きゃっきゃと歓声を上げながらボール遊びに興じたり、真剣な表情で本を読みふけったり。リラックスした雰囲気の中で思い思いに放課後を過ごす子どもたち。取材した学童クラブは沖縄も県外も変わりがなかった

▼違ったのはクラブを取り巻く環境。埼玉県富士見市ではすべてのクラブが学校の中にあり、待機児童がいなかった。東京都文京区は低所得世帯が無料で利用できる制度が手厚かった

▼保護者会や保育園など民間が設置・運営する割合が9割を占める県内では学校内にクラブがある割合はわずか1割。利用料の全額免除制度がある市町村は2カ所。学童への「公」の関わりが弱く、使われる予算が少ないことが背景にある

▼年収300万円以上の世帯の4~6割は学童を利用しているが300万円未満になると2~3割に減る。低所得世帯が利用したくてもできない実態が県の調査で明らかになっている

▼本紙が実施したアンケートではクラブを利用できず放課後を子どもだけで過ごす割合が46%に上った。事件や事故、徘徊(はいかい)など非行の心配も浮かぶ

▼友だちがいて、おやつが食べられて、安全に遊べる学童クラブは子どもの放課後の居場所として理想的といっていい。希望すれば皆が利用できる環境をつくることは3人に1人の子が貧困という現状を変えることにつながる。(高崎園子)