健康管理解決の四歩
Hans-Hermann Hoppe, A Four-Step Health-Care Solution, https://lewrockwell.com/2017/06/hans-hermann-hoppe/4-step-health-care-solution/
アメリカ合衆国のヘルスケア制度がめちゃくちゃなのは事実だが、これが証明するのは市場ではなく政府の失敗である。利己的な政治家は問題を解決するのには政府の規制と官僚制を変える必要はないだの強化する必要があるだのと信じさせたがるが、必要なのは政府の既存統制の全廃である。
ヘルスケア改革に真剣に取り組むときが来た。タックス・クレジット(税額控除)、バウチャー(利用券)、民営化は、システムを分権化しビジネスから不要な負担を除去するのに大いに役立つだろう。しかしまた、四つの更なる歩みを進めなければならない。
ただこれらの四歩だけが、劇的ながら、医療支給の完全自由市場を復古するだろう。これらが採用されるまで、この産業は深刻な問題を抱え続けるだろう。ひいては、我々消費者も。
1
医療学校と病院、薬局、医師、その他ヘルスケア人事についての認可要件を全廃せよ。市場においては、その供給がほぼ即座に増加し、価格は低下し、大なる多様性のヘルスケア・サービスが発生するだろう。
競争する自発的な資格認可機関が強制的政府認可の場所に収まるだろう――もしもヘルスケア支給者が、そのような資格認定で彼ら自身の評判が上がるだろうと信じ、彼らの消費者が評判を気にし、そのために支払うのも本意であるならば。
消費者はもはや、そのようなものをヘルスケアの「国民的標準」と信じるよう欺かれていないだろうから、彼らは研究費用を上げ、もっと差別的なヘルスケア選択を行うだろう。
2 医薬製品と医療機器についての政府規制を全廃せよ。これはアメリカ食品医薬品局はもう要らないを意味する。現在、この局が発明を妨げ費用を増加させている。〔その全廃により〕市場において、費用と価格が低下し、もっと良い生産物のもっと広い多様性が速やかに達せられるだろう。市場は消費者に対し、――政府ではなく――彼ら自身のリスク査定に応じて行為するよう強いる。競争する医薬品と機器の製造者と販売者は、消費者を魅了するためと同じだけ製造物責任訴訟から身を守るため、ますます良い製品記述と品質保証を提供するだろう。
3 健康保険産業を脱規制化せよ。私企業が保険を提供できる出来事とは、被保険者が結果に支配力を及ぼさない出来事である。たとえば、自殺や破産に保険をかけることはできない。それらの出来事は彼らの手中にあるからだ。人の健康、あるいはその欠如が、まずます彼自身の支配下に納まるならば、健康リスクのほぼすべてではなくとも多くが実際には保険不可能である。個人がその可能性に対し体系的に影響力を及ぼせるリスクについての「保険」は一身上の責任の内に収まる。そのうえ、すべての保険は個人的リスクのプーリングに携わる。これが含意するのは、保険業者は一方の人々に多く支払い、他方に少なく支払うことである。しかし、誰が「勝つ」か誰が「負ける」か予め確実に知ることはできない。「勝ち手」と「負け手」はランダムに分布し、その結果としての所得再分配は非体系的である。もしも「勝ち手」や「負け手」が体系的に予言できるならば、保険費用を下げるため、「負け手」は「勝ち手」とではなく「負け手」とリスクをプールするのを望むだろう。費用を下げるため、たとえば、わたしは自分の個人的な事故リスクをフットボール選手ではなく、私自身に似た状況の人々としかプールしたくない。健康保険業者の拒否権――いかなる個人的リスクにせよ保険不可能であると排除する権利――への法規制のせいで、現在の健康保険制度は保険には部分的にしか関心をもたない。この産業は異集団リスクを自由に差別することができない。結果として、健康保険業者は多数の保険不可能なリスクを正真正銘の保険リスクとともに填補しプールする。彼らは有意に異なる保険リスクを負った多様な集団を差別しない。かくて、この産業は所得再分配のシステムを営んでいる――責任ある諸個人と低リスクな集団の義性で、無責任な行為者と高リスクな集団を、利しながらである。したがって、産業の価格は高く、膨らんでいる。この産業を脱規制化するとは、そこに無規制な契約自由を復古することである。すなわち、健康保険業者はリスクを包括するか排除するため、そしていかなる諸個人の集団をも差別するための、とにかくどんな契約を提供してもいい。保険不可能なリスクは填補を失い、残った填補のための保険政策の多様性が増し、価格差は真正の保険リスクを反映するだろう。平均すれば、価格は劇的に下がるだろう。そしてこの改革はヘルスケアの個人的責任を復古するだろう。
4 病人や非健康者への助成金を全廃せよ。助成金は何であれ助成されるものを増やす。我々は、そのような助成金を全廃するならば、健康な生活を送り生活のために働く意思を強めるだろう。それは第一に、メディケアとヘルスケアの廃止を意味する。