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そもそも森友問題は疑獄ではない
編集局から更新財務省の公文書改竄(かいざん)をめぐる佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問が終わり、国会の学校法人「森友学園」騒動もようやく収束しつつある。と思いきや、麻生太郎副総理兼財務相の「人民裁判」発言に野党が猛反発している。
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発言のどこが問題なのか。証言拒否権さえ認めず、証人を恫喝(どうかつ)し、つるし上げる姿は人民裁判どころか、中世の魔女狩りをも彷彿(ほうふつ)させた。
そもそも森友問題は疑獄ではない。前理事長の籠池泰典被告=詐欺罪で起訴=による公金詐取事件である。国有地払い下げで私腹を肥やした政治家や官僚は一人もおらず、安倍昭恵首相夫人も籠池被告に言葉巧みに利用されたにすぎない。公文書改竄も一部官僚が組織防衛目的に行った不祥事の域を出ない。
果たしてこれが国家を揺るがす一大事か。国会議員が勾留中の被告に教えを請うたことの方がよほど国会史に残る汚点ではないか。(編集局次長兼政治部長 石橋文登)