『増山超能力師事務所』役になりきった4か月、バラエティでよくしゃべる田中直樹に浅香航大は「めちゃくちゃ違和感(笑)」【インタビュー】

2018.03.31
映画

映画のインタビュー&取材漬けの日々是幸也

赤山恭子

2017年にytv系列で放送されたドラマ「増山超能力師事務所」は、超能力というSF的要素がリアリティとうまく融合し、独特な世界観に中毒者が続出した。そして、この春、劇場版……いや、“激情版”で帰ってくる……!

増山超能力師事務所

映画『増山超能力師事務所 〜激情版は恋の味〜』は、田中直樹演じる増山圭太郎の部下・高原篤志(浅香航大)が、お弁当屋の女子にほのかな想いを寄せる恋心を軸に展開され、ほろ苦い要素がふんだんに詰まった作品に仕上がっている。とはいえ、超能力で人助けをするというベースは変わらず、ドラマシリーズのファンはもちろん、初心者でも安心して楽しめる親切設計だ。

主演の田中&物語のカギを握る浅香に、「島ぜんぶでおーきな祭 第9回沖縄国際映画祭」にてインタビューを敢行。こだわりが詰まったキャラクター愛や、互いの印象、超能力について……ノンストップで語ってもらった。

増山超能力師事務所

――現場は気心が知れたというか、和気あいあいとした感じだったんでしょうか?

田中:そうだと思います。ドラマ版で12話やったんですけど、そもそも12話まであるってことが、今のクールの中ではなかなかないですよね。必然的に皆で会う機会も増えますし、本作もあったので……どれくらいの期間かな?

浅香:4か月ですよ。

田中:そう、4か月一緒だったもんね。まして、事務所で撮影するシーンが多かったので、本当に回を重ねるごとにチームワークができていったような印象でした。

――浅香さんは4か月ご一緒された田中さんの存在を、どう感じていましたか?

浅香:田中さんが不在のときに、不安で寂しくなってしまう、ぐらいの……。

田中:嘘でしょ? 聞いたことなかったよ(笑)。そんな素振り、一切感じんかったけどなあ~。取材で嘘はあかんからね?

浅香:いえ、もちろん本当ですよ(笑)! 田中さんがいらっしゃると、現場も和やかになりますし、引き締まるところもあるんです。やっぱり頼れる存在でした。ご飯とかにも連れて行っていただいて、皆で焼肉に行ったりして楽しかった……。失礼にあたるかもしれないですけど、すごく接しやすくて、友達に近いくらいの距離感でいてくださって、本当に優しさがにじみ出ている方です。

田中:あ、ありがとう(笑)。

増山超能力師事務所

――となると、お二方にとって『激情版』のお話はうれしかった?

田中:そうですね。まだ皆と一緒にいられる、というのがあって。本当にずーっとこのメンバーと一緒にいたいと思うぐらい素敵な方ばかりなので、お話はうれしかったですね。

――本作ではとうとう、と言いますか、浅香さん演じる高原篤志がメインです。

田中:篤志は、6年かかって、やっと二級(超能力師)の免許を取れて、でも、まだやることが上手くいかない男だったと思うんです。でも、その篤志が、ひとつ恋をすることによって、どんどん成長していくんですよね。ちょっとおっちょこちょいで、のんびりしていた篤志とは違う篤志が、この映画では観られます。男としても成長しているから……ちょっと僕、泣きましたからね。カッと胸が熱くなるものがあったので。

浅香:本当ですか? ありがとうございます。ドラマをこれだけやってこれたおかげで、役が動き出している感覚がすごくあったので、スッと入れました。ドラマ版とは違った篤志の部分が非常に濃かったので、やっていてすごく新鮮でしたし。

――浅香さんの篤志は、そもそも意外な配役でした。これまでシリアスなキャラクターが多かったイメージでしたが、振り切れた役もすごくお似合いになる。とても楽しんで演じていたんでしょうか?

浅香:ありがとうございます。僕もこの役を、すごく気に入っているんです。お芝居をしていても、何をやっても皆さんが受け止めてくださって。だから、「こうしてみよう」という発想がすごく浮かんできたような素敵な役でした。4か月間、篤志をやっていると、ふと「自分が篤志みたいに普段から振る舞えたら、どんなにいいだろう」という感覚になったりもしていて。

増山超能力師事務所

――篤志の真っ直ぐな気持ちは、男性としてわかりますか?

浅香:「真っ直ぐ生きる男っていいよな」「そう映ればいいな」と思って役作りをしてきたので、そう見えたことがまずうれしいですし、篤志のように生きられたらいいなと思う気持ちもあって。

田中:ストレートなのは、やっぱりいいですよね。篤志は分かりやすくて、真っ直ぐで、いい意味で馬鹿なのは男からみても可愛いし、そうありたいなとは思いますね。格好悪くても、自分を飾るよりもストレートに生きているほうがいいと思う部分はあります。

浅香:わかります。……僕からすると、増山所長はめちゃめちゃ格好良かったですけどね。

――「仕事人」という感じですよね。

田中:能力が本当に高かったのでね(笑)。すごくスマートに、サラッと、レベルの高いところで仕事がやれる人でしたよね、増山さんは。

――田中さん自身も同じですかね?

田中:全然違いますよ(笑)。すごい難しかったんですから、僕。いっつもバタバタしている役だったので(笑)、この役をいただいたとき、落ち着いて、いろいろなことに対処して、仕事もできて、モテて、という増山のような役をやったことがなかったので、すごく難しかったです。増山は一級の能力師なので、先々の展開も実は読めていたりするんですよね。だから、何が起こっても自分の中では想定内のことが多いので、感情をどんどん出していくこととは逆の作業になるんです。そこでの伝え方が難しいな、と思っていました。グッと自分の気持ちを押し殺して、その中で、物語をコントロールしていく感じと言いますか。

――役者の浅香さんからご覧になって、芸人さんならではの表現の幅の豊かさみたいなものを、田中さんから感じたりされたんでしょうか?

浅香:僕は今回、初めてご一緒させていただいたんです。だからなのか、田中さんには無口で、寡黙で……という増山さんのイメージのほうが強かったんです。けど、取材やバラエティ番組で一緒に出させていただいたとき、田中さんがすっごいしゃべられて。めちゃくちゃ違和感で。

田中:言ってたね(笑)!

浅香:「まあ、そうだよな」とは思いつつ(笑)。裏を返せば、それぐらい役として現場にはいらっしゃるんだな、と感じました。舞台挨拶もそうですけど、表に出たり、バラエティ番組に出られるときとかは、ガッとテンションが上がるじゃないですか。芸人さんは急にスイッチを入れられるので、あれって、どうしているんですか?

――浅香さんから質問がきました(笑)。

田中:おお……。しゃべる順番とかも、ほら、バラエティは決まっていないから……、そこを探っているんだと思うの。お芝居をやると、やっぱり皆でかけあって、自分の台詞をしゃべればいいけど、バラエティはそうじゃないからさ。だから、「どこでいこうか」っていうのをずっと探っているから、「ガッていかなきゃ」いけない状況なのかもしれないです。たぶん。特別に意識をしているわけじゃないんですけど、きっとそういうふうになっているんだろうなあ、と思います。答えになっているかな(笑)?

増山超能力師事務所

――劇中では様々な超能力が出てきますよね。人の心が見えてしまう能力に関しては、どのように思われましたか?

田中:うわ~。僕は怖いな。その能力はちょっと踏み込めないというか、ほしいと思えないかも。読めちゃうと、いろいろなことがガチガチになっちゃいそうで。いいことだけが聞こえてくる、みたいな、都合のいい能力がいいですね。

浅香:見えちゃうと、友達も減りそうじゃないですか? 「あいつといたら、全部読まれんだろ」って思われたら。だって、もし今の気持ちを全部読まれていると思ったら、僕、取材、嫌ですもん。

――(笑)。

田中:そうだよね(笑)。そら、そうやわな! 自分が言っていることを、そうだよね。

浅香:「読まれてんだな」と思ったら(笑)。

――逆に、「ここは読んでよ」と思うときはありますか?

田中:例えば、あくまでも僕のイメージですけど、吉本の話なんですけど……。他の事務所の方のところに台本が届いた次の日に、僕の手元に台本が届くことが多いような(笑)。「あれ? もう皆届いているのに、何で俺のとこ届いていないんやろ?」みたいなことがあるんですよ。

浅香:(笑)。

田中:吉本内の話なんですけどね。なので、例えば台詞を間違ったとしても、皆より到着が1~2日遅れているんだってことを理解していただけると……。浅香くん、ある?

浅香:台本はないですけど(笑)、「分かってほしいなあ」「読んでよ」というのは、うーん……主に女性関係であります。

――聞いて大丈夫そうでしょうか?

浅香:全然(笑)! 女性に限らず男性もですけど、僕、別に、本当に悪気はなくて。「ただ、こうなっちゃっているだけなんだよ」ということが結構あるんです。悪気はないことだけはわかってほしいです(笑)。(インタビュー・文:赤山恭子、写真:市川沙希)

映画『増山超能力師事務所 〜激情版は恋の味〜』は3月31日(土)よりシネ・リーブル池袋、大阪ステーションシティシネマほか全国順次ロードショー。

増山超能力師事務所
(C)増山超能力師事務所~激情版は恋の味~」製作委員会

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  • せつら
    -
    「京都国際映画祭」の舞台挨拶付イベント上映で鑑賞。 良くも悪くもテレビ版の延長線上で、上手くさりげなく登場人物の紹介はされているが、この作品の魅力は各キャラの内面にあるので、TVシリーズを見ていない人にはちょっと敷居が高いかも。自分のようにTV版を見ている者にとっては新たな展開がなく、90分未満という短さもあって少し物足りない。 浅香航大ハマり役の魅力が如何なく発揮されていたので、他のキャラがもっとストーリーに絡んでよかったと思う。
「増山超能力師事務所 ~激情版は恋の味~」
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