急な引っ越しや就学・就職のための引っ越し、人生において引っ越しをする機会は誰にでも訪れると思います。その時に、どこの不動産屋に行ったら良いのだろう?と不動産屋に知り合いでもいない限り、皆さんはこの疑問に行き着くはずです。この記事を読んで頂き、良い不動産屋の見分け方等といった不動産に関する疑問の解消に繋げて頂ければ幸いです。
1. 不動産屋に行く前に知っておくべき3つのポイント
不動産屋に行く前に、まずは前提知識として抑えておくべき3つのポイントをご紹介させて頂きます。まずはお部屋を探す前段階として、不動産業界のイメージをある程度認識して頂くと、実際に内見に行く際の心構えがしっかりとできます。
1-1. おとり広告に注意!
おとり広告という言葉を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか?不動産業界内でもかなりの問題となっており、昨今では違反者には厳しい罰則も課せられますが、中々無くならないのが現状です。
おとり広告とは募集が終了した人気物件をネットや店頭に掲載し続けることで、人気物件を紹介できると誤認させて来店させる仕組みです。
とはいえ、不動産に馴染みの少ない一般の方は、どうやって見抜けば良いのか分からないと思います。下記に簡単にできる2つの見分け方をご紹介させて頂きます。
「おとり広告の見分け方① 取引態様を確認する!」
不動産業者 取引態様の4パターン
貸主 |
物件の所有者(オーナー、大家等)。 |
代理 |
所有者の代理人(サブリースの場合等も含む) |
仲介元付 |
所有者に直接募集を任されている不動産屋 |
仲介先物 |
仲介元付に広告を許可されている不動産屋 |
上記の中で、仲介先物という表記があった場合は要注意となります。直接貸主と接点が無い不動産屋ですので貸主に対する責任度合が低く、おとり広告に繋がるケースが最も多くなります。
※仲介先物でも、真っ当に掲載をしている業者は数多く存在します。注意して頂きたいのは、周辺の類似物件と比較して明らかに好条件かつ取引態様が仲介先物といったケースです。
「おとり広告の見分け方② 現地直接待ち合わせの可否」
おとり物件を一発で見抜く方法は、この現地待ち合わせです。現地での待ち合わせは、不動産屋にとっても時間短縮となりますので、通常ならば喜ばれる提案です。現地待ち合わせの断り文句として「店に来てくれないと紹介できない」、「所有者から現地待ち合わせはNGと言われている」といったことを言われた場合は、おとり広告の可能性が高いので注意しましょう。
※経営方針として、来店してからでないと紹介できないというスタンスの店もあるので100%おとり広告とは言えません。
1-2. 営業マンにはノルマがある。
不動産屋が親切で物件を紹介してくれている訳では無いということは、当然のことなので皆さんご存知かと思いますが、不動産営業マンのノルマに関してはあまり知られておりません。一般の方が不動産屋の営業を怖いと感じる原因はノルマにあります。
筆者の周囲では、通常月のノルマが80万円前後、繁忙期(1~3月)のノルマが150万円前後といった話を良く聞きました。仲介手数料半額といったサービスが広がっている昨今の状況で、上記のノルマを達成することは容易ではありません。
勿論、必死になるということは悪いことでは無く、何とかお客様に物件を決めて頂こうと最高の提案を行うのは良いことです。ただ、必死になり過ぎて強引な接客となってしまうといった面が見受けられることもありますので、酷い接客をされたと感じた場合には気を悪くするのではなく、ノルマ厳しいのかなといった形で受け流して考えるくらいが良いと思います。
1-3. 不動産は情報が全て!自分でネット検索をする重要性
不動産屋が扱う不動産には、大きく分けると自社物件と他社物件という形で二つに分かれます。
自社物件とは自分の会社で管理を行っている物件なので、入退去の情報は常に最新情報を得ることが可能です。一方、他社物件は自社で管理を行っていないので、入退去の情報を得るのに遅れる場合があります。特に繁忙期(1月~3月)に掛けては、引っ越しによる入退去が多くなるため、不動産屋といえども全ての情報を細かく得ることができません。ですので、ある程度は自分でインターネットを検索して情報を得ておくことをお勧めさせて頂きます。
また、不動産屋によっては自社決めだけの不動産を持っているケースがあります(良い物件は他社に紹介をせずに、自分達の会社で契約を取る形です)。そういった物件の場合、取扱いが無い不動産屋に行っても物件を紹介してもらえません。インターネットで「sumo」・「homes」・「at home」等のポータルサイトを検索して頂くと、物件の情報ページに必ず取扱いを行っている不動産屋の記載があります。あらかじめ自分で調べておくことで、自分の理想の物件に住むことが出来る可能性は高まります。
2. こんな不動産屋は要注意!接客で注意すべきポイント3選
不動産屋の内見は一発勝負です。繁忙期で引っ越しが多い時期には、数分の差で申し込みを他の人に入れられてしまったというケースが頻繁に起きます。フレンドリーで話しやすい担当者だから良いという訳ではありません。迅速かつ的確に動ける担当者ほど能力が高く、そして正直であるという点が最も重要視される点であると思います。
2-1. 信頼できる営業担当はデメリットも伝える。
全ての理想を叶える100%な物件は、そうそう巡り合えるものではありません。例えば、クローゼットが小さい、駅から少し遠い等の何らかのデメリットが出てくることが一般的です。物件の内見を行っている時に「何かこの物件にデメリットはありますか?」と営業担当者に聞いてみて下さい。お客様の求める要望と違う点を正直に話してくれる営業担当なら、信頼をして頂いて大丈夫だと思います。物件の良い点ばかりをお客様に伝える営業担当には注意をして頂いた方が良いです。
2-2. 要望を無視する営業担当はOUT!
家を引っ越しされる機会は、人生においてそう何度もあることではないかと思います。不動産屋の中には、お客様が不動産に関して詳しく知らないことを知っているため、お客様の要望を無視して物件を紹介するという営業担当もおります。。
全ての理想を叶える100%の物件に巡り合うことは難しいと前述させて頂いておりますが、その裏には少なからず希望が叶う部分があるという事実があります。求めている物と100%違う物件ばかりを紹介されたり、要望を全て否定されるといった場合には、他の不動産屋に行くことをお勧めします。
※ただし、山手線徒歩圏の新築マンションで3LDK・家賃3万円以下というような形の一般条件よりも掛け離れている要望を持たれている場合には、上記の内容は当てはまりません。
2-3. 担当者のクロージングには要注意!
不動産屋の収入源は仲介手数料が大半を占めます。空室を案内しただけでは、1円にもならないのでとにかく契約を取ろうと必死です。
色々なクロージングワードが存在しますので、その一例をご紹介させて頂きます。
クロージングワード 初級編
・今日、決めないと申し込みが入ってしまいますよ! |
・昨日、キャンセルが出た人気物件です! |
・この後、ご案内予定のお客様も同じような部屋を希望されております。 |
上記の初級編は、割と想定ができるクロージングかと思います。できるだけお客様に焦ってもらおうという形の話法で、お部屋の内見に行かれた際には高い確率で聞くことがあると思います。
勿論、上記の内容は「真実」の場合もあるので一概に全てを否定しないようにして下さい。もっとも、不動産の繁忙期(引っ越しが多い1月~3月)の場合、近隣の類似物件に比べて賃料が安い等の目に見えるメリットがある場合、その物件だけにしかない特殊性(防音仕様等)がある場合等の理由が無い場合には、すぐに決まってしまうことも無いので焦らなくて大丈夫かと思います。
クロージングワード 上級編
・内見案内中に不動産屋担当者の携帯が鳴る。電話応対後に「この後、別のお客様が内見に来らます」と伝えられる。 |
・「すでに申し込みが入っており契約できませんが、今後の参考になるので内見してみませんか?」と提案され内見する。その内見中に不動産屋担当者の携帯が鳴り、電話応対後「先に申し込みをされていた方がキャンセルとなりました!」と伝えられる。 |
初級編と比べると、より臨場感が増したと感じられませんか?
営業担当者に店から連絡が入ることで話の信憑性が上がりますし、初めに無理と言われていた部屋が契約できるようになるということで、すぐに契約をしようという気持ちになってしまう方は多いのではないでしょうか。
ここで、ご紹介をした以外にも、多種多様のクロージングトークが存在します。繰り返しとなりますが、上記の内容は「真実」の場合もあります。全てがクロージングトークと受け止めないようにして下さい。
クロージングトークの真偽を見抜くポイントは、クロージングに至るまでに見てきた担当営業が信頼できるかどうかという1点のみです。
接客中に何か違和感や不誠実な対応を感じられた際には、担当者が本当のことを言っているのか疑った方が良いです。
3. 編集部がお勧めする不動産屋の選び方
これまでに、不動産屋に行く前に知っておいた方が良いことと不動産屋の接客に関する注意点を記載させて頂きました。では、いったいどういった不動産屋に訪れるのが良いのでしょうか?この章では、編集部がお勧めする不動産屋の選び方をご紹介させて頂きます。
3-1. 多店舗展開型と地元密着型はどちらがお得か?
テレビCMで良く見かける多店舗展開をしている不動産屋と駅前に昔からある不動産屋のどちらに行くのが良いか?迷われる方は多いのではないでしょうか。それぞれの不動産屋に下記のメリット・デメリットが存在します。
「多店舗展開型」
メリット |
デメリット |
・教育体制が一貫している為、営業マンの知識レベルに差が少ない。 |
・宅建の資格保持者が少ない為、専門的な用語等が分からないことがある。 |
・比較的若い年齢層が多いので、フレンドリーな接客を受けることができる。 |
・数字に対して貪欲な為(歩合給があることが多い)、強めの営業を受けることがある。 |
・店舗が所在するエリア以外の物件情報も豊富にあるので、選択肢の幅が広がる。 |
・地元密着業者よりも物件周辺環境の知識が少ないといったことがある。 |
「地元密着型」
メリット |
デメリット |
・地元情報に圧倒的に詳しい。 |
・地元以外の情報に関しては少ない。 |
・昔からの馴染みで物件を任せられている場合が多く、他にはない良い物件を紹介してもらえる可能性がある。 |
・人数が少ないので、エリア外の物件に関しては対応してもらえないことがある。 |
・仲介料以外にも管理料等の収入があるので、あまり強く営業を掛けてこないことが多い。 |
・夜間対応等の臨機応変な対応をしてもらえないことがる。 |
それぞれに、メリット・デメリットというものは存在します。多くの物件情報を得たいのであれば多店舗型、お宝物件に巡り合える可能性が高いのは地元密着型です。
つまり、多店舗型と地元密着型の2店舗に訪れることで、理想の部屋を見付けることができる可能性が高まります。
3-2. 物件のことを一番良く知っているのは管理会社
最近では、AI搭載マンション・防音マンション等といった形で、既存の物件とは一線を画す物件が世に出てきております。そういった特殊な用途を持つマンションに興味を持たれた場合には、その物件の管理会社へ直接問い合わせを行うという方法が最も効果的です。
特殊なマンションの正確な説明は、不動産以外の専門知識が無いと行うことができません。例えば防音マンションの場合、どういった楽器が演奏できるのか?演奏時間に制限はあるのか?音の大きさの制限はあるのか?といった形の質問が考えられますが、そういった特殊な質問に関して正確に答えることができるのは管理会社以外にはありません。
管理会社の探し方は「○○マンション 管理会社」という形で、インターネット検索を行って頂くと管理会社が分かることが多いです。
上記の例に記載したような特殊な物件に関しては、是非管理会社を探して頂き内見の依頼を行って頂く形をお勧めします。
4. まとめ
一昔前は、インターネットで物件の検索等を一般の方が行うことはできませんでしたが、今は誰もが簡単に物件を探すことができる時代となりました。不動産屋に頼らずとも、自分で希望する物件を探し出すことができますので、引越しをする機会が訪れた際には是非ご自身でインターネット検索を行ってみて下さい。
不動産屋を訪れる際は、①事前にインターネットで物件を調べる。②必ず2つ以上の不動産屋に行く。③特殊な用途の物件は管理会社を訪問するということを心掛けて頂くことで、より良い物件に巡り合える可能性が上がると思います。
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