SNS上にみられたデート援交の相手募集の書き込み(画像の一部を加工しています)

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 SNS(会員制交流サイト)を通じて知り合った男性と食事やショッピングをし、見返りに現金をもらう「デート援助交際」(デート援交)が女子中高生らの間で広がっている。

 デートのみで“実入りがいい”としてアルバイト感覚で手を出しているとみられるが、児童買春など事件に発展するリスクは高い。大阪府警はデート援交を重点的な補導対象に指定し、対策の強化に乗り出している。

16歳「整形のため」

「難波あたりでデートできるパパさん、さがしてます」

 「年齢などはDMで待ってます」

 昨年9月、大手SNSをサイバーパトロール中の大阪府警少年課員がこんな書き込みを見つけた。

 SNSは仲介者を要さず、不特定多数に一気に募集をかけられる。DM(ダイレクトメール)とは、当事者だけしか分からないやり取りのこと。自分の年齢など具体的な“商談”は非公開のDMでしましょう、という呼びかけだった。

 少年課員は身分を伏せ、書き込んだ人物にデートに応じる内容のメッセージを送信。「16歳の高校生です」と返信があった。数日後、大阪・難波の待ち合わせ場所に私服の女子生徒が現れた。「警察や」。同課員が身分を明かすと生徒は一瞬驚いた様子を見せたが、素直に事情聴取に応じた。

 生徒は、知人にならってデート援交を始めたといい、1時間あたり3千円をもらう約束で、これまでに3人とデートをして計9千円を得ていたという。小遣いがほしかった理由は「整形手術をしたかったから」。同課員はその後、保護者に事情を説明して生徒を引き渡し、継続的な見守りを要請した。

「個人営業」規制限界

 府警が昨年、デート援交と認定して補導したのは女子中高生ら19人。それ以前のデータはないが、SNS上の書き込みに比べれば氷山の一角にすぎないとみられる。一方、売春行為と下着販売で補導されたのはそれぞれ8人だった。

 18歳未満の少女に対する性行為は、児童買春・児童ポルノ禁止法や青少年健全育成条例で規制される。着用済み下着も、買い受けた者が罰せられる。だが食事だけ、ショッピングだけのデート援交は、いずれの規制にもかからない。

 女子高生と散歩やデートをする「JKビジネス」では、実際には少女にわいせつ行為をさせていたとして経営者らが逮捕されるケースがあるが、いわば個人営業のデート援交では、少女への補導のみにとどまることが多いという。

強引にホテルへ…

 とはいえ、デート援交が入り口になって犯罪に巻き込まれる事例は相次いでいるとみられる。

 ネット上のトラブル相談を受ける「全国webカウンセリング協議会」(東京)によると、「何回か会ううちに強引にホテルに連れ込まれ、裸の写真を撮られた」といったデート援交に関する相談が、月に数件は寄せられるという。

 同協議会の安川雅史理事長は、デート援交をする少女の心理について、小遣い欲しさの他に、家族や周囲との関係がうまくいかず、心の隙間を埋めてくれる存在を求めている場合もあると指摘。一方、「デートを申し込んでくる男性のほうは性行為が目的の人が圧倒的。デートだけだから安全だとは考えないほうが良い」として警鐘を鳴らす。