「AI活用」のうたい文句にだまされるな
VentureBeat

コラム(テクノロジー)
AI
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2018/3/31 6:30
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 米デューク大学のダン・アリエリー教授の小話を拝借すると、人工知能(AI)はティーンエージャーのセックスのようなものだという。「誰もが話題にするが、実際には誰もやり方が分からない。他のみんなはしていると誰もが思っているため、みんな自分はしていると言い張る」――。AIは今や数時間でゲームを習得し、王者を破ることができる。それでも、ビジネスへの応用は難しい。

(C)Mopic/Shutterstock

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■囲碁に比べて複雑なビジネスの現場

 米マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院のビジネス誌「MITスローン・マネジメント・レビュー」と米ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が企業幹部3000人を対象に実施した調査では、以下のような結果が明らかになった。「AIが自社に競争上の優位性をもたらしてくれると思う」との回答が85%に上った一方、「AIを自社の製品・サービスやプロセスに『幅広く』組み込んでいる」と答えたのは20人に1人にとどまったのだ。AIの実装はソフトウエアほど簡単ではない。専門知識やビジョン、簡単に手に入らない情報が必要だからだ。

 米グーグルの囲碁用AI「アルファ碁ゼロ」といったよく知られた使い方に目を向けると、AIは魔法のように思える。世界で最も難しいボードゲームとされる囲碁をわずか3日で習得し、王者を破ったからだ。また、米エヌビディアのAIは実際のセレブの写真を見ただけで、セレブっぽい人物のリアルな画像を生成できる。

 アルファ碁とエヌビディアが使ったのは「敵対的生成ネットワーク(GAN)」という技術だ。2つのAIシステムを競い合わせることで、互いに学び合える。対抗させる前にAIをしっかり訓練しておくことが大事で、問題と結果もあらかじめ明確に定義されている。

 ところが、ビジネスの問題の大半はゲームとは異なる。プレーヤーは2人よりも多く、明確なルールもないからだ。ビジネスにおける決断の結果、明確な勝ち負けになることは珍しく、変数もあまりにも多い。このため、企業がAIを実装するのは想像よりもずっと難しい。

■AIは因果関係と相関関係を識別できない

 現行のAIシステムは人間の脳のニューラルネットワークの機能をまねようと最善を尽くしているが、その方法は非常に限定的だ。ディープラーニング(深層学習)というテクニックを使い、神経に似た動きをするように設計されたコンピューターの命令の結びつきを調整する。つまり、AIに何を学んでほしいかを正確に指示し、明確にラベル付けされた例を与えれば、AIはデータのパターンを分析し、これを将来使うためにとっておく。パターンの精度はデータで決まり、多くの例を与えるほど、AIは賢くなる。

 問題はこの点にある。AIは与えられたデータの分しか賢くならず、その文脈の範囲内でしかデータを解釈できない。分析内容を「理解」しないため、分析を他の文脈のシナリオに適用するのは難しい。しかも、因果関係と相関関係を識別できない。AIは思想家というよりは、ドーピングされた(表計算ソフトの)エクセルだ。

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