JT株主、「加熱式出遅れ・株価低迷」に不満続出

国内たばこ市場急減、3年で利益600億円消失

昨年を1500人上回る6020人が参加したJTの株主総会。ただ株価低迷に株主の不満が噴出した(記者撮影)

「株主のみなさまに大変ご心配をおかけしていることについては、重く、緊張感を持って受け止めております」

JT(日本たばこ産業)が3月27日に東京都内のホテルで開いた定時株主総会。株主から、株価の低迷について問われた佐々木治道執行役員はそう陳謝した。

午前10時から12時まで開催された総会には、今年1月に社長が小泉光臣氏から寺畠正道氏に交代したということもあり、6020人の株主が参加。4505人だった昨年を上回り、過去最高の参加人数となった。

株価と加熱式たばこに質問が集中

開始から40分ほどで始まった質疑応答では13人の株主が質問に立ち、計17の質問が経営陣に投げかけられた。中心になったのは、冒頭のように株価低迷の理由の説明だ。

実際、JTの株価は冴えない。総会時点での株価は2900円台と、2カ月で20%下落している。同期間の日経平均株価の下落は10%ほどにとどまっており、JTの低迷ぶりが際立っている。

2人目に質問に立った株主の「経営陣として、株価低迷の背景には何があると考えているのか」という質問に対し新貝康司取締役は、「加熱式たばこの販売において、大きく遅れをとってしまったことが原因だと分析している」と答えた。

加熱式たばことは、専用端末にたばこ葉の入ったスティックやカプセルを挿入し、加熱して出る蒸気を吸引するもの。煙が出ずにおいが少ないのが特徴で、「健康リスクを低減する可能性のある製品」としてたばこメーカー各社が積極的に販売を続けている。

2016年4月に全国展開を始めたフィリップ モリス ジャパン社製「アイコス」が加熱式たばこの代名詞になりつつある一方で、JTは「プルーム・テック」の全国拡販を今年中に予定するなど、確かに出遅れが目立つ。

次ページ国内市場の急減に対応できていない
関連記事
トピックボードAD
人気連載
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

  • 麻垣康三247271a2f145
    JTは、発行済株式総数の3分の1を、依然として日本国政府が保有しているから、「たばこ事業からの脱却」(=国にとって、大幅税収減となる)をもくろむ気なら、国の反対を気にせずに経営方針を策定することを可能とするために、「政府保有株の全部売却」(=完全民営化)が不可欠である。破綻前の日本航空は、これをやった(=そして、経営破綻した)。
     JTにとって、発行済株式総数の3分の1を国が売り出すか(=すると株価は、需給悪化を嫌気して、さらに下がるだろう)、それとも、その大部分を自社株買いするか(=すると、分配可能利益が急減して、今の高利回りの配当水準は、今後維持できない可能性が高いだろう)、どちらも、茨の道である。
     独占企業の属していた産業が衰退する際に、こういう隘路に陥ることは、「かつての花形産業」が辿ってきたのと同じ道である。
    up8
    down3
    2018/3/31 07:32
  • NO NAME7bfae4d81a15
    プルームテックが普通にどこでも買えるようになれば
    またすぐに盛り返すよ
    安いうちに買い増しで問題ない
    up4
    down2
    2018/3/31 10:20
  • NO NAMEf9110fd7dde9
    求められているのはタバコ事業からの脱却。
    タバコ事業を続けることはもはや反社会的行為だ。
    up5
    down18
    2018/3/31 06:23
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!
トレンドウォッチAD
“遅い電車”の汚名返上<br>小田急 悲願の複々線化

「すごく混んでいて遅い」の汚名を返上。小田急電鉄は約30年にわたる複々線化工事を完了させ、混雑解消、スピードアップ、運行本数増を図る。ライバル・京王線との戦いの行方は?