書籍の執筆は、情報を生成する行為ですが、その行為そのものにも情報の生成が伴います。
たとえば、以下のようなものがあるでしょう。
それぞれ見ていきましょう。
ヘッダー
まず、その書籍企画を持つ出版社、あるいは担当してくれる編集者さん、締切日などの情報があります。
このような情報は、執筆中つねに必要になるわけではありませんが、まったく無視してよい情報でもないでしょう。
ただし、これらの情報は一度発生したらなかなか変更されることがない動きの少ない情報です。
本文
もちろん、メインの原稿となる情報もあります。これには二種類あって、著者プロフィールなどの固定的な情報と、実際に本文となる文章情報です。後者の情報を構築していくことが、執筆作業の本丸だとは言えるでしょう。
ただし、その情報は、常に変化していくものというよりも、ある固定的な状態を目指して変化していく情報という点で、次の情報と異なっています。
メモ
ざっくり「メモ」と表現しましたが、本文と関係する、あるいは本文から発生する情報もあります。
たとえば、作業スケジュール、アウトラインメモ、原稿上の問題点や課題、使いたいアイデア、軽い指針のメモ、作業記録といったものです。
これらは作業するたびに発生したり、変化したりする情報です。変化する情報という点では「本文」と同じですが、本文が最終的に固定されることを目指すのに対して、こちらはそのような着地点は特にありません。常に動的に開かれています。
総合管理
執筆プロジェクトを進めていくためには、本文原稿を管理するだけでなく、上記のような総合的な情報も合わせて管理しておく必要が(多少は)あります。
もちろん、一つのテキストファイルにこのすべてを記入してもよいですし、プロジェクト管理ツールを使い、本文以外の情報をそちらで管理してもよいでしょう。
ここでは、Scrivenerという統合執筆環境ツールで管理する方法を見ていきます。
at Scrivener
まず、Draftよりも一つ上にフォルダを作ります。そして、そこに管理したい情報のテキストを作成します。
たとえば、以下のような感じです。
あとはここに必要な情報を書き込めばよいわけですが、このままだと「本文」とそれ以外の情報が似た場所に置かれることになり、それが違和感を生むかもしれません。
そこで少し「配置」に工夫をします。
まず、ブックマークを開き、そこに必要な情報のテキストを放り込みます。
こうしておいて、Binderでのフォルダは閉じてしまいます。
あとはinspecterを開き、そこにブックマークを表示するようにします。
こうしておけば本文情報は左のBinderから、メモ(メタ情報)は右のinspecterアクセスできるようになり、気分的に二つの領域に分かれた格好となります。これで違和感はかなり緩和できるはずです。
さいごに
もちろん、Scrivenerの使い方一つ取っても、さまざまあります。上記もあくまで一つの例でしかありません。それぞれに使いやすように工夫するのがよいでしょう。
ただ、本文情報を扱うツールとそれ以外の情報を扱うツールがあまりにも「離れている」と大体後者が更新されなくなる傾向があります。できるだけ同じ場所か、近い場所で管理するのがよいとは思います。
▼今週の一冊:
完璧なメディアなどどこにもありません。多少の失敗は許容すべきでしょう。しかし、お金を得る目的で、質の低い情報を大量にばらまいたり、悪意のある情報を送り込んだりすることまで許容してよいのでしょうか。大量情報社会で、私たちは情報に対してどんな責任を持たなければいけないのか。それについて考えさせられる一冊です。
あれやこれやといろいろ書いていますが、書籍の原稿進捗は亀の歩みです。いろいろ体制を整え直したいなと思って、今回書いたようなことを改めて考えてみました。
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。
「タスク管理トレーニングセンター」のご案内
タスクカフェは東京(渋谷)でのみ開催しているため、地理的にご参加が難しいという方、あるいは日程的に厳しいという方もいらっしゃるかと思います。
そこで、オンラインコミュニティ「タスク管理トレーニングセンター」を開設しました。
▼タスク管理トレーニングセンターとは?
「タスク管理トレーニングセンター」は、タスク管理にまつわる以下のような課題に取り組みます。
- いろいろな本を読んだりセミナーを受けたが自分なりの方法が確立できていない
- こちらの業務環境や状況に合わせて客観的なアドバイスをして欲しい
- 誰に質問していいのか分からない
- どのツールが自分に合うのかが分からない
- TaskChute2で「こういうこと」をしたいが方法が分からない
- たすくまで「こういうこと」をしたいが方法が分からない
- TaskChute Cloudで「こういうこと」をしたいが方法が分からない
- この使い方で合っているか不安
- もっといいやり方があれば教えて欲しい
- 他の方とタスク管理に関する課題を共有したい
- タスク管理アプリの開発者とタスク管理のエキスパートがあなたのご質問にお答えします
- 一般非公開のコミュニティで他の参加者の方と課題を共有できます
- タスク管理の考え方・やり方の理解を深めるためのレクチャー動画をご覧いただけます
ご質問にお答えするのは、TaskChute開発者の大橋悦夫、たすくま開発者の富さやか、TaskChute Cloud開発者の松崎純一、そして、タスクシュート歴10年の佐々木正悟の4名です。
また、毎月のタスクカフェのレクチャー内容を動画で公開しています。
これまでにお答えしているご質問や現在公開中のレクチャー動画については、以下のページにて詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。
» タスク管理トレーニングセンター
タスクシュート® とは?
» TaskChute2(Windows・Excel)タスク管理ツール・TaskChute2
» TaskChute Cloud(クラウド)
» たすくま(iPhone)
» たすくま「超」入門
PR
イチオシ本
押井 守 日経BP社 (2013-10-10) |
MediaMarker |
» シゴタノ!を「Feedly」で購読する
» シゴタノ!仕事を楽しくする研究日誌のトップへ戻る
全編、映画作品の解説 → 分析 → 現実へのフィードバック、という三段構成で「あぁ、あの映画はそういう風に解釈するのか!」とか「あのシーンはそういうことだったのか!」あるいは「そこに落とし込むのか!」といった「!」の連続。
人生の時間は限られているので、あらゆることを経験することは不可能。となれば、誰かの経験を疑似体験することで糧にしていくしかない。
映画はそんな疑似体験のためのかっこうの手段といえる。
映画は2時間前後という尺...