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福島の「風評被害」を考える——情報学の専門家・関谷直也氏に聞く

野嶋 剛【Profile】

[2018.03.31]

風評被害はどのように形成され、伝わっていくのか。情報学研究の専門家・関谷直也氏にこれからの対策も含め話を聞いた。

関谷 直也

関谷 直也SEKIYA Naoya東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センター特任准教授、福島大学うつくしまふくしま未来支援センター客員准教授。災害情報論、社会心理学、PR・広報論が専門。著書に『風評被害—そのメカニズムを考える』(光文社)。

ちゃんと消費してくれる人に正しい情報を伝える

野嶋 伝え方にも工夫が必要ということですね。

関谷 「基準値以下だから大丈夫です」という言い方が多いのですが、今は米も野菜もND(不検出)で、そもそも放射能が一切検出されていません。100ベクレル以下ですから安全ですというのではなく、NDなのです、と伝えてほしい。放射線災害なので、検出されたものが検出されなくなったところが大事で、それを丁寧に伝えていく必要があります。実際に事故直後は検出されたものもあった。しかし、今は99.99%問題がない。そういうものが伝わっていないのです。

野嶋 海外の人たちを説得することがそもそも難しい、というのもあるでしょうね。

関谷 海外うんぬんというよりも、やっぱり嫌なものは嫌なんです。日本の中でも、福島県内でも1割、県外でも2割ぐらいは、福島県産を食べたくないという人たちはいます。その人たちに、自分が食べているところを見せて、無理やり食べてくださいと説得することは風評被害対策にはなりません。食べたくない人に食べさせるのではなく、ちゃんと消費してくれる人にちゃんとした情報を伝える。それが本来やるべきマーケティングなのです。

ですから、最近やっているような海外向けのキャンペーンには疑問を感じる部分もあります。福島県産は、おいしいかどうかといえば、もちろんおいしい。しかし、新潟や山形の食品もおいしい。他とは大きな差ではない。だから「福島県産はおいしい」というキャンペーンをやっていても事態は打開できません。

繰り返しになりますが、まずは検査などの情報を地道に伝えていく。福島の原発事故は、原子力災害なので、原子力災害からどこまで回復したという事実を伝えるのです。それが風評被害対策にとって最善の方法です。

バナー写真=笑顔でうどんを試食する安倍晋三首相(右)=福島県飯舘村の「ゑびす庵」[代表撮影]、2017年7月1日(時事)

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ニッポンドットコム・シニアエディター。ジャーナリスト。1968年生まれ。上智大学新聞学科卒。在学中に、香港中文大学、台湾師範大学に留学する。1992年、朝日新聞入社。入社後は、中国アモイ大学に留学。シンガポール支局長、台北支局長、国際編集部次長等を歴任。「朝日新聞中文網」立ち上げ人兼元編集長。2016年4月からフリーに。現代中華圏に関する政治や文化に関する報道だけでなく、歴史問題での徹底した取材で知られる。著書に『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『故宮物語』(勉誠出版)等。オフィシャルウェブサイト:野嶋 剛

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