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ロシアと米国で外交官の退去始まる、元スパイ毒殺未遂で関係悪化
【4月1日 AFP】英国で起きたロシア人元スパイ毒殺未遂事件をめぐってロシアと欧米の関係が悪化する中、ロシアと米国でそれぞれの外交官らの退去が始まった。
米国のロシア大使館では3月31日午後1時(日本時間4月1日午前2時)過ぎ、男性や女性、子どもら約50人が青いバスに乗り込み大使館を後にした。行き先はワシントンのダレス空港(Washington Dulles International Airport)とみられる。米政府が「スパイ」とみなしたロシア人外交官は60人で、これらの外交官と家族を合わせた計171人がロシア政府が手配した航空機2機で米国を出国する予定。うち1機はニューヨークを経由してロシアに向かうという。
ロシアでも同じ日の朝、セルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相が在サンクトペテルブルク(St. Petersburg)米総領事館の閉鎖と米外交官60人の国外追放を発表したことを受けて、引っ越し用トラック数台が米総領事館に入り、米国旗が降ろされた。民営インタファクス(Interfax)通信によると、同総領事館の職員は同日午後10時(日本時間4月1日午前4時)、領事館内の居住者は4月末を期限として退去が求められたという。
互いに外交官を追放し合う契機となったのが、英南西部ソールズベリー(Salisbury)でロシア人の元二重スパイ、セルゲイ・スクリパリ(Sergei Skripal)氏と娘のユリア(Yulia Skripal)さんが毒物で襲撃された3月4日の事件だ。英国は、事件で使用された毒物は旧ソ連が開発した軍用神経剤だったと主張し、ロシアを非難している。
ロシアと欧米間での外交官追放措置の応酬は近年では類を見ない規模に達しており、両者の関係は冷戦(Cold War)後の最悪レベルにまで落ち込んでいる。(c)AFP/Sylvie LANTEAUME with Marina Koreneva in Saint Petersburg