業省後援DREAM GATEにて7年連続相談件数日本一。起業の最前線、現場での支援経験に基づく独自の起業・独立ノウハウに定評がある。http://v-spirits.com/

日経BPコンサルティング 金融コンテンツLab. 
ライター 平林理恵

日経BPコンサルティング「金融コンテンツLab.」(https://consult.nikkeibp.co.jp/financial-contents-lab/)は、難しくなりがちなお金の話題を、わかりやすいコンテンツに仕上げることをテーマとして取材・情報発信にあたっている制作研究機関。月刊誌『日経マネー』編集部の在籍経験の長いベテランスタッフが中心となり、マネー系コンテンツを提供している。