GLIM SPANKY Interview & Playlist
取材/文:内本順一 公開日:
GLIM SPANKY
Interview & Playlist
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「褒めろよ」ティーザー映像
昨年6月にミニ・アルバム『焦燥』でメジャー・デビューを飾った男女デュオのGLIM SPANKYが、1stシングル「褒めろよ」をリリースする(*「褒めろよ」単曲の配信リリースは1月13日。4曲合わせたシングル盤のリリースは2月18日)。歌詞共作にいしわたり淳治、アレンジとプロデュースに亀田誠治を迎えたこの曲は、テレビ東京系ドラマ『太鼓持ちの達人~正しい××のほめ方~』の主題歌として既に流れているもの。60年代~70年代的なロッキン・ブルーズの色合いと疾走感を持ったサウンドでありながら、一聴して耳に残るキャッチーさも備わった、まさにGLIM SPANKYの勝負曲だ。ハンマーで殴られたような衝撃をもたらすこの曲を始め、シングルに収められた全ての曲について、じっくり聞いた。
――メジャー・デビューから半年が経ちました。
松尾レミ(以下 松尾):そうですね。あっという間です。
――どうです? いろいろ変わりました?
松尾:目に見えて変わったのは、ライブの動員ですね。それは大きく変わりました。
亀本寛貴(以下 亀本):ワンマンもできたしね。
――CDのセールスは目に見えないものだからなかなか実感できないだろうけど、ライブの動員は自分たちでもハッキリ目に見えるものだからね。
亀本:そうなんですよ。自分たちの音楽を聴いてくれてるひとがどのぐらいいるのかとかって、いままでなかなかわからなかったけど、ワンマンをやると、「ああ、こんなにいたんだ?!」って思えるし、もちろん「まだまだだな」って気持ちにもなるし。
――CD(1stミニアルバム『焦燥』)の受け入れられ方に関してはどうですか? 「この程度の反応かよ?!」って感じなのか、それとも「なかなかいいじゃん」って感じなのか。
松尾:いや、もう、自分たちとしては全然ですね。なかなかいい感じとは0.1ミリも思えない。「もっと聴けよ!」って感じです。
――「生温いJ-ポップとか聴いてないで、私たちのロックを聴きなさいよ」と。
松尾:あははは。でも、そうですね。歌詞もメロディも本当のことしか書いてないし。「みんな本当はこういうふうに思ってるんでしょ?! でも言えないだけなんでしょ?!」みたいなことを歌いたいんです。もちろんそれだけじゃなくて、生活のなかに溶け込める普遍的な曲も書きたいけど、誰もが思っていながらなかなか口に出して言えないようなことも歌っていきたくて。曲で代弁者になれればいいなという考えがあって、今回の新曲「褒めろよ」はまさにそこを意識して作りました。
――確かにそういう歌詞ですね。みんな思ってても口に出しては言わないような。
松尾:そういうことをちゃんと歌わないと届かない気がして。自分が感じてることって、たぶんほかのひとたちも感じてることだろうし、こんなにいっぱいいろんな音楽が溢れてるなかで、やっぱりそれをもっと精度高くして表現していくことが大事だと思うんです。それをやることが自分たちにとって一番ストレートだし。なので、いまはそこをかなり意識してますね。
――サウンドにもそういう意識が表れてますよね。巷に溢れてるものとは違う種類の音だけど、「こういう音がかっこいいってことはわかるでしょ?!」って自信を持って提示しているようなところがある。
亀本:本当に自分たちが好きな音、やりたい音だけしかやってないっていうのはあるんですけど、そこで複雑なことや難解なことをやったんじゃ意味がないと思うんですよ。やっぱり、音楽をそんなに深く聴きこまないようなひとでも、「あ、なんかギターがかっこいいことやってるな」とか「これはかっこいい音なんだな」ってわかるようじゃないと。友達と話してると「正直、ギターが上手いとか下手とかってよくわからん」って言ってて、それってミュージシャンじゃないんだし当たり前だと思うんですね。でも上手い下手とかじゃなくて、パッと聴いたときに「なんかかっこいいいギターだな」って思わせることはできるはずだし、そういうふうにみんなが思うようなわかりやすさが必要なんじゃないかと。僕たちは60年代や70年代の洋楽のロックからの影響で曲を作ることが多いんですけど、それでもキャッチーなものはできると思ってて、そのあたりを意識して作ったのが「褒めろよ」なんです。
松尾:洋楽に寄せるとか邦楽に寄せるとかっていうんじゃなくて、ただ自分たちがクールだと思うサウンドを表現しているだけなんで。例えば私は「え? こんな音にしちゃうの?!」みたいなギターの音が好きなんですよ。だから亀本がまず、いい音を作ってきたら、それに加えて「もっと派手に」ってことを言って、音の強烈感を足していく。今回もそういうやり方で。
――耳障りのいい音というよりは、エグいぐらいの音。
松尾:そうです。エグい音、大好き(笑)。やっぱり亀本はギタリストなので、まずいい音を作ってくれる。で、亀本なりにエグい音も作ってくれるんですけど、私はまだ物足りなくて、「もっといけ! もっといけ!」って。もちろんさっき亀本が言ったようにキャッチーさも必要ですけど、その上で強烈な音とか耳に残る音じゃないとダメだと思ってて。
――スッと通り過ぎたりしないで、聴いたひとのどこかにひっかき傷が残るような音だよね。
亀本:あ、それは意識してます。あと今回の「褒めろよ」に関しては、最初の段階からテンポをいつもより早くしようってことを決めてて。GLIMのいままでの曲のテンポはたいてい遅いんですけど、今回は飛びぬけて速いのが欲しいなと思って、そこから作り始めたっていうこともあって。
松尾:ドスっと重くいくビートとか、ゆっくりのテンポでじわっといく感じは、私たちが一番得意としているところで、誰になんと言われようとそれは変えられない部分なんですけど、それはそれとして今回は遊び感を出すというか、やったことのないことをやってみようっていうのがあって。いつもよりテンポを速くしながらGLIM SPANKYをどう表現できるかというところの挑戦でもあったんです。
――なるほど。でもそれをアルバム収録曲とかでやるのではなく、1stシングルでやるというのが大胆だよね。
松尾:あはは。そうですね。なんか根拠のない自信というか。どんなビートになっても、GLIM SPANKYの芯というものがあって、そこは絶対に曲がらないという自信があるんです。今回はドラマ(『太鼓持ちの達人~正しい××のほめ方~』)の主題歌ということで、どんなサウンドが合うかいろんなパターンを作ってみたんですけど、どういうふうにするにしてもGLIM SPANKYの芯をちゃんと残した楽曲にしないとダメだってことはずっと言ってて。その結果に対して、私はとても満足してます。
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