クーデタの後、どうなる? (パトリック・ブキャナン著)
Patrick J. Buchanan, “After the Coup, What Then?” (August 8, 2017) LewRockwell.com.
トランプ大統領任期が悪魔に取り付かれていることは否めない。
さて、特別弁護士ロバート・ミュラー三世が大陪審を選び、トランプの家族とキャンペーンの関係者に召喚状が発送されていたという。
陪審員はヒラリー・クリントンが91パーセントの票を舐める市の貧困市民から集められる。トランプは4パーセントだ。
ミュラーがどんな起訴を求めるにせよ、ミュラーは勝つ。
絶えず彼に噛み付くメディアのおかげで、トランプはクイニピアック大学世論調査では33パーセント、他のほとんどでも40以下の是認に落ち込んでいる。
トランプがワシントンDCを去る前、ワシントン・ポストはメキシコとオーストラリアの指導者たちとの彼の会話の記録を流した。
オバマ政権のベテランでさえ唖然とした。
なので、こう問うときが来ている。もしもこの市がトランプを蹴落としたら、アメリカの他の人々は喜ぶだろうか?
我々の戦争を戦うための兵士たちを生産する「ディプロラブルズ」が居住する地、フライオーバー・カントリー〔アメリカ東西沿岸間の国々〕では、どんな反動が起こるだろうか? 彼らは自分たちが選出してあれほど希望を託した大統領を蹴落とす「自由出版」に乾杯するだろうか?
わたしの予想では――その反動は苦々しさと冷笑、絶望、八百長の感覚、俺たちが何しても無駄で、あいつらは俺たちを勝たせないという感覚のものになるだろう。もしもトランプが蹴落とされたら、アメリカ民主主義は完敗するだろう。それは詐欺と見られるだろう。そしてバックラッシュは我々の政治をただ外国からの攻撃だけが俺たちを纏めてくれるというところまで汚染するだろう。
我々のメディアは真実に献身して我々をぶっ通しで暴政から保護してやる民主主義の擁護者気取りで得意がっている。しかし国民の半分はすでにメディアのことを、人々が繰り返し繰り返し拒絶してきたはずのリベラル〔左翼リベラル〕体制派のプロパガンダ兵器として見ている。
トランプのメキシコ大統領とオーストラリア首相との電話記録がPostに公表されたことを考えてみよ。
報道者グレッグ・ミラーがそれらの記録を入手したとき、彼の編集者はそれがトランプを傷つけると知ってそれらを1ページ目に貼っつけた。
Postは不忠でおそらく犯罪的な職権乱用を行った漏洩者に利用されてしまった。けれども、Postは守秘を誓ってトランプ・ヘイターの身元を隠すと同意した。
これこそ我々の仕事だ、とPostは言う。トランプ大統領が壁造りのためにメキシコとの集まりのことを言ったりメキシコの大統領のことを言ったりしていたら、人々はそれを知る権利がある、と。これがネタだ。
しかしそこにはこのポストの一記事が単なる証拠物件にすぎないようなもっと大きなネタがある。それは反トランプがFBIとCIA、NSA、NSCからの漏洩を、犯罪的な漏洩ですらあるが公表した、ベルトウェー・メディアとその国家内国家(deep state)協力者の両者が嫌悪して破壊したがっている大統領を蹴落とすための、一致団結キャンペーンのネタである。
ちょうどベルトウェー・メディアが国家内国家犯罪者どもとアメリカ合衆国大統領を蹴落とすために共謀しているのと同じように、トランプはクリントンを倒すためプーチンと共謀したのだと知れ、とベルトウェー・メディアが要求する。
そして、アメリカ人が二〇一六年に否認した政権により――選挙の結果を覆すために特別弁護士の機密漏洩と致死性兵器を使っての――次々と繰り広げられる静かなクーデタが存在するならば、それはトランプがペーニャ・ニエトに言ったことと同じだけカバーするに値するネタではないのか?
人々は国家の長を蹴落とすためにネバー・トランプ出版と共謀する蛇が誰なのか知る権利をもってはいないのか。国家内国家の重犯罪人の身元を発見することは調査報道者がのめり込むべきところのネタではなかったのか。
もしもグレッグ・ミラーが漏洩源を秘匿する義務を負うならば、よかろう。しかしなぜ他のジャーナリストはそいつの身元を暴露しないのやら。
それは自白している。これは万人が同一の目標を――トランプ・ダンピングを――持っているから万人が他の万人の情報源を秘匿する共同企画なのだ。それが犯罪者との共謀を要するなら、勝手にしろ。
司法省は今では漏洩を追跡しており、ACLUのベン・ウィズナーは卒倒しそうである。「すべてのアメリカ人は告発者とジャーナリストに対するトランプ政権の増大中の脅威に関心をもたなければならばい。漏洩の締め付けは自由出版と民主主義の締め付けである」。
それは言い方の一つではある。もう一つの言い方として、それら「密告者」の幾人かは二〇一六年度アメリカ大統領選の評言を拒絶してそれを転覆せんとする政治的犯罪者である。そして前述の「ジャーナリスト」はそのイネイブラー兼共謀者である。
そして、もしもウィズナーが断言するとおり、機密を保護することが「自由出版と民主主義の締め付け」も同然であるならば、自由出版と民主主義が世界中で不人気に陥っているのも不思議ではない。
共謀することで、主流派メディアと国家内国家、特別起訴者のボタンマン(button men)は、また一人、また一人と大統領を蹴落としてゆくかもしれない。そうすることで、彼らはジョン・アダムズの洞察を立証するだろう――いわく、
民主制は決して長続きしない。それはすぐに疲弊し消耗して自滅する。自殺しなかった民主制など決して存在しなかった。