日本語学校化する「夜間中学」の残念な実情

前川喜平氏と歌人・鳥居さんが訴える

夜間中学の問題について、セーラー服の歌人・鳥居さんと、前文部科学事務次官の前川喜平氏が語り合います(写真:尾形文繁)
「夜間中学」を知っていますか?
戦争、貧困、病気、不登校など、さまざまな事情で義務教育を修了できなかった人が通う、公立中学校の夜間学級のことです。現在、全国に31校があり、年齢も国籍もバラバラの約1700人が学んでいます(「平成29年度夜間中学等に関する実態調査」より)。
学びを取り戻す場として機能するはずの夜間中学ですが、大きな課題もある。そう訴え続けてきたのが、セーラー服の歌人・鳥居さんです。
鳥居さんは、歌集『キリンの子』や、半生がつづられた『セーラー服の歌人 鳥居 拾った新聞で字を覚えたホームレス少女の物語』で話題となった歌人。養護施設で育った過去を持つ彼女は、虐待を受けるなどの事情で、小学校の途中から学校に通えませんでした。成人になった今、学びを取り戻すべく、夜間中学に通う現役中学生でもあります。
一方、厚木市や福島市の夜間中学で、ボランティア講師を行っている人がいます。前文部科学事務次官の前川喜平氏です。多様な学びの機会を応援する「教育機会確保法」の制定にかかわるなど、教育現場が抱える問題解決に取り組んできました。
3月18日、前川氏と鳥居さんによるトークイベントが都内で開催されました。教育問題を中心としたさまざまなことについて語られるなかで、2人が明かした「夜間中学」の現状と課題とは?

解決したい教育問題がある

「何でそんな格好しているの?」

日ごろ、セーラー服を着て活動している鳥居さんは、人にそう聞かれることが多いという。そのたびに、「教育問題で知ってもらいたいことがあるからです」と答える。教育問題を訴えても、自分に関係のないことであれば、興味を示す人はなかなかいない。であれば、服装をきっかけに聞く耳を持ってもらえたら、という思いがある。そうまでして解決したい教育問題に、彼女は向き合ってきた。

次ページ鳥居さんや支援者の訴えが文科省を動かした
関連記事
トピックボードAD
人気連載
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

  • NO NAME6ccae3ab7d9f
    この、本来、なんらかの理由で義務教育を受けるの機会を持てなかった人のための仕組みが、外国人の増加で日本語学校化している問題は、放置すれば、今後も加速度的に深刻になるでしょう。ただ、ここで、これまで色々やらかしている元次官を担ぎ出すのは、いぎなものか?不必要に、胡散臭い印象を受けてしまう。
    up75
    down30
    2018/4/1 07:57
  • NO NAME0e19a23795b5
    趣旨はわかりますし、対応も必要と思います。
    一方で、移民への教育も必要と思います。 両方必要なのではないでしょうか?

    少子高齢化の時代、これからは移民受け入れは避けて通れない。その人達やその子供たちへの配慮もまた、必要と思います。

    up42
    down8
    2018/4/1 08:22
  • NO NAME34ce71e862cc
    夜間中学の問題を書く記事に、大問題の元官僚をからませるのは、どうしてなのだろう? 週4回もキャパラに通っていた元官僚は「実は夜間中学でいいことをしていますよ」と書いて、彼が違法な天下り斡旋の元締めだったことをロンダリングしたいんでしょうか。その意図はどこにあるのかな。

    夜間中学に起きている問題を書いているようで、実は意図は別のところにある。胡散臭い記事です。
    up43
    down12
    2018/4/1 09:43
  • すべてのコメントを読む
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!
トレンドウォッチAD
福岡が起業の聖地になったワケ

スタートアップ都市宣言をして、創業支援に乗り出した福岡市。2016年度、開業率が過去最高を記録し、全国主要都市で首位。「革命を起こす」と述べる高島宗一郎・福岡市長が登場。