「まさかスキャナー…」年金機構甘いチェック
業者のデータ入力で約95万2000人分にミス
機構は昨年10月段階で作業人員が説明と異なることを把握。同11~12月には計5回にわたって作業状況を確認したが、スキャナーによる読み取りなどを見抜けないまま、委託を継続した。今年1月には契約に反する中国への再委託も確認したが、その後も約18万人分のデータを渡していた。水島理事長は「事業が頓挫しそうになり、続けざるを得なかった」と釈明している。
こうしたずさんな業務管理で、機構は約86万8000人分の誤入力や約8万4000人分の入力漏れを見過ごしていた。誤入力のうち約31万8000人分については、支給額に影響が出る可能性のある誤りだった。
続く不祥事
機構は、前身の社会保険庁時代、誰のものか不明な年金記録が約5000万件あることが発覚したことなどを受け2010年に発足した。15年にはサイバー攻撃を受けて約125万件の個人情報が流出し、昨年9月には年金加算金で過去最大規模の総額約598億円の支給漏れが発覚した。
年金問題に詳しい西沢和彦・日本総合研究所主席研究員は「業者の選定もチェックも甘い。外部委託には情報流出のリスクもある。委託内容を再考し、機構内で処理すべき事案については、人員を増員してでも対応するべきだ」と指摘する。
相談は専用ダイヤル(0120・051・217、25日と平日の午前8時半~午後5時)や年金事務所で受け付ける。