僕らのフットボール・ライフ

第2回 常田真太郎(スキマスイッチ)



今シーズンの「08/09イングランド・プレミアリーグ」(J SPORTS)のオリジナル・テーマを手がけたスキマスイッチの常田真太郎は音楽業界でも1、2を争うほどのサッカー好きで知られる。多忙の中、国内外のサッカーを観戦するほか、自らもプレイヤーという彼の視線は、まさに専門家。「将来はサッカー・チームの監督をしてみたい」と語る、サッカーへの熱い思いを聞きました。

--サッカーとの出会いから教えてください。

最初にサッカーボールを蹴ったのは5歳か6歳の頃、みんなと同じように『キャプテン翼』の影響でサッカーに興味をもちはじめた感じですね。でもサッカーをやっていたのは中学校までで、その後は柔道を始めたんです。だから高校以降は、あまり見る機会がなくなってしまったんです。サッカーが本気で好きになったのは、2000年のヨーロッパ選手権のグループ・リーグ、ポルトガル対イングランド戦のポルトガルに魅了されてしまったんです。

--ユーロ2000は好試合が目白押しのいい大会でしたね。その試合はイングランドがフィーゴにすごいゴールを決められて、その後成すすべもなくやられてしまったんですよね。

でも僕の目はフィーゴではなくルイコスタに釘付けだったんです。ルイコスタがサイドからアーリー・クロスを上げたボールをヌーノ・ゴメスが飛び込んで強烈なダイビング・ヘッドを決めたんです。あれで、ルイコスタの存在を知って、ポルトガル代表のファンになって、さらにルイコスタはどこのクラブなんだろうと調べたら当時はセリエのフィオレンティーナに所属していた選手だった。そしてその一年後にはミランに移籍することが決まっていたので、そのままミランのサポーターになって、以来僕はずっと"ミラニスタ"なんです。ちなみに「ウィニング・イレブン」をやるときは必ず、ミランかポルトガル代表を選んでいます(笑)。

--今、ポルトガルといえば、クリスティアーノ・ロナウドですよね。

実は彼がポルトガルのスポルティング・リスボンにいたときから注目していたんですよ。当時、まだ17歳だったのかな。何人か若手ですごい選手はいたんだけど、ロナウドはズバ抜けていましたよね。そう思っていたらマンチェスター・ユナイテッドに移籍してしまった。

--ということはセリエ・ファンなんですか。

それなのに、J-SPORTSのプレミア・リーグ中継のテーマを担当していて、ちょっと申し訳ない感じなんですが......(笑)。でもサッカー全般が好きなので、ミランの試合は全試合を見るほかに、プレミアもかなり見ていますからね。



--あの曲「SWERVES」はいい曲ですよね。話が来たときは嬉しかったですか。


スキマスイッチではなく常田さんにお願いしたいと言われて、本当に感激したし、こういう形でサッカーに関われるんだと思いました(笑)。嬉しかったですね。プレミアの試合を見ていて、いつも感心するのは、スピーディーで泥臭いプレーと、それを追うカメラの位置の低さとズーミングの早さ。あとはスタジアムの芝のキレイさとピッチと客席の近さ。だから、曲も理路整然としたものではなく、とにかく理屈抜きにカッコいい曲が求められているんだろうと思いって、書いたんです。

--自分の曲がサッカー中継の番組で流れる気分はどうですか。

自分ではすっかり忘れていて、流れると「どっかで聴いたことがある、そういえば!」みたいな感じなんですよ(笑)。できれば来年も担当したいですけどね(笑)。

--まだソフト化されていないんですよね。だから、今は中継内で聴くしかないと。でもお忙しい中、試合を見る時間を作るのが大変ですよね。

しかも僕はJリーグも見ていて、川崎フロンターレのサポーターなんですよ。数年前に中村憲剛選手と知り合ってから、仲良くなって今では家族ぐるみの付き合いをしているんですよ。僕は名古屋出身で、川崎には何の縁もなかったんですけど、川崎のサポーターになり、今ではついに川崎在住になって、この間は川崎の試合で始球式までさせてもらいました(笑)。

--中村憲剛はいい選手ですよね。他に好きな選手はいますか。

やはりミランのガットゥーゾですね。同い年なんですよね。あの風貌と態度のデカさから言って、大ベテランなのかと思ったら、意外にまだ若いんです(笑)。今のミランは世代交代に失敗してしまって、30代ばかりで、主力で活躍する20代前半がいないんですよ。アーセナルから移籍してきたフラミニもいい選手だけど、いまのところはユーティリティー・プレイヤーにすぎない。せっかく獲ったベッカムを活かせる選手がいないんですよ。ここ数年はキツいシーズンが続くかな......。今すぐにでも、2年後くらいに大ブレイクしそうな、少し前のカカのような選手を獲得してほしいですね。

--サッカー関連で忘れられない思い出はありますか。

去年のクラブワールドカップの公式テーマ曲をゴスペラーズさんと一緒にやらせてもらったとき、横浜国際総合競技場でマンチェスター・ユナイテッドの試合を見たんです。試合終了後、ミックス・ゾーンでマンUのイレブンを待っていたら、ロナウドがやってきて至近距離で「コングラッチュレーション」と声をかけたらロナウドが「アリガトウ!」って返してくれて(笑)。なんであのときに握手しなかったんろうって、今でも後悔していますよ。想像していたよりも、体が大きくて驚きましたね。



--会話が成立したと(笑)。でもサッカーってひいきのクラブが負けたときの悔しさってハンパじゃないじゃないですか。例えばミランが負けたとき、気持ちの整理はどのようにしますか。


すごく落ち込みますね。一通り落ち込んだ後に、敗因を検証するんです。次の試合で監督のアンチェロッティがどこをどう修正してくるのかを考えるんです。そして、自分の考えはアンチェロッティどう違うのかを照らし合わせる。僕はいつか、C級、B級ライセンスを取って、60歳までに一度サッカーの監督をやってみたいんです。もしくはクラブのオーナーになるとか。本当にサッカーが好きなんで、考え出すと留まらなくなるんですよ。

<取材、文/竹部吉晃






【リリース情報】
※ジャケット写真は初回盤

※ジャケット写真は初回盤

New Single
2009.05.20 ON SALE!
『虹のレシピ』
BMG JAPAN
/AUGUSTA RECORDS

【初回限定盤
 (Blu-spec CD+DVD)】

AUCK-19053/54 ¥1,890(tax in.)


【通常盤(CD)】

AUCK-19052 ¥1,260(tax in.)


<収録曲>
1. 虹のレシピ
2. 雫
3. Aアングル
4. 虹のレシピ <Backing Track>
サッカーは音楽である。文科のひとつとして括られる音楽と、体育の中のひとつの一種目であるサッカーは、まったく異質の世界だが、サッカーに音楽を感じる瞬間がある。その瞬間を広く知ってもらうべく、新コーナーを新設! その名も僕らのフットボール・ライフ。サッカー好きのミュージシャンに登場していただき、その魅力とサッカーに関するエピソードなど、音楽へのこだわりとは違った思いを語っていただきます。