前回の記事にこんなブコメがついた。
これねぇ…ほんと悩みどころなんだよね。
三沢さんは素材そのまま料理している時は強いけど、複雑な料理が苦手。
自分で言うのもなんだけど、色んなものを拾ってくる能力は高いと思うわけ。
情報や話を拾ってくる能力はあるから「三文話を組み立てる能力」「何気なすぎて膨らみようがない話を面白いことのように話す能力」は日本トップクラスに高いと思う。
だから、実体験・ルポ・レポート、グルメやマンガの紹介など、「伝えることがはっきりしていて脱線のしようがない記事」は…強い。
掘り出してくるネタもかなり面白い。
自分の中で、文章に関わる技術を、レーダーチャートにすると、こんな感じだと思う。
面白いものを見つける力・見抜くはかなり高いし、それを記事にするために形にしていく能力・アイデアを形にするために組み合わせる力もそれなりに高い。
話術や文章力は好きな人からは「すごい!」と言われる半面、嫌いな人には「口が悪い」と言われるからこれはそこそこにしておこう。
ただ、頭の中にあるアイデアをもう一歩掘り下げる思考力はすげー低い!!
また、取ってきた情報や組み合わせたアイデアを飲み込みやすいように、叩かれないように落とし込む力も低い。
「この場合の文章力・話術と、構成力の違いは?」
とツッコまれるように書いておくと…
文章力や話術は1つの話として相手に聞かせる・読ませる力。エンターテイメント性とか、面白さや引き込む力。
構成力は読んだ結果として、既視感やヘイトに偏らないようにバランスを取る力。
要するに…雑でかつ敵を作りやすいのが弱点。
形にする力もあるし、いい素材を拾ってくる能力も高いし、話として盛り上がる形も作れるんだけど…題材によっては、思考力や敵を作っちゃいけないことが求められるテーマは苦手。
よく言えば、リアルなんだけど、悪く言うと取扱の難しいテーマを僕のやり方でやると炎上したり、ありふれてしまう。
料理で言うと…「日本料理とか中華は得意なんだけど、フレンチは苦手」といえば伝わるかな?
和食って素材が美味しかったら余計なことをしなかったり、トラディショナルな製法でいいし、中華もマイナーチェンジはあるけど、大きなひねりはいらないじゃない?
割烹料理の語源知ってる?
割ると、煮るだよ!?
めっちゃシンプルやないか!
でも、フレンチって調理法や用語がやたら複雑で、温度管理やルールもやたら厳しい。
料理の鉄人はやらせじゃないけど、ある程度展開をコントロールできる
…昔、料理の鉄人って番組があったけど、アレは実は素材によってある程度勝敗がついてるよね~♨
例えば、中華VS和食の料理の「豚肉」というお題があったんだけど…中華なんて、7割8割豚肉の料理なんだから、実質縛りがないのと一緒だよね?(番組の構成上、リベンジマッチだったから、中華に有利な素材に寄せたわけで…)
逆に、和食VSフレンチでマグロというお題が出たことあるんだけど…ただでさえ美味しいマグロは、複雑なことを色々しないといけないフレンチからすると不利なテーマだよね?
和食の料理人にでた無謀なテーマとして「仔羊でフレンチと勝負しろ」というのが出たことあるけど…羊なんてシンプルに素材の味を引き出す(臭みを消したり、原型を留めないほどに加工する術の少ない)和食には不利なテーマだよね?
ぼくが言ってるのはそういう話。
ちょっとしたアシストでシンプルに記事にすればいいテーマにはすごく強いの。
でも、複雑な調理法や、そのテーマが持ってる臭みや癖を消してあげないとうまくいかないテーマには弱いの。
「シンプルなら誰でもできる」みたいに思われたらシャクだから言うけど、「シンプルなら誰でもできるまでの準備」の方に力を割いてるわけ。
だから、日本の料理って特殊なわけ。
日本って生魚食べたり、生卵食べたりするのは準備の土台がしっかりしてるから。
逆に、世界では生魚や生卵を食べる準備より、火を通していかに美味しくなるかに重点を置いてるから…和食ってガラパゴスな存在だし、海外行くと形が大きく変わる。
これ、言い換えると、ぼくの話って、ある程度の前提知識があったり、現場を共有できてる人間にはすげー面白いわけ。
その場にいたり、オタクとしてある程度マンガを読んでいたり、地域や興味で接点があったり…。
だから、ぼくに近い人間が読むとすげー面白いんだけど、面白さをワールドワイドにしようとしたり、違う年代の人も楽しめるようにしたかったり、学者がツイートだけではなく、論壇にあげようと思ったら…色々足りない。
そこが頭の良さとか、教育の部分なんだけど…それが万能ってわけじゃないから難しい。
頭がいい人は逆に「面白くする力」が低い
ここで、(ぼくの知り合いに多いタイプの)頭がいい人の「レーダーチャート」を見てもらいたい。
…話を面白く引き込むのが苦手な人が…まぁ、多いんだよ。
あとは、全然関係ない現象をうまく関連付けてしゃべるスキルとかが低い。
そのかわりに思考力と構成力が高い。
掘り下げる力と、読まれた時にどう見える予測がすごい!!
ただ…読み物として作るものがその分だけタイトな人が多い。
小説を読んでるのにほとんどリズムの塊で頭に入ってこなかったり、ブログ記事がNHKのニュースみたいだったり…そういう人が多い。
意味が通ってないのではなく、人をすごく選ぶ。
ぼくの比じゃないほどにタイトに作り込むから、読者にもコンテクストを求める。
発想力に関しても「関係ないものを組み合わせて話をでっち上げる能力」は正直言うと低め。あとは、善悪の区別がないものを発想する人が多いから、クローズな場所で話す分には「すごいこと考えるなぁ~」と思うけど、パブリックな場所に出せない。
言い換えると、ぼくよりもタイトに作れる人って、ぼくよりも内弁慶か、発想が自由すぎて世に出せるものが不自由になるんだよね。
そのぐらい頭を自由にしてみたい気持ちと、「作れないほどアイデアや風呂敷を自由に広げちゃってどうするの!?」という葛藤を相手に持ってしまうような人が…出てくる。
逆に言うと…頭の中にあるものの半分かそれ以下で記事が作れちゃうんだよね…頭のいい人達って。
むしろ、半分で作れるからこそ、全部盛り込むと人を選ぶというか、全部盛り込むための演出力が重要になってくると言うか…。
さっきの料理の鉄人の話でいうと「難しい素材」には強いんだけど、「そのままでも美味しい素材」が苦手なわけ。
庶民から考えたらよくわかんないかもしれないけど…彼らなりのプライドとこだわりと手法があるから、そこがねぇ…って感じか。
逆に、ぼくよりもリアルな手法で攻めてくる人もいる
ぼくよりも時事ネタやオピニオン系が苦手で、逆に話の面白さで持ってくるタイプが…ぼくは、女性の…あんまり、賢さアピールしないタイプのブロガーだと思う。
そういう人のレーダーチャートは、こんな感じ。
これ、「思考力が高い」んじゃなくて、思考力が働くテーマしかやらないんだよね。
女性のブロガーさんって、自分の生活をそのまんま書く人が多いから、「掘り下げの甘い記事」を書かないんだよ…。
それでいて、炎上への嗅覚もそれなりに高いから、構成力で見事に回避する。
でも、何よりも面白いのは、リアルの強さをぶちまけてくるところ。
誰が読んでも面白いようなリアルをぶちまけるから、読者を掴むのがうまい人多い。
自分のポジション自体が嫌いな人以外は、大体の人をうまく取り組む人が多い。
弱点があるとすると…何が出てくるか、読む前からある程度わかっちゃう女性ブロガーが多いこと。
何が出てくるかわかんない女性ブロガーさんはほぼいなくて…子育てなら子育て、経営なら経営、メンタル病んでて四六時中誰かに喧嘩売ってるか肉体関係の話しとる人はそればっかり言ってる。
ぼくみたいに「観察の末に気づいたことを、色んなことに対して書くからネタが読めない」みたいなこともないし、頭いい人みたいに「すごくグツグツに煮詰めて濃縮した濃ゆい記事を書くわけじゃないから、読めない・マニアックすぎる」みたいなこともない。
そのかわりに、ポジションが明確だから手堅いし、ボジションにとらわれてしまう。(だから、1冊2冊本を出せる種類のブロガーさんは多い)
料理でいうと…和食とかそういうカテゴリよか、もはや漁師めしとか、酪農家の知り合いがいないと飲めない完全な生の牛乳とかそういう次元。
「素材を活かす」とかじゃなくて、「素材で勝負」とか「素材が料理」とかそういう次元。一番うまいけど、相手を間違えるとゲテモノだし、流通も少数…みたいなものを作るのがすげーうまい。
どの特性がいいとは言わんよ?
ただ、ぼくのタイプってかなり特殊だし、分かりづらいから、どっちかの魅力をうまく取り込むか、尖りぬいて、自分のスタンスを世に認めさせたいところ。
あんまりいないタイプだから、自分でも、ロールモデルがうまく思い描けないし、何を鍛えたら突き抜けられるかがよーわからんのよね。
そこが悩みであり強みであり…って感じです。