【4月1日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)の対イスラエル境界線付近で3月30日に発生し、パレスチナ人16人が死亡したパレスチナ人とイスラエル兵の衝突から一夜明けた31日、ガザ住民たちが衝突で死亡した人の遺体を埋葬し「報復」を呼び掛けた。この衝突は同地区で1日に起きた衝突としては2014年のガザ紛争以来最悪の規模の衝突となった。

 しかし複数のテントが設営された対イスラエル境界線付近に戻り、6週間続ける計画になっている抗議デモを再開したのは衝突前に行進した数万人のうちわずか数百人にすぎなかった。

 外交面では、国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長と欧州連合(EU)のフェデリカ・モゲリーニ(Federica Mogherini)外交安全保障政策上級代表(EU外相)が、イスラエル側の実弾使用についての「独立した透明性のある調査」を求めた。

 イスラエルは、数万人規模のデモの本隊から離れ、境界線付近の堅固に要塞化されたフェンスに近づいたパレスチナ人に発砲した軍を擁護。ベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は3月31日に発表した声明の中で「よくやった」と兵士らをねぎらい、イスラエルは主権と国民の安全を守るため決意をもって精力的に行動していると述べた。

 ガザ地区の保健当局によると、パレスチナ人の死者は16人になり、このほかに1400人以上が負傷した。負傷者のうち758人は実弾を受け、残る人々はゴム弾を受けたり催涙ガスを吸引したりして被害を受けた。イスラエル側に死傷者は出ていない。

 パレスチナ側はイスラエル兵がなんら脅威を与えていなかったデモ隊に向かって発砲し、不均衡な過度の武力を行使したとイスラエルを非難。人権団体らはイスラエル側が実弾を使用したのではないかとの疑問を投げ掛けている。(c)AFP/Sakher Abou El Oun