sa-2(@sa2fdi)と申します。
今日は、私がRipple(xrp)に投資している理由と、投資判断として抜け落ちがちな項目について解説していきたいと思います。
私は日本でも有数の外国為替取引高を持つ会社で国際送金業務を担当しており、国際送金市場の全体像が見えやすい立場にいます。
この観点からお話できることを伝えていきたいと思います。
この記事で最も伝えたいことは、xrpに投資判断する上で「送金スピード」「手数料の安さ」「ノストロマネーの解放」といった項目は前提条件でしかない、という点です。
構成上結論から述べることができないので、順を追って説明します。
xrpへの基礎知識を持っている方は、本題である最後の章からご覧いただければと思います。
現行のSWIFTシステムは前時代的であり、必ず廃れていく!
国際送金業務を担当している私は、普段の業務でSWIFTの煩わしさを感じています。
実務で特に不便に感じるのは以下の3点です。
・手数料の不透明性
→国際送金は多種多様なルートを巡って目的地までたどり着くため、途中のどこかで手数料が引かれていることがあります。しかし、その詳細を送金人も受取人も事前に把握できないという通常では考えられない状態が当たり前のこととなっているのです。
・他通貨送金時の流動性
→USD/JPY/EUR以外の通貨では、銀行に送金を依頼する事業者側が、銀行側の流動性を気にしなければならないという状態になってしまっています。
・送金状況の不透明性
→送金到着がいつになるかが事前にわからず、規制その他の理由で中継地点のどこかで引っかかっても、その現状を把握することが難しいです。
このように、現行のSWIFTシステムははっきりいってもう限界の状態を迎えています。
現実的に、伸び続けるグローバルペイメント市場をもうすでに支えけれなくなっているのです。
次のステップへと進まなければなりません。
選択肢は、「SWIFTシステムのアップデート」「Rippleシステム」の採用です。
実務面から見たSWIFT gpiとRippleシステム
比べるなら、これから実装されていくこの2つのシステムということになります。
技術的な解説が目的ではないため、スペックのみまとめました。
簡潔な説明のため、完璧に定義に即した記述とはなっておりませんためご了承ください。
SWIFT gpi
送金スピード:送金依頼受付から24時間以内(50%は30分以内に着金)
送金手数料:手数料の開示が可能に。
透明性:銀行からの情報により、リアルタイムの追跡が可能
Direct payment:コルレス契約を結ぶ必要あり。コルレス契約がない銀行の口座への支払いは、コルレス銀行を経由した支払いに。現状と変わらず、ノストロ口座の残高が必要となる。
Rippleシステム(xCurrent、xRapid)
送金スピード:数秒以内に取引完了
送金手数料:手数料ビジネスではないため、SWIFTより安価
透明性:即時取引のため全て把握可能
Direct payment:あらゆるクロスボーダーの口座間で決済可能。ブリッジ通貨xrpを使用するため、あらゆる通貨での支払いに対応可能となる。
これらは、それぞれのシステムが十分に稼働可能な状況になったときのスペックの比較です。
SWIFTgpiは現行のSWIFTと比べて、革命的に進歩しています。
しかし、Rippleシステムはそれ以上に便利であることが比較からわかるでしょう。
はっきり言って、現時点でわかっている情報だけでも、Rippleは国際送金における最高のソリューションであることは間違いありません。
ツイートで紹介した3つの問題点も全て解決されます。
そして、xrp利用が国際送金のスタンダードになれば、xrpの価格も当然跳ね上がることが明白です。
ここまでが、多くの方がxrpに投資している理由ではないでしょうか。
しかし私は、これはあくまで前提条件にすぎないのではないかと考えています。
なぜ、Rippleが数々の銀行との提携を決め、国際的な送金業者がxRapidを採用していく中でxrp価格が伸び悩むのか。
Bitcoin連動に全ての原因を求めることは難しいでしょう。
xrpの真の需要家は誰だ?
ようやく本題に入ります。
xrpに投資している人の中で、次のような図式が出来上がっている人が多いのではないでしょうか。
- 銀行がRippleシステムを採用する。
- 銀行がxrpを用いた送金方法を利用する。
- xrpの流動性が高まる。
- xrpの価格が上昇する。
流動性が先か、金融機関の採用が先か、という鶏と卵の問題はここではおいておきます。
実はこの①と②の間には大きな壁があります。
そもそも銀行がクロスボーダーで決済するというのはどういうことかを考えなければなりません。
外国為替市場というものは取引の種類で2つに大別することができます。
それは、「投機」と「実需」です。
投機とはリスクヘッジ/リスクテイクのための取引のことです。
そのほとんどは先物取引であり、銀行間市場によって売りと買いが相殺され、市場へのインパクトは中立なものになります。
レートの交換をして差金決済するのみなので、ほとんどの取引が内側でお金がくるくる回るだけです。(もちろん、理解のため説明を極端に簡略化しています。)
クロスボーダーペイメントという意味で国際送金の根幹をなす取引は、「実需」によるもの。
つまり、貿易取引(輸出/輸入による決済)です。
銀行がxrpを使って送金をするということは、事業会社が銀行に送金を依頼して始まるものなのです。
ここへの理解が足りないために、「銀行がRippleシステムを採用する=xrp価格が上がる」という単純な図式になってしまうのです。
事業会社=送金依頼側を中心に物事を考えてみましょう。
国際送金のオペレーションは、事業会社が銀行に送金情報を送信し、それを受けて銀行が実行するという流れです。
何を当たり前のことを、と思われるかもしれませんが実はこの連携が最も大切なポイントなのです。
主な選択肢は2つ。
- 銀行が提供するインターネットバンキングサービスを一方向的に利用する
- 事業会社と銀行が連携してシステムを組み、自動で送金依頼できる体制を整える
①の場合は、送金相手先ごとに情報を登録しておき、送金依頼のたびに送金日・金額・相手先などをマニュアルで入力することになります。
この場合は、銀行がRippleシステムを採用しても依頼側が特別な対応をとる必要はありません。
銀行が裏で使用するシステムをSWIFTからRippleへと置き換えるだけで、いつの間にか送金速度が上がり、手数料が安くなるということになると思います。
しかしながら、毎日何百件と国内外へ送金をしている会社は②の方法をとることが多いです。
②の場合は、社内システムへの債務の計上から銀行へデータ送信するまで、全て自動で行われるようにシステムを構築します。
事業会社の基幹システムは会社ごとに様々ですから、銀行と協力して1から仕様を組み立てていく必要があります。
債務データの抽出方法、データの提出期限、データの検証方法など、細かいフォーマットをガチガチに固めて業務フローを固定化します。
これらすべてが、SWIFT利用を前提に組み立てられているのです。
当然、Rippleに乗り換えるということになれば、システムの再構築が「事業会社側にも」強いられることとなります。
(結局銀行にとって必要な情報は変わらないから、同じシステムで運用できないだろうか?と考えましたが、少なくともうちの会社では無理なようです。データの送信内容が一緒でも、その送信サイクルなどが変わる以上システムの変更が必要になります。)
あまり意識されてはいないものの、これはxrpの投資判断において重要な項目になると私は考えています。
RippleとSWIFTの対立は、どちらがより便利か?という次元の話ではすでになくなっています。
すでにスタンダードになっているSWIFTをRippleが置き換えていくのに、どれだけの導入コストがかかり、それは誰が負担するのか?
ここが本質だと思うのです。
手数料ビジネスである銀行にとって、Rippleを採用することは競争に勝つための手段になりますが、事業会社にとっては送金手数料がキャッシュフローに占める割合はごくわずか。
対して、システムの調整にはとてつもなくお金と時間がかかります。
ちょうど私が勤めている企業のグループ会社が②のシステムを組み立てているのですが、債務の計上締めとデータ処理タイミングの調整に数カ月もかけています。全体としては2年間で完成を目指すプロジェクトです。
基幹システムのソフト会社とコンサル、銀行を巻き込んで毎日のように会議を繰り返しています。
より便利なシステムがあっても、大企業がそれを採用するには大きなハードルがあるものです。
私が勤めている企業でも、これと似たような状況がちょっと昔にありました。
先ほど挙げた送金依頼を電子データでやり取りするシステムをEFT(electronic funds transfer system)と呼ぶのですが、これを採用するまでにも紆余曲折があったのです。
それまでは、考えるのも恐ろしいですが送金依頼書にマニュアルで情報を打ち込んで国際送金を行っていました。
そして、メガバンクが本格的に電子送金サービスを打ち出してから数年たって、ようやく移行を開始しました。
電子上のやり取りに移行することへのメリットはあまりにも大きいのに、
- システムの初期導入費用がかかること
- ハッキングリスクの評価が定まらないこと
- 電子送金の歴史が浅く実績がまだないこと
これらを理由にしてしばらくマニュアル払いを続けていたのです。
「紙の送金依頼書を使っていた時代にとっての電子送金」と、「SWIFTを使っている今にとってのRipple」は関係性として似ていると思いませんか?
大企業は、必ずしも経済的に合理的な選択をするとは限らず、新しいものには必要以上に慎重になる傾向があります。
くだらないかもしれませんが、経済が停滞する理由なんて大抵はくだらないものでしょう。
とにかく、私個人の所感として、うちの会社が2,3年の内にRippleシステムを利用した送金をするということは考えられません。
ということは、銀行はRippleシステムを採用しても、SWIFTを並行して使い続けることになります。
SWIFTを使い続ける限り、ノストロ口座にはお金が眠ったままであり、xrpへの置き換えもなかなか進まないでしょう。
やはり、本当に大切なポイントは「銀行」がどれだけ「Rippleシステム」を採用するかではなく、「事業会社」がどれだけ「SWIFT」を使わなくなるか、でしょう。
RippleのCEOブラッドは、「今後5年間で世界の銀行の半数以上へサービス提供を目指す」と語っています。
これは決して不可能ではないし、むしろ現実的な目標だと思っています。
2018年初の時点で、すでに提携している銀行は100を超えています。
銀行は横並びを何より好みますから、周りが提携し始めることが、提携を検討する大きな動機になるでしょう。
そして、銀行との提携がスタート地点でしかないことは先ほど述べた通りです。
事業会社の方が重い腰を上げるのは、この辺ではないかなと睨んでいます。
5年かけて半数の銀行がRippleを使うようになれば、Rippleへの信頼も確かなものとなるでしょう。
そこから2年ほどかけて、ようやくxrp送金が主流になっていくといったところでしょうか。
最短で7年。
これくらいの目線を持って、私はxrpに投資していきたいと考えています。
もちろん、どこかのタイミングでより確かな未来が見える材料が出てきたときに、xrpは投機的に価格が跳ね上がるでしょう。
そのタイミングがいつかは誰にも読めませんから、今から長い視点を持って持ち続けていきたいと思います。
もちろん、今回は国際送金でボリュームの大きい大企業のスパンをメインで考えましたが、Rippleは今までになかった小額・個人利用の国際送金需要を生み出すと思います。
よく郵便からメールへ、という例えが用いられますが、こういったダイナミックな変化が起こるタイミングを見極めるのは非常に難しいものです。
個人的には、個人利用の国際送金が一定のボリュームを持ち始めるのも、銀行が当たり前にRippleを使い始めるあたりかなと想像しています。
まずはRIpple社が語っているように、銀行が行っている国際送金のシェアを取り、需要喚起とともにボリュームを増やしていくのが大事なステップとなるでしょう。
sa-2(@sa2fdi)