「粒あん使用」表示義務化へ


与野党の議員60人でつくる超党派の「粒あん表示を実現する議員連盟」(粒議連)は、菓子等に使われるあんが粒あんであるかこしあんであるかの表示を定める食品表示法改正案をまとめ、議員立法で野党から提出を目指す方針を決めた。

粒あん表示の案(粒議連)

種類別(表示)品目備考
特定あん(義務)粒あんあずきの粒をつぶさないように焚いたもの
つぶしあん粒あんの粒をつぶしたもの
特定あんに準ずるもの(努力義務)小倉あんこしあんに別途調製した大納言粒を混ぜたもの
その他のあん(「でない表示」を許容)こしあん裏ごししてあずきの子葉以外の部分を取り除いたもの

法案では、粒あん(つぶしあんを含む)を「特定あん」とし、食品に使用している場合は必ず表示する。また、こしあんに大納言粒を加えた小倉あんを「特定あんに準ずるもの」とし、これを使用している場合は可能な限り表示をするよう努めることとする。

こしあんについては、「粒あんでない」「粒を含まない」などのいわゆる「でない表示」も認めることにする。これについては、裏ごしして調製したこしあんに皮などの子葉以外の部位が混入することがあるが、これを「意図せざる混入率」5%まで許容する案で検討を進めている。その一方、「粒あんが入っているかもしれません」「粒あんが入っている場合があります」といった、いわゆる「可能性表示」は禁止する。

表示の対象となるのは容器包装された加工食品で、店頭でばら売りされその場で包装されるものおよび注文して作る菓子類は表示を免除する。この加工食品には、大福やおはぎなどの和菓子のほか、羊かん、汁粉およびぜんざい、氷菓等を含む。

近年、体調の安定や心の平穏を保つために粒あんを食べないことにしている人が増えており、中には粒あんを食べた後数時間から数日の間生活を楽しめなくなるなど重篤な反応を示す人もいるとされる。

これに対して、市井では一般市民が「嫌粒あん権確立を目指す人びとの会」を、弁護士・学者らが「嫌粒あん権確立を目指す法律家の会」を結成。さらに昨年末までに両会が合流して「嫌粒あん権確立を目指す会連合会」(嫌粒連)を結成するなどの動きが出ていた。嫌粒連では、「おはぎの表面ではなく内部にこしあんを仕込んできなこをまぶしたもの、すなわち『つぶあん不使用』を偽装した悪質な例もある」ことをとくに問題視している。

さらに、昨年には法律事務所職員男性とデザイン・スクール事務員女性の2人組がこしあんを扱う店が営業していないことを理由に粒あんを扱う店を襲撃するといった事件も起こっており、社会問題化していた。

粒入り v.s. こし
粒入り v.s. こし

こうした動きを受けて、行政でも「粒あん表示制度に関する検討会」(粒表会)を開催し、「消費者の自主的かつ合理的なあん選択の機会の確保を実現するために、消費者が求めるあん情報及びあんの流通状況等を踏まえ今後の粒あん表示制度のあり方について幅広く検討」(粒表会議事録より)を行ってきた。今後制度案を策定した後、パブリックコメントを募り、さらに検討を進めた上で政令・通知で制度化することにしていた。「安易な制度になってはならない」(同)という姿勢だ。

しかし、行政のこうした動きを「慎重すぎて遅い」(議連議員)と考えた超党派の議員が集まって議連を結成し、今回改正案提出の運びとなった形。議連では「おはぎとぼたもちの需要喚起が本丸。今秋の彼岸までに施行にこぎ着けたいが、遅くとも来春の彼岸には間に合わせたい」考え。

ただし、粒議連案には嫌粒連から「甘い」などとする反対意見も上がっている。「議連案の小倉あんの扱いはナンセンスだ。『でない表示』については、意図せざる混入も0%であるべき。また、和菓子の多くは今でも和菓子店の店頭で陳列してその場で包装して販売することが多いのだから、工場生産したものだけを表示対象するというのでは、事実上野放しということ。安直だ」(嫌粒連幹部)。

都内の老舗和菓子店主人は、「お客様が求めるものを間違いなく買えるようにすることはいいと思う。でも、粒あんや小倉あんのよさもわかってもらいたい」と語り、「さびしいね」とつぶやいた。

《この記事はエイプリルフールの“ネタ”でした》


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