ウェディングイブ(名探偵コナン)

登録日:2016/04/10 (日) 10:31:07
更新日:2018/03/23 Fri 02:31:03
所要時間:約 10 分で読めます





恐らく…これではっきりするはず…

誰が彼女の命を絶ったかが…


そして…オレの推理通りなら…

白日の下に晒されちまう…


知りたくなかった…悲しい真実が…


『ウェディングイブ』とは、「名探偵コナン」において、江戸川コナンが真相を解き明かした事件の名称である。
単行本第75巻に収録。テレビアニメでは第667話・第668話として2012年9月1日と8日に放送された。
シリーズでは久々となる悲しい結末を迎えた事件であると同時に、謎多き人物・安室透が初登場した事件でもある。


以下、ネタバレにご注意ください。


【ストーリー】

ある雨の日の夜、「Ristorante Sundayrino」にて、小五郎の高校時代の旧友・伴場頼太の結婚前夜祭と高校の同窓会を兼ねたパーティーが執り行われた。
コナンと蘭もそのパーティーに参加し、パーティーは和やかに進むが、新婦である加門初音が「これからネイルサロンに行く」と言って席を外す。
しかしなぜか時間になっても初音はなかなか戻って来ず、心配した伴場が彼女に電話をかけると、彼女は「サヨナラ…」と言ったっきり黙ってしまう。
その直後、レストランの駐車場に停めてあった初音の車が爆発し、その中から初音と思われる焼死体が発見された。
現場に残されていた初音の付け爪には犯人のものと思わしき皮膚が付着しており、その事から他殺の線が濃厚となる。
その皮膚のDNAと伴場のDNAがほぼ一致した事で、伴場がこの事件の最有力容疑者として疑われた。
捜査が進むうちに、新郎新婦それぞれが探偵を雇い、相手を監視し合っていた事実が発覚、初音の雇った探偵・安室透は伴場が事件の犯人だと疑ってかかるが……?


【事件関係者】
名前の元ネタはアニメ『機動戦士ガンダム』関連。

  • 伴場頼太(ばんば らいた)
CV:加瀬康之
新郎で小五郎の高校時代の旧友。37歳。
初音と出会った瞬間に運命的なものを感じ、意気投合して結婚までこぎつけたらしい。
小五郎曰く「手が早い癖に焼きもち妬き」らしく、初音に「浮気するな」と言っておきながら彼女がいない間にも酔った勢いで何人もの女性に言い寄っていた。
安室を初音の愛人だと思い込み、一方的に敵視して殴りかかる場面も何度かあった。
現場から発見された付け爪から採取された皮膚のDNAが彼のものと“ほぼ一致”した事で、警察や安室から初音殺しの疑いをかけられるが……
名前の由来は「ランバ・ラル」から。

  • 加門初音(かもん はつね)
CV:山本百合子
新婦。37歳。
身長は140cm後半で小柄な体格の美人。
レストランの店員にも笑顔で接していたため、伴場に「浮気したら承知しねーぞ」と釘を刺される。
「ネイルサロンに行く」と言って2時間ほど席を外すが、駐車場まで戻った時に掛かってきた電話を取った途端表情が強張る。
その後伴場からの電話を受けた際にはなぜか「サヨナラ…」と言って沈黙する。
直後に彼女の車が爆発し、その中から焼死体となって発見された。
車には結婚式の余興に使うはずだったカラースプレーが大量にあったため、それに引火して車が激しく炎上し、遺体も黒こげとなってしまった。
名前の由来はランバ・ラルの妻である「クラウレ・ハモン」から。

なお、伴場と初音の誕生日、血液型、境遇は全く同じであり、たまに黙っていても互いの考えている事が分かってしまう事もあるらしい。
それに加え、2人ともまだ赤ん坊だった頃、同じホテル火災に巻き込まれていたらしく、2人の両親はその火災で死亡している。
その後は同じ教会で身元不明の子供として育てられたが、伴場のほうはすぐに里親に引き取られたらしい。

  • 春岡参治(はるおか さんじ)
CV:沢木郁也
伴場が雇った探偵。48歳。
サングラスをかけた人相の悪い男で、パーティーでも若干浮いた存在となっていた。
伴場から、初音が誰かとこっそり会っているようなので探ってほしいとの依頼を受け、初音と安室の密会現場に張り込む。
その相手が安室だと睨み、それを確かめるために彼が働くレストランに来店していた。
ちなみに、安室の正体を明らかにするべく尾行も行っていたようだが、すぐにまかれてしまったらしい。
名前の由来は「サンジバル(ジオン軍の機動巡洋艦)」から。

CV:古谷徹
初音が雇った探偵。29歳。
伴場の浮気性を心配した初音の依頼を受け、彼の身辺調査を行う。
パーティーにはウェイターとして潜入し、冴えないバイトのふりをしつつ伴場の動向を監視していた。
春岡を探偵だと見抜き、彼がレストランでとった行動を事細かに言い当てた切れ者。
付け爪から採取された皮膚のDNAと伴場のDNAがほぼ一致した事実を踏まえ、犯人は伴場で間違いないと考えるが……
名前の由来は声を担当する古谷徹氏と彼が演じた「アムロ・レイ」から。


【レギュラー陣】

ご存知主人公。
現場の状況から今回の事件は他殺だと考えたが、安室の言葉を聞きある可能性が頭をよぎる。

ご存知蘭姉ちゃん。
DNA鑑定の精密さに感心し、「DNA鑑定なら姿を変えてみんなを騙してる人もすぐにわかっちゃうね!」とコナンの耳が痛くなるような事を笑顔で言っていた。

ご存知迷探偵。
高校時代は英理に言い寄ってくる男に眼を飛ばし、彼女に悪い虫がつかないよう守っていたらしい。
伴場に容疑がかかった時は彼の無実を信じ、彼にDNA鑑定を承諾するよう促すのだが……

ご存知警部殿。
DNAの照合結果と、車内に可燃物が大量にあった事を伴場が知っていた事などから、今回の事件の犯人は伴場だと考える。

ご存知高木君。

ご存知千葉君。
2人とも今回の活躍は概ねいつもどおり。


【以下、今回の事件の悲しい真相】

























いいのか?伴場!本当に…
「この店から出ちまってもいいのか?」って聞いてんだ!!


しゃーねぇだろ?
こーなったら警察で無実なのをわかってもらうしか…


そうか…だったらお前は…

犯人じゃねぇよ!!

  • 安室の推理とそれに対するコナンの反論
レストランの出入り口は店の正面扉1つしかなく、パーティーの主役である伴場が誰にも見られずにそのまま出て行く事は不可能であった。
その点に関して安室は「トイレでニット帽やウインドブレーカーを身につけていたなら外に出る事は可能である」と考えており、犯行を終えて戻った後は、犯行時に彼女に引っかかれた傷を誤魔化すために店内で騒いでケガを負ったと推理する。
変装に使った服はどうしたかを聞かれると、トイレで細かく切り刻んでトイレに流したのだろうと説明づけた。
その時に小五郎(コナン)に「靴はどうした?」と聞かれると「靴なんか履き替える必要はありませんよ」と反論したのだが、伴場の靴の裏には彼が犯人ではない事を示す決定的な証拠が残されていた。

靴裏の溝にはクリームらしきものが残っており、それは床に落ちたチョコレートケーキを誤って踏んでしまった時に着いたものだった。
もしそのまま店を出ていれば雨水によってクリームはほとんど落ちているはずであり、それが今も尚残っているという事実、それこそが彼が店の外に一歩も出ていないという証拠となるのである。

最初コナンはこの証拠を見た時、これは伴場が仕掛けたフェイクだと考えていたようだが、伴場がクリームの件を言い出さない事でこれはフェイクではないと推測し、何も言い出さないまま雨が降る外に出て証拠を台無しにしようとしている彼を見た事で、伴場は無実であると確信した。
ちなみに、付け爪に付着していた皮膚のDNAについて、「付け爪に着いていた皮膚が彼女本人のものだったとしたら?」と新たな可能性を持ち出すのだが、だとしたらこの事件の真相は……?




出会ったのは偶然かもしれねぇが…
惹かれ合ったのは必然だったと思うぜ?


双子だったんだからな…

  • 加門初音
今回の事件は他殺ではなく、彼女自身による焼身自殺だった。
焼死する直前まで幸せに満ちていたはずの彼女が何故自殺をしてしまったのか?その理由は彼女と伴場の数奇な境遇にあった。

実は伴場頼太と加門初音は血の繋がった双子(異性一卵性双生児)
赤ん坊の時に巻き込まれた火災で両親が死亡したことで、身元不明のまま赤の他人同士として教会で育てられたのである。
異性同士の双子でDNAが同じになるのは極めて稀な例であり、それによって生まれた女性はターナー症候群により低身長になりやすくなるらしい(実際初音の身長は140後半と、日本人女性の平均身長159cmに比べ低めであった)。

安室に伴場の境遇を聞かされた際にもしやと思い、自身と伴場が双子かどうかはっきりさせるために密かにDNA鑑定を業者に依頼していた。
その鑑定結果をネイルサロンから戻った時に電話で聞くのだが、その結果伴場と血の繋がった双子だと判明し愕然とする。
この結果を知った途端、ありとあらゆる感情が一気に込み上げて、付け爪が外れるほど顔を掻きむしり号泣する。自分たちは決して結ばれてはならない、血の繋がった兄妹なのだと……
そして最期には伴場からの電話で「サヨナラ…」と言い残し、車に火をつけて焼身自殺を図り焼死してしまったのだった。

なぜ彼女が焼身自殺を図ったかは定かにはなっていないが、この事に関してコナンは「もしかしたら彼女はやり直すために、(ホテル火災の)炎へと戻りたかったのかもしれない」とモノローグの中で語っていた。

  • 伴場頼太
コナンの推理のおかげで殺人犯にならずに済んだが、婚約者の初音が血の繋がった生き別れの双子だったと知り、愛した女性と生き別れの肉親を同時に失う悲しみを味わう事となる。
伴場のDNAと、現場から発見されたもう1つの付け爪についていた初音の皮膚のDNAが、性別を示す部分以外ピッタリ一致した事で、初音とは双子である事が証明された。
その結果を知ると悲痛な表情を浮かべ同時にその場で亡き初音の名前を叫びながら泣き崩れ、心に深い傷を負ってしまう。あまりにも悲惨すぎる結末にその場の空気も深い悲しみに包まれた。
何とかこの悲しみを乗り越え、立ち直ってほしいものではあるが……



  • 安室透
DNA鑑定の結果を信頼しすぎるあまり、無実の伴場に疑いの目を向けてしまうが、小五郎(コナン)によってその推理を論破されてしまい、結局はかませ犬のような扱いに。
DNAに関して優れた知識を有していたものの、伴場と初音が双子である可能性までは(それが希有な例であったためか)さすがに思いつかなかったようである。
今回の件で自分の未熟さを痛感したらしく、数日後に喫茶ポアロのアルバイトとなり小五郎に弟子入りを志願する。
小五郎は当初「弟子はとらない主義」だと彼の弟子入りを断ろうとしてたが、彼から高額の授業料を提示された事で考えを一変(笑)。
こうして半ば押しかける形で小五郎の弟子となり、コナンからは「また面倒くさそうなヤツが…」と白い目で見られるようになる。

しかし次に発生した事件では、優れた捜査能力を発揮して事件を解決に導くという名探偵ぶりを見せる。
どう考えても小五郎より優秀な探偵である事は明らかで、今回の事件の彼の行動も見方によってはあえて間違った推理を披露して小五郎の出方を伺っているようにも見えるが、そんな彼がわざわざ小五郎に弟子入りを志願した本当の理由とは一体何なのだろうか……?




追記・修正は、異性一卵性双生児の方にお願いします。


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