ビットレートとは?画質・音質・コーデックとの関係【映像・音声】

動画における「ビットレート」の意味について簡単に解説します。

スポンサードリンク

ビットレートとは?

s-e8e4d2fb2cf6071352ee749fc272e687_s

動画に於けるビットレートとは、「1秒間にどれだけ情報を詰め込んでいるか」という事を表します。

ビットレートが高いとどうなる?

基本的に、ビットレートが高ければ高いほど、画質・音質が向上します

※後述する「コーデック」とも大きく関わってきますが、基本的には向上します

ビットレートには2種類有る

ビットレートは「映像」「音声」、それぞれ別々に割り当てられています。

  • 「映像」に割り当てるビットレートを高くすれば「画質」は良くなりますし、
  • 「音声」に割り当てるビットレートを高くすれば「音質」が良くなります。

さらに、2つのビットレートを合計したものを「オーバルビットレート(総ビットレート)」と呼んだりします。(このオーバルビットレートが俗にいう「動画のビットレート」です)

screenshot_2952
▲動画ファイルのプロパティを開いて「詳細」タブを開けば見れます
(ただ、Windowsのこの機能は正直当てにならないのでMediaInfoなどの動画解析ソフトを使った方が吉です)
オーバルビットレート = 映像ビットレート + 音声ビットレート

なので一概に「ビットレートが高い!」と言っても「映像のビットレートが高い」だけで「音声のビットレートは高くない」って事も有ります。

つまりそういう場合は、「画質は良いけど音質は良くないなぁ・・」みたいな動画になります。

※基本的に「音声」は「映像」に比べて、ファイルサイズが大幅に小さいので、「音声」のビットレートを大幅に上げても全体のファイルサイズ的にはそんなに変わりません。

なので「音声」については非圧縮(リニアPCM)でエンコードされる事が多かったりします。

画質との関係

「映像」のビットレートが高ければ高いほど、1ピクセル1ピクセル全てに正確な色情報を割り当てる事ができます。結果的に高ビットレートだと画質が良くなり、低ビットレートだと画質が悪くなります。

例えば、▼gif動画で言う所の「12Mbps」というビットレートは、「一秒間に12メガビットのデータを1秒間に表示している」という事を指しています。

高ビットレート(12Mbps、2.57MB) 低ビットレート(90kbps、20KB)
koubittore-to
teibittore-to-to

※実際にはgif動画なので正確なビットレートではありません

「12Mbps」はMB表記にすると「1.5MB/s」です。(bpsを8で割るとB/s表記に出来ます)

この表記だと多分感覚で分かると思いますが、これは一般的に「高画質動画」に分類出来るビットレートの高さです。(動画の解像度にもよるので一概には言えませんが)

対して、右のgif動画の「90kbps」は一秒間に90キロビットのデータを1秒間に表示しているという事を指しています。

MB表記にすると「0.011MB/s」です。

これも多分感覚で分かると思いますが、これは「低画質動画」に分類されるビットレートの低さです。

2つを比較すると、左の高ビットレート動画は、右の低ビットレート動画に比べて1秒間に表せる情報量が1360倍多いという事が言えます。

参考として、地デジ(1440×1080)は最大「14Mbps」くらい、DVD(720×480)は最大「10Mbps」です。

▼以下の比較のように高ビットレートだと1ピクセル毎の色がはっきり表示でき、画質が鮮明になります。低ビットレートだと1ピクセルに割り当てれる色情報が少なくなる為、画質がぼやけたような感じになります。

ビットレート違い

また、低ビットレートの場合、全てのピクセルに均等にビットを割り当てているとビットが足りなくなってしまうので、同じような色が連続するシーン(青い空が延々と広がってるシーンとか)などで、優先的にビットを削減しようとします。

その結果、そういうシーンでは「ブロックノイズ」↓が発生しやすくなります。

ブロックノイズ
▲ブロックノイズ例(ブロック状のノイズ)

音質との関係

音声でのビットレートは、

サンプリングレート(Hz)× ビット深度(bit)= ビットレート(bps)

という関係式で表せます。

つまり、音質を上げたいなら、「サンプリングレート」か「ビット深度」を上げればOKです。

  • サンプリングレートを上げる → 滑らかな音になる
  • ビット深度を上げる → 音の細かさ・大小などの表現力が上がる

詳しくは以下ページ参照です。

サンプリングレート・ビット深度・ビットレートの意味と関係性
このページでは、 サンプリングレート ビット深度 ビットレート の3つの意味・関係性について紹介します。 ...

コーデックとの関係

先ほど「ビットレートが高ければ高いほど、画質・音質は向上する」と言いましたが、画質・音質は「コーデック」とも大きく関わってきます。

「コーデック」というのは「映像」や「音声」を圧縮する為の「圧縮のアルゴリズム」みたいなヤツです。

コーデックの意味が分からない人の参考:

動画の仕組みは単純に「パラパラ漫画」です。

その「パラパラ漫画」の1枚1枚に使用されているのは「画像」です。

例えば「1920×1080」の解像度、「30fps」動画(1秒間に30枚紙芝居が表示される)とかだと、1分間で1800枚の「1920×1080」の画像が必要となります。

これをそのまま動画にしてしまうと、3分で15GBとかいうアホみたいにデカいファイルサイズになってしまいます。

そこで、「コーデック」という「圧縮のアルゴリズム」を使用して、1枚1枚の画像(フレームと言う)を色々な方法で圧縮する事で、ファイルサイズを大幅に小さくするのです。(音声に関しても同じです)

例えば、「H.264」という映像コーデックは、Youtubeやニコニコ動画などでも使用されている超有名なコーデックですが、これより「ファイルサイズ当りの画質」を向上させた「H.265」というコーデックがあります。

H.265」は「H.264」の半分程度のビットレートで、「H.264」と同等の画質を得られます。(圧縮率が2倍高いという事)

例えば、「H.264」コーデックで「2Mbps」のビットレートを使用した動画と、「H.265」コーデックで「2Mbps」のビットレートを使用した動画では、同じビットレート(ファイルサイズ)なのに、画質は「H.265」の方が2倍綺麗になるという事です。

H.264とH.265を比較した画像(文字の部分とかかなり違います)
s-2015-11-25_14h09_08
※拡大するともっと分かりやすいです

他にも、DVDで使用されている「MPEG-2」というコーデックを使用した動画と、「H.265」を使用した動画では、画質に4倍近くも差が出ます。

更に他にも、「MPEG-2」の前身である「MPEG-1」とでは画質に8倍近くも差が出ます。

つまり、「H.265」の動画と同じ画質を「MPEG-1」で実現しようとしたら、「H.265」の8倍のビットレートが必要となるという事です。

ちなみに、コーデックを使用せずに、圧縮していない状態の動画の事を「非圧縮動画」や「無圧縮動画」と呼びます。(「Raw動画」とも呼びます)

前置きが長くなりましたが、結局何が言いたいかというと、

圧縮率の良いコーデックを使用すれば、低ビットレートでもそこそこの画質・音質を保つ事ができるよ!

という事です。

解像度との関係

基本的に解像度が高い動画ほど高ビットレートが必要になってきます。(1フレーム/秒当たりの情報量が多くなるので)

「1280×720」の解像度と「1920×1080」の解像度では、後者の方がビットレートを多く必要とします。「1280×720」で十分なビットレートでも、「1920×1080」では不十分という事も有り得ます。

そこらへんの「解像度」に対しての「推奨ビットレート」は、Youtubeで推奨されているビットレートが参考になります。(ベストな感じです)

アップロードする動画の推奨エンコード設定(詳細) – YouTube ヘルプ
https://support.google.com/youtube/answer/1722171?hl=ja

フレームレートとの関係

フレームレートが倍になれば、必然的にビットレートも倍になります。

「1秒当りのフレーム数」が倍になるので、まぁ当たり前ですね。

詳しくは以下ページ参照です。

フレームレートとは?VFR(可変)とCFR(固定)の違い
動画には、 CFR(固定フレームレート) VFR(可変フレームレート) の2種類があります。 動画編集する場人は...

ビットレートは上げすぎるのも良くない

ある一定以上は上げても無駄なだけ

ビットレートは上げれば良いというものでもありません。

例えば、元々の画質が100の動画を、超高ビットレートでエンコードしたとしても画質は100以上にはなりません。(できても99とか)

ビットレート5Mbpsで画質が95なのに、ビットレート10Mbps割り当てても画質が96にしかならないなんて事は良く有ります。

こういう場合、ビットレート10Mbpsなんて割り当てても無駄なだけです。

ビットレートは、元動画の画質・音質を維持する為のものです。(底上げする為のものではありません)

ビットレートが高い=再生負荷が高い

ビットレートは高ければ高いほど、PCに再生負荷が掛かります

無駄に高ビットレートにすると「画質は普通なくせに、再生負荷はめちゃくちゃ高くて、ファイルサイズもムダにデカい」という最悪な動画になってしまいます。

自分で保存する用としてエンコードする場合は、「動画の解像度」と「動画の内容」から割り当てるビットレートをきちんと考えましょう。

※ただし、Youtubeに投稿したい場合には、Youtube側で勝手にエンコードされて適性なビットレートに調整してくれるので、とりあえず超高ビットレートでエンコードしておけば問題ありません。

まとめ

まとめると以下の様な感じです。

画質重視の動画にしたい場合

→映像のビットレート上げる

音質重視の動画にしたい場合

→音声のビットレートを上げる(サンプリングレート、ビット深度を上げる)

動き重視(滑らかさ)の動画にしたい場合

→動画のフレームレートを上げる(単純にフレームレートを倍にするとビットレートも倍必要になる

ちなみに、ビットレートのエンコード方式「CBR」「VBR」「ABR」によっても、「画質」や「音質」は左右されるので、これについても注意しましょう。

このページの情報は以上です。

関連ページビットレートはどれくらいが妥当か|目安とか求め方

コメント一覧

  1. こ~りん より:

    ささいなことですが、通常は
    1 kbps = 1000 bps
    1 KB = 1024 B
    なので、MB表記にする時は考えないと不正確ではありますね